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イダラマの同志編
1577.再会する妖魔召士たち
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時を同じくしてヒュウガもまた『妖魔退魔師』の案内役に連れられて、テツヤ達の居るところとは違う部屋へと通されるのだった。
そして後ろ手に縄で拘束されながらも、椅子に座らされたヒュウガは目隠しを外される。
眩い光に目を細めるヒュウガだったが、その視界に映る人間に彼は小さく溜息を吐くのだった。
――その目に映った人間の名は『ゲンロク』。
ヒュウガが騒動を起こした当時、この『ノックス』の世界に存在する二大組織『妖魔召士』の長だった男である――。
「久しぶりじゃな、ヒュウガよ」
「ええ、本当に久しぶりですね。ゲンロク様……」
かつて呼んでいた通りにヒュウガがゲンロクに返事をすると、ゲンロクは少しばかり残念そうな表情を浮かべるのだった。
「全く、お主がとんでもない事をしてくれた所為で、ワシらはどれだけ大変な思いをしたと思っておるのだ。おかげでワシの長年の悩みであった腰痛も更に酷くなったわい」
ここにヒュウガを連れてきた案内役の『妖魔退魔師』の隊士を除き、この部屋にはヒュウガとゲンロクの二人だけであった。
そんなヒュウガと机を挟んだ先で座っていたゲンロクは溜息を吐くと同時、椅子の背もたれに寄りかかるのだった。
「はははは……! 私も自らの持ち得る全てを賭けて、一世一代の博打を打ったつもりでしたが、結局は貴方の腰痛を酷くさせる程度にしか影響を与えられませんでしたか」
騒動を引き起こした張本人であるヒュウガだったが、世間話をするようにまるで他人事のように話す。
「何を言うか。少なくともお主の起こした騒動のせいで、歴史上で初となる『妖魔退魔師』と『妖魔召士』組織の武力を伴った戦争を引き起こされてしまったのだぞ? 今後何かあるたびにワシとお主の名が上がるのは避けられぬじゃろう。全くとんでもない事をしてくれたものじゃ……」
ゲンロクが更に大きく溜息を吐いてそう告げると、ヒュウガは何処か諦観するような表情を浮かべた。
「本当ならばその武力戦争を制して私が長となり、新たな『妖魔召士』組織を築き上げて、組織を導いて行くつもりだったのですがね」
その何処か諦観している様子を見せるヒュウガを観察しながらゲンロクは、何処に真意があるのかを探る事をやめなかった。
そしてこの後に彼がここまで諦観している理由を、他でもない彼の口から話され始めるのであった。
「ゲンロク様、貴方がこの『妖魔退魔師』組織に居るという事は、戦争状態が停戦及び、休戦されたからなのでしょう?」
「ああ、うむ……。シゲン殿達とは『妖魔山』の『禁止区域』の調査を共に行うという事で一致し、それの調査が終わるまで諸々の話は後回しとなっておる状態じゃ」
「『妖魔退魔師』と『妖魔召士』組織の共同で調査を行う『禁止区域』には、あの『ソフィ』と『ヌー』と呼ばれる『魔族』も同行するのでしょうか?」
――ゲンロクに対してこの質問を行った時だけ『ヒュウガ』の目は活きた目をしていた。
「ああ。シゲン殿の方から同行を行って欲しいと持ちかけたようでな。そもそもは彼らが探していると申していた仲間が『妖魔山』に居るという報告があったようで、彼らにとっても渡りに船だったようだ」
ゲンロクが言い終わると同時、ヒュウガは何かを考えるように目を閉じた。
そして数秒の後、静かに首を縦に振って頷いてみせるのだった。
「今更こんな事を私が口にするのも変な話なのですがね、ゲンロク様……」
「ん?」
神妙な面持ちで口を開いたヒュウガに、ゲンロクは耳を傾ける。
「あの『ソフィ』と『ヌー』という『魔族』共が『妖魔山』についてくるというのであれば、死にたくなければ貴方は代理を立ててでも『妖魔山』へ行く事を止めるべきでしょう」
「それはどういう事じゃ……?」
「あの『妖魔山』の『禁止区域』がどれだけ危険な場所かというのは、今更言うに及ばない事ですが、あの『魔族』とかいう連中も決して、我々の手に負える者達ではない。これだけは私が死ぬ前に最後に伝えておきたかった事です」
(元を正せばこの目の前に居る『ヒュウガ』は、ワシの屋敷でソフィ殿に色々と暴露されて目の敵にした事から色々と問題が生じる事となった。それからこやつは幾度となく『ソフィ』殿達を狙っておった筈じゃ。それが今この時に至り、ソフィ殿の事を口にする時の態度と、何かを諦めたような達観した考えは何か自分では手に負えないと決定的な何かを見たという事じゃろうか?)
