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イダラマの同志編
1508.物事の順序と、その先にある大望
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「「お、お前達は……!!」」
コウエンが背後から迫ってくるイダラマ達に視線を送った頃、他の妖魔召士達もイダラマに気づいて声を出すのであった。
「やはりこやつがおかしくなったのは、お主の仕業だったのだな」
「さて、何の事やら。それよりも『サカダイ』の町に乗り込むと息巻いていた貴方がたが我々よりも先に『妖魔山』に辿り着いていたとは驚きだ。やはりコウエン殿は『妖魔山』を優先したいと考えられたのかな?」
コウヒョウの町からここまでは一本道であり、あれ程の騒ぎを起こした同志の『妖魔召士』が『妖狐』を連れ立ってここに向かってきたのである。
先にこの道を通っていた筈のイダラマ達がその事に気づかぬわけもない筈だというのに、白々しくもそのような事を口にしたのを聞いた『妖魔召士』達は、額に青筋を浮かべるのであった。
「い、イダラマ!! お主が全て仕組んだ事だったのか! お主のせいでこやつは『コウヒョウ』襲撃犯にされてしまったのだぞ! どう責任をとるつもりだイダラマ!」
あれだけの騒ぎを起こして『予備群』達に手を掛けた上に、現場を多くの町民にもみられてしまった以上、このまま何もお咎め無しで済ませられる筈もなく、今後は『コウヒョウ』だけではなく『サカダイ』の『妖魔退魔師』本部もこの『同志』を捕縛する為に動き出すであろう。
つまりそれは『ヒュウガ』達と同様に、長い期間捕らえられる事になるというワケであった。
「いやはや……。そのように一方的に身に覚えのない事で私のせいにされても困りますな。我々がどうやってその男にやらせたというのですか? 彼も『上位妖魔召士』でしょう? 『魔瞳』などの力では強引に言う事を聞かせられるわけがないでしょうに。それに目の前に張本人がいるのですから、直接彼に聞いてみれば良いではないですか。そして真実を知ってもらって……」
「もういいだろう、イダラマ。シラを切るのもその辺にしておけ。確かにワシらの『魔瞳』や『捉術』の類で強制的に従わせられる事は出来ぬが、お主の隣に居る少年であれば別であろう? あれだけの面妖な力を持っておるのだから、他者を操る何らかの『力』を持っていても何もおかしくはない。それに『コウヒョウ』の蔵屋敷でこやつがお主に襲い掛かった時、何やらその少年の目が『金色』に輝いておっただろう? あの時にこやつを洗脳や意識の支配などを行う技法か何かを仕込んだのではないか?」
「!」
エヴィの『魔瞳』の力くらいまではコウエンであれば、もしかしたら勘付くかもしれないと考えていたイダラマだったが、まさかあの時にエヴィを自分の背後に回らせて陰ながら『魔瞳』を使わせた事にもに気付かれていたと知って、演技ではなく本当に驚いた表情を見せるのであった。
「驚いたな……。貴方は麒麟児の『力』と実際にあの蔵屋敷で行った行動の真意に気付いていながら、あっさりと『サクジ』殿と共に去ろうとしていたというのか。貴方はあの『妖魔山』に挑む身でありながら、これだけの好条件が揃って尚、我らと行動を取らずに『同志』とやらの為に破滅の道へ向かうとは、本当に貴方は『妖魔山』の『妖狐』を倒そうと考えておられるのか? どうも貴方の行動に一貫性が見受けられず中途半端に映るのだが。全くもって私には理解が出来ぬよ、コウエン殿」
心底呆れるようにそう告げたイダラマは、大きく溜息を吐いて見せるのだった。
「ふっ。今更そこまで齢を重ねたお主を諭そうとは思わぬが、物事には順序というモノが存在するのだ。いくら成し遂げたい事の為に、長年腰を据えた『組織』から離れたワシでも『順序』を間違えては全てが水泡になるという事くらいは分かっておる。あの『組織』を離れて『はぐれ』となったワシらだが、その『はぐれ』には『はぐれ』なりにもルールというものが存在する。その一つがある意味で『妖魔召士』組織の心構えでもあり、大元の理念にもあった『同志』を大切にするというルールなのだ。今では『改革派』に『守旧派』と思想自体に開きが出来てしまってはいるが、そこを忘れてはならぬ。何をするにも『同志』と足並みを揃えろとまでは言わぬが、見据えた先の『大望』に必要な事であればそこに辿り着くまでの順序を理解せずに履き違えては、いつまでも求める願望には手は届かぬのだ『イダラマ』よ」
