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イダラマの同志編
1507.大魔王エヴィが定めたライン
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「おお……! さ、流石はコウエン殿だ! ランク『6』はあろう『妖狐』をあのようにあっさりと!」
「ああ! 蔵屋敷で見せたイダラマの魔力にも驚かされはしたが、やはりコウエン殿はその上をいっていると断言が出来るな!」
仲間であった『妖魔召士』が放った『妖狐』をあっさりと倒して見せたコウエンに、感嘆の声をあげる『同志』達であった。
称賛の声で盛り上がる『同志』達の声を聴きながら『コウエン』は、纏っていた『魔力』を消すと静かに口を開いた。
「ふんっ……。ワシは『妖狐』の対策に関しては誰にも負けぬと自負しておる。この程度は当然の事だ」
流石は『妖魔山』の『禁止区域』に居るという『大妖狐』に狙いを定めているだけあって『妖狐』の扱いには長けている様子の『コウエン』であった。
「さて、そんな事よりもだ……」
コウエンは守りの要であった筈の『妖狐』を失ってぽつんと立っている『同志』であった『妖魔召士』に視線を送ると、先程まで戦闘態勢に入っていた筈の男から、今は戦意というモノを全くといっていい程に感じられぬ事に違和を感じ始めていた。
コウエンの隣に居る『同志』が先程近づこうとした時のように、男の元へ向かおうとすれば再び『魔力』を纏わせたりはするかもしれないが、このまま距離を取っている状態であれば何かをしようとする素振りを見せてはこないのであった。
(やはりこやつは自分の意思で『予備群』達を襲ったわけではなさそうだな。どういうカラクリなのかまでは分からぬが、イダラマ達に操られて行動を起こしていると判断して間違いなさそうだ。しかしそれならば何故こやつを選んだのじゃろうか。ワシの見立てではイダラマと直接揉めた『サクジ』か、あの場に居る者達の中では発言権を有しておるワシを狙うかと……ん、待てよ?)
そこまで思案を広げたコウエンであったが、よくよく考えればその自分自身が『妖魔山』の麓であるこの場所におびき寄せられて居る事に気付き、慌てて周囲を見渡し始めるのだった。
そしてコウエンが思った通り、彼の元に背後からゆっくりと近づいてくる者達の姿をその目で捉える事が出来たのであった――。
……
……
……
『妖狐』を嗾けさせるように命令を下して『コウエン』がどう対処を行うかを物陰から見ていた『イダラマ』は、その『妖狐』の式札が破かれるその最後の一瞬までを始終確認を行っていた。
(成程。やはり『コウエン』殿も『組織』に居た頃には手を出さなかった『新術』を自身で編み出してモノにしていたか。それもあれは私の『魔利薄過』に随分と近しい『透過技法』であった。今見せたモノは私とは違い、専守に特化した技法とよべるモノではあったが、あそこまで卓越した動きをランク『6』の『妖狐』を相手に見せて的確に扱いモノにしているのだ。間違いなく研究は更に先まで進めているに違いあるまい。元々『コウエン』殿の性格は、先手必勝にして、更に攻撃は最大の防御と考える御仁だ『魔力』を的確に武器として遠、中、近とありとあらゆる距離に対応する『捉術』にも適応させられるレベルまで研究は進めている筈だ。つまりは充分に駒として使えると見ていいだろう)
イダラマはもう『コウエン』を名ばかりが先行している紛い物ではなく、自分の認める程の実力者として合格ラインに届いていると判断して笑みを浮かべるのだった。
そしてその『コウエン』の一連の動きをイダラマの隣で、同様に観察を行っていた大魔王『エヴィ』もまた何かに納得するように首を縦に振って頷いて見せた。
(やっぱりあのおっさんは『透過』を実用レベルにまでこなせているね。あれなら間違いなく僕を消滅させられる程の力量を有している領域と見て間違いないな。やれやれ、イダラマがどうするつもりなのかは分からないけど、もう生かして帰すわけにはいかなくなったな。僕の命は『ソフィ』様のモノだ。大事なこの命を失うわけにはいかないからね……!)
――この時、この瞬間を以て大魔王『エヴィ』は、妖魔召士『コウエン』を殺戮の対象に認定するのであった。
……
……
……
「ああ! 蔵屋敷で見せたイダラマの魔力にも驚かされはしたが、やはりコウエン殿はその上をいっていると断言が出来るな!」
仲間であった『妖魔召士』が放った『妖狐』をあっさりと倒して見せたコウエンに、感嘆の声をあげる『同志』達であった。
称賛の声で盛り上がる『同志』達の声を聴きながら『コウエン』は、纏っていた『魔力』を消すと静かに口を開いた。
「ふんっ……。ワシは『妖狐』の対策に関しては誰にも負けぬと自負しておる。この程度は当然の事だ」
流石は『妖魔山』の『禁止区域』に居るという『大妖狐』に狙いを定めているだけあって『妖狐』の扱いには長けている様子の『コウエン』であった。
「さて、そんな事よりもだ……」
コウエンは守りの要であった筈の『妖狐』を失ってぽつんと立っている『同志』であった『妖魔召士』に視線を送ると、先程まで戦闘態勢に入っていた筈の男から、今は戦意というモノを全くといっていい程に感じられぬ事に違和を感じ始めていた。
コウエンの隣に居る『同志』が先程近づこうとした時のように、男の元へ向かおうとすれば再び『魔力』を纏わせたりはするかもしれないが、このまま距離を取っている状態であれば何かをしようとする素振りを見せてはこないのであった。
(やはりこやつは自分の意思で『予備群』達を襲ったわけではなさそうだな。どういうカラクリなのかまでは分からぬが、イダラマ達に操られて行動を起こしていると判断して間違いなさそうだ。しかしそれならば何故こやつを選んだのじゃろうか。ワシの見立てではイダラマと直接揉めた『サクジ』か、あの場に居る者達の中では発言権を有しておるワシを狙うかと……ん、待てよ?)
そこまで思案を広げたコウエンであったが、よくよく考えればその自分自身が『妖魔山』の麓であるこの場所におびき寄せられて居る事に気付き、慌てて周囲を見渡し始めるのだった。
そしてコウエンが思った通り、彼の元に背後からゆっくりと近づいてくる者達の姿をその目で捉える事が出来たのであった――。
……
……
……
『妖狐』を嗾けさせるように命令を下して『コウエン』がどう対処を行うかを物陰から見ていた『イダラマ』は、その『妖狐』の式札が破かれるその最後の一瞬までを始終確認を行っていた。
(成程。やはり『コウエン』殿も『組織』に居た頃には手を出さなかった『新術』を自身で編み出してモノにしていたか。それもあれは私の『魔利薄過』に随分と近しい『透過技法』であった。今見せたモノは私とは違い、専守に特化した技法とよべるモノではあったが、あそこまで卓越した動きをランク『6』の『妖狐』を相手に見せて的確に扱いモノにしているのだ。間違いなく研究は更に先まで進めているに違いあるまい。元々『コウエン』殿の性格は、先手必勝にして、更に攻撃は最大の防御と考える御仁だ『魔力』を的確に武器として遠、中、近とありとあらゆる距離に対応する『捉術』にも適応させられるレベルまで研究は進めている筈だ。つまりは充分に駒として使えると見ていいだろう)
イダラマはもう『コウエン』を名ばかりが先行している紛い物ではなく、自分の認める程の実力者として合格ラインに届いていると判断して笑みを浮かべるのだった。
そしてその『コウエン』の一連の動きをイダラマの隣で、同様に観察を行っていた大魔王『エヴィ』もまた何かに納得するように首を縦に振って頷いて見せた。
(やっぱりあのおっさんは『透過』を実用レベルにまでこなせているね。あれなら間違いなく僕を消滅させられる程の力量を有している領域と見て間違いないな。やれやれ、イダラマがどうするつもりなのかは分からないけど、もう生かして帰すわけにはいかなくなったな。僕の命は『ソフィ』様のモノだ。大事なこの命を失うわけにはいかないからね……!)
――この時、この瞬間を以て大魔王『エヴィ』は、妖魔召士『コウエン』を殺戮の対象に認定するのであった。
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