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ケイノト編
881.予備群
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サカダイが管理する森の中で『退魔組』と『イダラマ』一派で戦闘が行われている。しかし退魔組側で戦闘をしていると呼べる者は『イバキ』と『スー』。それに『ミカゲ』くらいのものだった。
先程イバキが自分の身を守れと声をあげたが、結局の所だが残念ながらその声が、退魔士達の心に届く事は無かった。イダラマ一派の護衛の剣士たちによって次々と、退魔士達は次々と切り捨てられていった。
「イダラマ、僕の目から見ても君たちとアイツらでは、かなり差があるように思うんだけど、こんな連中なんだったらさぁ、別に追手を差し向けられても逃げなくてよかったんじゃないかなぁ」
先程まで何やら『金色のメダル』を眺めていたエヴィだったが、森で行われている一方的な戦闘に視線を移し始め、やがてはそれすらも飽きが来たのか、気怠そうに横に居るイダラマに話しかけるのだった。
「アコウとウガマが戦っている奴ら以外は、最近までただの一般人だった連中だからな。訓練を積んでいるウガマ達と差があるのは当然だ」
だが、と腕を組みなおしながら視線を戦闘に向けたまま、イダラマは声のトーンを少しだけあげる。
「『退魔組』には『妖魔召士』には及ばないが『特別退魔士』と呼ばれる者達には面倒な力を持つ者が多い。その上『サテツ』や『ゲンロク』が本格的に動き出せば、俺達でも苦戦は避けられないだろう。サカダイまで無事に入り込むまでは身を隠すのが賢明だ」
「なるほどね。君がそう言うならそうなんだろう。僕たち大魔王に匹敵する力を持っている人間が居るという事すら『アレルバレル』の世界に居た頃にはとても信じられなかったよ」
「お主が居る世界では、魔族という種族が妖魔の代わりのようなものだったか」
「まぁ人間達側から見ればそうとも言えるね。でも人間なんて僕らの世界では、何の障害にもならない矮小な存在だったよ」
「ふむ……」
そこで会話は止まり目の前の戦闘に視線を移す二人。スーと呼ばれた『退魔組』の護衛の剣士は、イダラマの側近である『アコウ』と五分五分に渡り合っていた。
アコウとウガマは移動中に狐の面をつけていたが、別に『退魔組』というワケでは無い『退魔組』から逃れるためにわざと敵のつけている面をつけていただけである。
ウガマやアコウは『サカダイ』出身の者達である。縁があってイダラマと知り合った彼らは今こうしてイダラマの護衛として行動を共にしているが、その正体は『妖魔退魔師』の『予備群』だった才ある剣士達である。
『妖魔退魔師』予備と聞けば大した事の無い者達という風に聞こえるかもしれないが、決してそんな事は無い。
ただの一般人から『退魔士』と名乗る事となった『退魔組』の『下位』『中位』の退魔士とは根本から違う。
『妖魔退魔師』の予備群と呼ばれる者達も十分に訓練を積んだ一線級の者達であり、この世界のランク『3』や中には、ランク『4』に匹敵する妖魔達と単独で戦い、十分に渡り合える程の実力者である。
(※ランク『4』は戦力値2000億~2700億程に該当する『アレルバレル』の世界では、大魔王『ヌー』とほぼ同等の戦力値)
それ程の一線級の剣士である長いピアスをつけた男『アコウ』と、こうして数回とはいっても刀を合わせて対等に渡り合えている『スー』という退魔組所属の『イバキ』の護衛剣士が、どれだけ異常な強さをしているか分かるというものだろう。
「むっ! エヴィよ『イバキ』を……! あの細目の男の事をこれからよく見ていろ」
「え?」
戦闘を見る事に集中していたイダラマが、唐突にエヴィにイバキを見るようにと告げる。
そこでは同志と呼んでいた者達を助ける為に、目の前の『ウガマ』と対峙していたイバキの目が、唐突に青く輝き始めてその力を示そうというところであった。
……
……
……
先程イバキが自分の身を守れと声をあげたが、結局の所だが残念ながらその声が、退魔士達の心に届く事は無かった。イダラマ一派の護衛の剣士たちによって次々と、退魔士達は次々と切り捨てられていった。
「イダラマ、僕の目から見ても君たちとアイツらでは、かなり差があるように思うんだけど、こんな連中なんだったらさぁ、別に追手を差し向けられても逃げなくてよかったんじゃないかなぁ」
先程まで何やら『金色のメダル』を眺めていたエヴィだったが、森で行われている一方的な戦闘に視線を移し始め、やがてはそれすらも飽きが来たのか、気怠そうに横に居るイダラマに話しかけるのだった。
「アコウとウガマが戦っている奴ら以外は、最近までただの一般人だった連中だからな。訓練を積んでいるウガマ達と差があるのは当然だ」
だが、と腕を組みなおしながら視線を戦闘に向けたまま、イダラマは声のトーンを少しだけあげる。
「『退魔組』には『妖魔召士』には及ばないが『特別退魔士』と呼ばれる者達には面倒な力を持つ者が多い。その上『サテツ』や『ゲンロク』が本格的に動き出せば、俺達でも苦戦は避けられないだろう。サカダイまで無事に入り込むまでは身を隠すのが賢明だ」
「なるほどね。君がそう言うならそうなんだろう。僕たち大魔王に匹敵する力を持っている人間が居るという事すら『アレルバレル』の世界に居た頃にはとても信じられなかったよ」
「お主が居る世界では、魔族という種族が妖魔の代わりのようなものだったか」
「まぁ人間達側から見ればそうとも言えるね。でも人間なんて僕らの世界では、何の障害にもならない矮小な存在だったよ」
「ふむ……」
そこで会話は止まり目の前の戦闘に視線を移す二人。スーと呼ばれた『退魔組』の護衛の剣士は、イダラマの側近である『アコウ』と五分五分に渡り合っていた。
アコウとウガマは移動中に狐の面をつけていたが、別に『退魔組』というワケでは無い『退魔組』から逃れるためにわざと敵のつけている面をつけていただけである。
ウガマやアコウは『サカダイ』出身の者達である。縁があってイダラマと知り合った彼らは今こうしてイダラマの護衛として行動を共にしているが、その正体は『妖魔退魔師』の『予備群』だった才ある剣士達である。
『妖魔退魔師』予備と聞けば大した事の無い者達という風に聞こえるかもしれないが、決してそんな事は無い。
ただの一般人から『退魔士』と名乗る事となった『退魔組』の『下位』『中位』の退魔士とは根本から違う。
『妖魔退魔師』の予備群と呼ばれる者達も十分に訓練を積んだ一線級の者達であり、この世界のランク『3』や中には、ランク『4』に匹敵する妖魔達と単独で戦い、十分に渡り合える程の実力者である。
(※ランク『4』は戦力値2000億~2700億程に該当する『アレルバレル』の世界では、大魔王『ヌー』とほぼ同等の戦力値)
それ程の一線級の剣士である長いピアスをつけた男『アコウ』と、こうして数回とはいっても刀を合わせて対等に渡り合えている『スー』という退魔組所属の『イバキ』の護衛剣士が、どれだけ異常な強さをしているか分かるというものだろう。
「むっ! エヴィよ『イバキ』を……! あの細目の男の事をこれからよく見ていろ」
「え?」
戦闘を見る事に集中していたイダラマが、唐突にエヴィにイバキを見るようにと告げる。
そこでは同志と呼んでいた者達を助ける為に、目の前の『ウガマ』と対峙していたイバキの目が、唐突に青く輝き始めてその力を示そうというところであった。
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