イダラマはコウエンの言葉を頭から否定するのではなく、しっかりと言葉の意味を噛み砕くように、そしてその言葉の本質を理解をしようと努力を行うように、目を閉じて考えている様子を見せるのであった。
コウエンが背後から迫ってくるイダラマ達に視線を送った頃、他の妖魔召士達もイダラマに気づいて声を出すのであった。
「やはりこやつがおかしくなったのは、お主の仕業だったのだな」
「さて、何の事やら。それよりも『サカダイ』の町に乗り込むと息巻いていた貴方がたが我々よりも先に『妖魔山』に辿り着いていたとは驚きだ。やはりコウエン殿は『妖魔山』を優先したいと考えられたのかな?」
コウヒョウの町からここまでは一本道であり、あれ程の騒ぎを起こした同志の『妖魔召士』が『妖狐』を連れ立ってここに向かってきたのである。
先にこの道を通っていた筈のイダラマ達がその事に気づかぬわけもない筈だというのに、白々しくもそのような事を口にしたのを聞いた『妖魔召士』達は、額に青筋を浮かべるのであった。
「い、イダラマ!! お主が全て仕組んだ事だったのか! お主のせいでこやつは『コウヒョウ』襲撃犯にされてしまったのだぞ! どう責任をとるつもりだイダラマ!」
あれだけの騒ぎを起こして『予備群』達に手を掛けた上に、現場を多くの町民にもみられてしまった以上、このまま何もお咎め無しで済ませられる筈もなく、今後は『コウヒョウ』だけではなく『サカダイ』の『妖魔退魔師』本部もこの『同志』を捕縛する為に動き出すであろう。
つまりそれは『ヒュウガ』達と同様に、長い期間捕らえられる事になるというワケであった。
「いやはや……。そのように一方的に身に覚えのない事で私のせいにされても困りますな。我々がどうやってその男にやらせたというのですか? 彼も『上位妖魔召士』でしょう? 『魔瞳』などの力では強引に言う事を聞かせられるわけがないでしょうに。それに目の前に張本人がいるのですから、直接彼に聞いてみれば良いではないですか。そして真実を知ってもらって……」
「もういいだろう、イダラマ。シラを切るのもその辺にしておけ。確かにワシらの『魔瞳』や『捉術』の類で強制的に従わせられる事は出来ぬが、お主の隣に居る少年であれば別であろう? あれだけの面妖な力を持っておるのだから、他者を操る何らかの『力』を持っていても何もおかしくはない。それに『コウヒョウ』の蔵屋敷でこやつがお主に襲い掛かった時、何やらその少年の目が『金色』に輝いておっただろう? あの時にこやつを洗脳や意識の支配などを行う技法か何かを仕込んだのではないか?」
「!」
エヴィの『魔瞳』の力くらいまではコウエンであれば、もしかしたら勘付くかもしれないと考えていたイダラマだったが、まさかあの時にエヴィを自分の背後に回らせて陰ながら『魔瞳』を使わせた事にもに気付かれていたと知って、演技ではなく本当に驚いた表情を見せるのであった。
「驚いたな……。貴方は麒麟児の『力』と実際にあの蔵屋敷で行った行動の真意に気付いていながら、あっさりと『サクジ』殿と共に去ろうとしていたというのか。貴方はあの『妖魔山』に挑む身でありながら、これだけの好条件が揃って尚、我らと行動を取らずに『同志』とやらの為に破滅の道へ向かうとは、本当に貴方は『妖魔山』の『妖狐』を倒そうと考えておられるのか? どうも貴方の行動に一貫性が見受けられず中途半端に映るのだが。全くもって私には理解が出来ぬよ、コウエン殿」
心底呆れるようにそう告げたイダラマは、大きく溜息を吐いて見せるのだった。
「ふっ。今更そこまで齢を重ねたお主を諭そうとは思わぬが、物事には順序というモノが存在するのだ。いくら成し遂げたい事の為に、長年腰を据えた『組織』から離れたワシでも『順序』を間違えては全てが水泡になるという事くらいは分かっておる。あの『組織』を離れて『はぐれ』となったワシらだが、その『はぐれ』には『はぐれ』なりにもルールというものが存在する。その一つがある意味で『妖魔召士』組織の心構えでもあり、大元の理念にもあった『同志』を大切にするというルールなのだ。今では『改革派』に『守旧派』と思想自体に開きが出来てしまってはいるが、そこを忘れてはならぬ。何をするにも『同志』と足並みを揃えろとまでは言わぬが、見据えた先の『大望』に必要な事であればそこに辿り着くまでの順序を理解せずに履き違えては、いつまでも求める願望には手は届かぬのだ『イダラマ』よ」
イダラマはコウエンの言葉を頭から否定するのではなく、しっかりと言葉の意味を噛み砕くように、そしてその言葉の本質を理解をしようと努力を行うように、目を閉じて考えている様子を見せるのであった。
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