「お主がソフィ殿を敵視しておった事は存じているが、お主が『魔族』共と呼ぶという事は、ヌー殿にも関わるなと申したいのか?」
少し論点を変える言葉を紡ぐ事で、色々とヒュウガから新たな情報を出させようとするゲンロクであった。
そして後ろ手に縄で拘束されながらも、椅子に座らされたヒュウガは目隠しを外される。
眩い光に目を細めるヒュウガだったが、その視界に映る人間に彼は小さく溜息を吐くのだった。
――その目に映った人間の名は『ゲンロク』。
ヒュウガが騒動を起こした当時、この『ノックス』の世界に存在する二大組織『妖魔召士』の長だった男である――。
「久しぶりじゃな、ヒュウガよ」
「ええ、本当に久しぶりですね。ゲンロク様……」
かつて呼んでいた通りにヒュウガがゲンロクに返事をすると、ゲンロクは少しばかり残念そうな表情を浮かべるのだった。
「全く、お主がとんでもない事をしてくれた所為で、ワシらはどれだけ大変な思いをしたと思っておるのだ。おかげでワシの長年の悩みであった腰痛も更に酷くなったわい」
ここにヒュウガを連れてきた案内役の『妖魔退魔師』の隊士を除き、この部屋にはヒュウガとゲンロクの二人だけであった。
そんなヒュウガと机を挟んだ先で座っていたゲンロクは溜息を吐くと同時、椅子の背もたれに寄りかかるのだった。
「はははは……! 私も自らの持ち得る全てを賭けて、一世一代の博打を打ったつもりでしたが、結局は貴方の腰痛を酷くさせる程度にしか影響を与えられませんでしたか」
騒動を引き起こした張本人であるヒュウガだったが、世間話をするようにまるで他人事のように話す。
「何を言うか。少なくともお主の起こした騒動のせいで、歴史上で初となる『妖魔退魔師』と『妖魔召士』組織の武力を伴った戦争を引き起こされてしまったのだぞ? 今後何かあるたびにワシとお主の名が上がるのは避けられぬじゃろう。全くとんでもない事をしてくれたものじゃ……」
ゲンロクが更に大きく溜息を吐いてそう告げると、ヒュウガは何処か諦観するような表情を浮かべた。
「本当ならばその武力戦争を制して私が長となり、新たな『妖魔召士』組織を築き上げて、組織を導いて行くつもりだったのですがね」
その何処か諦観している様子を見せるヒュウガを観察しながらゲンロクは、何処に真意があるのかを探る事をやめなかった。
そしてこの後に彼がここまで諦観している理由を、他でもない彼の口から話され始めるのであった。
「ゲンロク様、貴方がこの『妖魔退魔師』組織に居るという事は、戦争状態が停戦及び、休戦されたからなのでしょう?」
「ああ、うむ……。シゲン殿達とは『妖魔山』の『禁止区域』の調査を共に行うという事で一致し、それの調査が終わるまで諸々の話は後回しとなっておる状態じゃ」
「『妖魔退魔師』と『妖魔召士』組織の共同で調査を行う『禁止区域』には、あの『ソフィ』と『ヌー』と呼ばれる『魔族』も同行するのでしょうか?」
――ゲンロクに対してこの質問を行った時だけ『ヒュウガ』の目は活きた目をしていた。
「ああ。シゲン殿の方から同行を行って欲しいと持ちかけたようでな。そもそもは彼らが探していると申していた仲間が『妖魔山』に居るという報告があったようで、彼らにとっても渡りに船だったようだ」
ゲンロクが言い終わると同時、ヒュウガは何かを考えるように目を閉じた。
そして数秒の後、静かに首を縦に振って頷いてみせるのだった。
「今更こんな事を私が口にするのも変な話なのですがね、ゲンロク様……」
「ん?」
神妙な面持ちで口を開いたヒュウガに、ゲンロクは耳を傾ける。
「あの『ソフィ』と『ヌー』という『魔族』共が『妖魔山』についてくるというのであれば、死にたくなければ貴方は代理を立ててでも『妖魔山』へ行く事を止めるべきでしょう」
「それはどういう事じゃ……?」
「あの『妖魔山』の『禁止区域』がどれだけ危険な場所かというのは、今更言うに及ばない事ですが、あの『魔族』とかいう連中も決して、我々の手に負える者達ではない。これだけは私が死ぬ前に最後に伝えておきたかった事です」
(元を正せばこの目の前に居る『ヒュウガ』は、ワシの屋敷でソフィ殿に色々と暴露されて目の敵にした事から色々と問題が生じる事となった。それからこやつは幾度となく『ソフィ』殿達を狙っておった筈じゃ。それが今この時に至り、ソフィ殿の事を口にする時の態度と、何かを諦めたような達観した考えは何か自分では手に負えないと決定的な何かを見たという事じゃろうか?)
「お主がソフィ殿を敵視しておった事は存じているが、お主が『魔族』共と呼ぶという事は、ヌー殿にも関わるなと申したいのか?」
少し論点を変える言葉を紡ぐ事で、色々とヒュウガから新たな情報を出させようとするゲンロクであった。
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