1,593 / 1,906
イダラマの同志編
1576.大魔王ヌーの魔瞳
しおりを挟む
「ざ、残念な事だがエイジよ、我々は『同志』達の事については何も知らぬし、たとえ知っていたとしても決して『同志』を売るような真似はせぬぞ!」
「然り! 殺すというのであれば好きにするがよい!」
そう啖呵をきった『テツヤ』と『タケル』の目を確認するエイジだったが、数秒程待ってから再び溜息を吐いた。
どうやら彼らは本当に『同志』と呼んでいる前時代の『妖魔召士』達の事を売るつもりはないらしく、先程までの怯えは何だったのかと思う程に、決意の固さがその『目』からも伝わってくるのであった。
「お主らのその心の持ちようこそは、確かに小生達『守旧派』のものと同一なのだがな、何故そんなお主らが『改革派』のヒュウガなどに染まってしまったのだろうな」
今、目の前でエイジに向けて『何も話さないぞ』とばかりに睨みつけている二人の様子にエイジは、自分を含めた前時代の『妖魔召士』達のようだとその心意気を認めながらも、何故ヒュウガについていったのかとばかりに疑問を抱くのであった。
「やれやれ……。かつては同じ『守旧派』であった仲間から強引に聞き出すような真似は避けたかったのだが、前時代の『妖魔召士』が絡んでいるとなれば、放置しておくわけにもいくまい……」
溜息を吐きながらエイジがそう告げると、これまで誰も居なかった場所から唐突に背丈のある男が出現するのであった。
「だから最初から俺の言う通りにしておけばよかったんだよ……」
突然の男の出現に『テツヤ』と『タケル』は驚きを見せながらも身構え始める。
「すまぬな、ヌー殿。元は同じ方向を見ていた組織の仲間達だったのだ。話せばもう少し分かる者達だと思っていたのだが……」
「過去に同じ考えを持っていたものであっても、一度自分と袂を分かつ事になれば全く別物となる。てめぇの抱いている考えは無駄なもんだ。さっさとそんな無意味な考えは捨てて、現実を見るべきだぞエイジ」
長年の経験から『ヌー』は、一度でも自分と相容れない道を選び行った者に対して、過去の話を持ち込む事は無意味な事だと吐き捨てて、裏切者には情をかけるなと告げるのだった。
「ヌー殿の言葉を全て鵜呑みにするつもりはないが、それでも今回ばかりは『妖魔召士』組織の命運もかかっているといっても過言ではない。すまぬが取り決め通りに頼む事にしよう……」
現在のエイジはもう一人で気ままに動く『はぐれ』の『妖魔召士』ではなく、これからの『妖魔召士』組織を背負って導いていかねばならない身であるが故に、自分のやり方に反してでも結果を出さなければならなかった。
「分かっているとは思うが、見返りなしに協力するのは今回だけだぞ」
大魔王『ヌー』はあの酒場で、エイジを認めるに至った出来事を思い出しながら、その時の事を持ち出して借りを返すつもりでそう告げるのだった。
「ああ、よろしく頼む」
二人のやり取りを黙って聞いていた『テツヤ』と『タケル』は何かをされるという事だけは理解したようで、身構えていた状態から『魔瞳』を使おうと同時に目を青くさせ始めるのだった。
だが、二人の『妖魔召士』が『青い目』を発動させることはなかった。
――何故なら、この二人の『妖魔召士』の『魔力』を遥かに上回る大魔王が、その本来の『力』を示すがごとく『三色』の光を自身に纏わせながら、彼の目の前に居る『テツヤ』と『タケル』に対して『金色の目』を行使したからである。
――魔瞳、『金色の目』。
現在の三色併用を使用している状態の大魔王『ヌー』の魔力値は、当代の『上位妖魔召士』程度の『耐魔力』で防ぎきれる程度ではない。
それどころか前時代の『上位妖魔召士』や、あのランク『8』の『黄雀』ですらも抗えようがない程にまで『ヌー』は強くなっているのである。
『テツヤ』と『タケル』の『青い目』を完全に無力化した大魔王ヌーの『金色の目』は、そのまま彼らの精神を支配するに成功するのであった。
「エイジ、こいつらはもう俺が思うままに操れる状態だ。それで何から聞くんだ?」
事もなげにそう告げるヌーに苦笑いを浮かべながらもエイジは、組織の長として必要な情報を得るべく、ヌーを通して『テツヤ』と『タケル』の『同志』の存在を事細かく明るみにさせていくのであった――。
「然り! 殺すというのであれば好きにするがよい!」
そう啖呵をきった『テツヤ』と『タケル』の目を確認するエイジだったが、数秒程待ってから再び溜息を吐いた。
どうやら彼らは本当に『同志』と呼んでいる前時代の『妖魔召士』達の事を売るつもりはないらしく、先程までの怯えは何だったのかと思う程に、決意の固さがその『目』からも伝わってくるのであった。
「お主らのその心の持ちようこそは、確かに小生達『守旧派』のものと同一なのだがな、何故そんなお主らが『改革派』のヒュウガなどに染まってしまったのだろうな」
今、目の前でエイジに向けて『何も話さないぞ』とばかりに睨みつけている二人の様子にエイジは、自分を含めた前時代の『妖魔召士』達のようだとその心意気を認めながらも、何故ヒュウガについていったのかとばかりに疑問を抱くのであった。
「やれやれ……。かつては同じ『守旧派』であった仲間から強引に聞き出すような真似は避けたかったのだが、前時代の『妖魔召士』が絡んでいるとなれば、放置しておくわけにもいくまい……」
溜息を吐きながらエイジがそう告げると、これまで誰も居なかった場所から唐突に背丈のある男が出現するのであった。
