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イダラマの同志編

1506.前時代の最上位妖魔召士VSランク6の妖狐

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 そしてコウエン達が遂に『妖魔山』の麓に辿り着いた頃。

 彼らを待ち受けていたかの如く、エヴィに操られている『妖魔召士』がコウヒョウの町の『予備群』を襲った『妖狐』を使役した状態で立っているのであった。

「お、お主、一体どうしたというのだ! 何故このような真似をしたのだ!?」

 コウエンの隣に居た男が待ち受けていた『妖魔召士』を見るなりにそう告げて駆け寄ろうとする。

 しかしそこで強引に『コウエン』がその男の襟首を掴んで止めた。

「こ、コウエン殿!?」

「少し落ち着け。奴の目が『コウヒョウ』に居た時とは違って虚ろだと思わぬか? それに奴の使役している『式』の『妖魔』も戦闘態勢に入っておる。このままお主が近づいていれば攻撃されていただろうよ」

「そ、そんな……!」

 コウエンに忠告された『妖魔召士』は愕然としながらも、視線をコウエンから男や『妖狐』の方に向けて確認を行い始めるのだった。

「お主、本当に何があったのだ? お主から感じる『魔力』が普段よりブレておるな。しかしだからといって『魔力』そのものはお主のもので間違いはない。まるでお主自体はそのままに、別の者がお主を操作をしているような違和を感じるが……」

「!」

 口元に手をあてながら観察を続けていたコウエンは、そう言いながらまた一歩男に近づこうとしたが、その瞬間に虚ろな目を浮かべていた男は、ギロリと『コウエン』を視線に捉え始めた。

「むっ!?」

 そしてコウエンを睨みつけると同時、男は突如として『魔力』を手に纏わせ始めると恐ろしい速度で手印を結び始める。

 ――どうやら男は『コウエン』を『』と定めたようで、戦闘態勢に入る為の『術』を施し始めたようである。

「コウエン殿、危ない!!」

 そしてコウエンが男に注目していると、その一瞬の隙を突くように男の横に控えていた『妖狐』がコウエンの元に飛び掛かっていくのであった。

 コウエン側に居た他の『同志』の妖魔召士達もコウエンを助けようと『魔力』を伴って手印を結び始めようとしたが、コウエンは冷静に左手で待ったをかけるように『同志』達を御するように手で静止をしたかと思うと、迫ってくる『妖狐』に何も『式』なども出さずに『妖狐』が自身の間合いに入るのを待つように無防備に立ち続ける。

 ランク『5.5』以下までの『妖狐』とは違い、流石は『6』以上の『上位妖魔召士』が『式』にしている『妖狐』なだけはあって速度そのものが違うかった。

 まるで残像が幾重にも重なるようにブレて見える程の動きで、一気にコウエンに肉薄したかと思うと、そのままコウエンの喉笛を噛み切ろうと鋭利な牙を剥き出しにするのだった。

「コォオアアッ!」

 コウエンの間合いに入って大口を広げて迫った『妖狐』だが、ようやくその瞬間にコウエンは両手をあげたかと思うと『魔力』を腕に纏わせる。

 そしてその纏った腕で『妖狐』に触れるかどうかというところで、腕に纏っていた『魔力』を腕から解放するかのように『スタック』ポイントを作ると同時、コウエンの身体が徐々に朧気になっていき、まるで身体が透けたように見え始める。

 そのまま『妖狐』はコウエンの首を目掛けて飛び掛かったが、まるでその場所に最初から居なくなったかの如く完全に消え去る。

 いつの間にか飛び掛かる為に宙に浮いている『妖狐』の背後、先程の腕の先に設置した『スタック』ポイントからコウエンが現れると、そのまま『妖狐』の宙に浮いている胴体に向けて手刀を振り下ろした。

「グギャッ!」

 まるで鈍器で殴られたかのような衝撃音が響き渡ったかと思うと『妖狐』は激痛に声をあげた。

 コウエンはそのまま後ろに態勢を反らしたかと思うと、息を吐きながら一気に『魔力』を集約させた両手を『妖狐』の背後から前へと一気に押し出した。

 再び、!という衝撃音と共に『妖狐』は後ろから弾き飛ばされるように前へ押し飛ばされると『コウエン』の姿がまたもや朧気に見え始める。

 やがてはその場から忽然と姿を消したかと思うと、今度は前方へ飛ばされた『妖狐』の正面に姿を現し、自分に向かって飛んでくる『妖狐』の顔を下から掬うように掴みあげると、恐ろしい視線を向けながら再び両手に膨大な『魔力』を込め始める。

 ――僧全捉術、『動殺是決どうさつぜけつ』。

「ギ……、ギァ……」

 コウエンの恐ろしい『魔力』を纏った両手から放たれた殺傷能力の高い『捉術』によって『妖狐』は呻き声をあげながら絶命すると、その場でボンッという音と共に一枚の式札が舞い始める。

「まさかこのワシに『』を差し向けるとはな……!」

 コウエンはそのまま殺意を孕んだ視線を向けたままで『妖狐』の札を掴むと、一思いにビリビリと破き始めるのであった。

 ……
 ……
 ……
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