「だから最初から俺の言う通りにしておけばよかったんだよ……」
突然の男の出現に『テツヤ』と『タケル』は驚きを見せながらも身構え始める。
「すまぬな、ヌー殿。元は同じ方向を見ていた組織の仲間達だったのだ。話せばもう少し分かる者達だと思っていたのだが……」
「過去に同じ考えを持っていたものであっても、一度自分と袂を分かつ事になれば全く別物となる。てめぇの抱いている考えは無駄なもんだ。さっさとそんな無意味な考えは捨てて、現実を見るべきだぞエイジ」
長年の経験から『ヌー』は、一度でも自分と相容れない道を選び行った者に対して、過去の話を持ち込む事は無意味な事だと吐き捨てて、裏切者には情をかけるなと告げるのだった。
「ヌー殿の言葉を全て鵜呑みにするつもりはないが、それでも今回ばかりは『妖魔召士』組織の命運もかかっているといっても過言ではない。すまぬが取り決め通りに頼む事にしよう……」
現在のエイジはもう一人で気ままに動く『はぐれ』の『妖魔召士』ではなく、これからの『妖魔召士』組織を背負って導いていかねばならない身であるが故に、自分のやり方に反してでも結果を出さなければならなかった。
「分かっているとは思うが、見返りなしに協力するのは今回だけだぞ」
大魔王『ヌー』はあの酒場で、エイジを認めるに至った出来事を思い出しながら、その時の事を持ち出して借りを返すつもりでそう告げるのだった。
「ああ、よろしく頼む」
二人のやり取りを黙って聞いていた『テツヤ』と『タケル』は何かをされるという事だけは理解したようで、身構えていた状態から『魔瞳』を使おうと同時に目を青くさせ始めるのだった。
だが、二人の『妖魔召士』が『青い目』を発動させることはなかった。
――何故なら、この二人の『妖魔召士』の『魔力』を遥かに上回る大魔王が、その本来の『力』を示すがごとく『三色』の光を自身に纏わせながら、彼の目の前に居る『テツヤ』と『タケル』に対して『金色の目』を行使したからである。
――魔瞳、『金色の目』。
現在の三色併用を使用している状態の大魔王『ヌー』の魔力値は、当代の『上位妖魔召士』程度の『耐魔力』で防ぎきれる程度ではない。
それどころか前時代の『上位妖魔召士』や、あのランク『8』の『黄雀』ですらも抗えようがない程にまで『ヌー』は強くなっているのである。
『テツヤ』と『タケル』の『青い目』を完全に無力化した大魔王ヌーの『金色の目』は、そのまま彼らの精神を支配するに成功するのであった。
「エイジ、こいつらはもう俺が思うままに操れる状態だ。それで何から聞くんだ?」
事もなげにそう告げるヌーに苦笑いを浮かべながらもエイジは、組織の長として必要な情報を得るべく、ヌーを通して『テツヤ』と『タケル』の『同志』の存在を事細かく明るみにさせていくのであった――。
0
お気に入りに追加
421
あなたにおすすめの小説
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
おっさんの神器はハズレではない
兎屋亀吉
ファンタジー
今日も元気に満員電車で通勤途中のおっさんは、突然異世界から召喚されてしまう。一緒に召喚された大勢の人々と共に、女神様から一人3つの神器をいただけることになったおっさん。はたしておっさんは何を選ぶのか。おっさんの選んだ神器の能力とは。
異世界で魔法が使えるなんて幻想だった!〜街を追われたので馬車を改造して車中泊します!〜え、魔力持ってるじゃんて?違います、電力です!
あるちゃいる
ファンタジー
山菜を採りに山へ入ると運悪く猪に遭遇し、慌てて逃げると崖から落ちて意識を失った。
気が付いたら山だった場所は平坦な森で、落ちたはずの崖も無かった。
不思議に思ったが、理由はすぐに判明した。
どうやら農作業中の外国人に助けられたようだ。
その外国人は背中に背負子と鍬を背負っていたからきっと近所の農家の人なのだろう。意外と流暢な日本語を話す。が、言葉の意味はあまり理解してないらしく、『県道は何処か?』と聞いても首を傾げていた。
『道は何処にありますか?』と言ったら、漸く理解したのか案内してくれるというので着いていく。
が、行けども行けどもどんどん森は深くなり、不審に思い始めた頃に少し開けた場所に出た。
そこは農具でも置いてる場所なのかボロ小屋が数軒建っていて、外国人さんが大声で叫ぶと、人が十数人ゾロゾロと小屋から出てきて、俺の周りを囲む。
そして何故か縄で手足を縛られて大八車に転がされ……。
⚠️超絶不定期更新⚠️
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?
歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。
それから数十年が経ち、気づけば38歳。
のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。
しかしーー
「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」
突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。
これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。
※書籍化のため更新をストップします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる