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盗賊退治編
56.護衛という名の盗賊退治
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ざっとではあるが盗賊達の数を数えて見たが、凡そ二十人近くは居るだろうか。
その中でボスらしきスキンヘッドの男が、ソフィ達に向けて口を開いた。
「おいてめぇら! 死にたくなければそこの荷馬車と有り金を全て出しな!」
ドスの利いた怒鳴り声に、行商人のミナトは更に脅え始める。
「そ、ソフィさん! ほ、本当に大丈夫ですか? 相手はかなりの人数がいるようですが!」
ただの行商人のミナトからすれば脅えるのは仕方がないだろう。
屈強そうな盗賊たちが大勢いるだけでも恐ろしいというのに、その全員が危なそうな刃物や武器を持っているのである。
対してこちらは十歳そこそこに見える少年と少女、そしてニコニコと笑っている優男なのだから不安になるのも仕方がない事だった。
しかし大金を出して雇ったからには、少しでも役に立ってもらわないと困るというのがミナトの本音だ。
「さて、どうしますか? ソフィ様」
「うーむ……。依頼内容は護衛だったが相手はこちらを殺そうとしているようだし、少しばかり手荒にしてもよいのではないか?」
ソフィがそう言うと、ラルフは微笑みを浮かべた。
「では殺してしまって構いませんね?」
「分かってはいると思うが全員を殺すなよ? ギルドに報告する時に本当に盗賊だったのかと疑われても面倒だ」
「分かりました、では殺してきます」
二人は何でもない事のように、物騒な会話を繰り広げる。
そして次の瞬間、にこにこ笑っていたラルフから殺気が漏れ始める。
「ヒッ……!」
「グェッ……!」
大陸最強と呼ばれた殺し屋の殺気をまともに受けて、戦う前からすでに大半の男たちは泡を吹いて倒れる。
「ソフィ様のご命令ですので、貴方と貴方だけは生かして差し上げます。どうせこれまで我々のようにこの道を通って来た者達を襲い殺してきたのでしょうから、因果応報という事で諦めて頂きますね」
いつの間にかボスらしき男と、その横にいた男の背後に立っていたラルフは微笑みを浮かべてそう告げた。
「なっ……!!」
ボスが慌てて振り返るとそこにはもう『微笑』の姿はなく、代わりに周りから悲鳴が次々とあがり続ける。
「ヒィィィッ! あ、足が、お、俺の足がねぇ!」
両足を切断されて立っていられず、気が付けば頭から崩れ落ちる男も居れば――。
(あれ? 俺の身体が目の前にある……? 何でだ……?)
首を飛ばされてもまだ意識があった男は、首から下しかない自分の体を見ながらどうなっているのか分からずに自分の身体を見ながらゆっくりと絶命する男も居た。
そうして気が付けば二十人近く居た盗賊団とも呼べる規模の盗賊達は、ボスとその隣に立っていた男だけが生き残りそれ以外の生存者は居なくなった。
「な、何なんだよ、お前らあぁ!!」
ボスらしき男が発狂しそうになるのを堪えて大声をあげた。
――『微笑』はそんな男の喉に指をあてながら言った。
「すみませんが、大きな声をあげないでいただけませんか? 貴方はソフィ様の命令でまだ生きる事を許されているのです。その事を理解してソフィ様の発する言葉のみに集中して下さい」
ラルフは既に目の前で何十人も人を殺したというのに、何事でもなかったかのように微笑みを浮かべながらそう盗賊団のボスらしき男に告げた。
その男は自分の首の薄皮を切られて、温かい水のようなものが首を伝って落ちるのを感じながら、何度も首を縦に振りカチカチと歯を震わせながらラルフの言葉に従う。
「ソフィ様、準備が出来ましたので、よろしくお願いします」
リーネとミナトが顔を引きつらせながら、ラルフの顔を見ていた。
「す、すごい……」
「え、えげつないわねぇ……」
「うむ。ラルフよ、ご苦労だったな……」
ソフィは本当に二人だけを残して皆殺しにするとは思わなかったようで、若干やり過ぎだと思いながらもしっかりと命令通りに動いた配下に、労いの言葉を掛けざるを得なくなるのであった。
その中でボスらしきスキンヘッドの男が、ソフィ達に向けて口を開いた。
「おいてめぇら! 死にたくなければそこの荷馬車と有り金を全て出しな!」
ドスの利いた怒鳴り声に、行商人のミナトは更に脅え始める。
「そ、ソフィさん! ほ、本当に大丈夫ですか? 相手はかなりの人数がいるようですが!」
ただの行商人のミナトからすれば脅えるのは仕方がないだろう。
屈強そうな盗賊たちが大勢いるだけでも恐ろしいというのに、その全員が危なそうな刃物や武器を持っているのである。
対してこちらは十歳そこそこに見える少年と少女、そしてニコニコと笑っている優男なのだから不安になるのも仕方がない事だった。
しかし大金を出して雇ったからには、少しでも役に立ってもらわないと困るというのがミナトの本音だ。
「さて、どうしますか? ソフィ様」
「うーむ……。依頼内容は護衛だったが相手はこちらを殺そうとしているようだし、少しばかり手荒にしてもよいのではないか?」
ソフィがそう言うと、ラルフは微笑みを浮かべた。
「では殺してしまって構いませんね?」
「分かってはいると思うが全員を殺すなよ? ギルドに報告する時に本当に盗賊だったのかと疑われても面倒だ」
「分かりました、では殺してきます」
二人は何でもない事のように、物騒な会話を繰り広げる。
そして次の瞬間、にこにこ笑っていたラルフから殺気が漏れ始める。
「ヒッ……!」
「グェッ……!」
大陸最強と呼ばれた殺し屋の殺気をまともに受けて、戦う前からすでに大半の男たちは泡を吹いて倒れる。
「ソフィ様のご命令ですので、貴方と貴方だけは生かして差し上げます。どうせこれまで我々のようにこの道を通って来た者達を襲い殺してきたのでしょうから、因果応報という事で諦めて頂きますね」
いつの間にかボスらしき男と、その横にいた男の背後に立っていたラルフは微笑みを浮かべてそう告げた。
「なっ……!!」
ボスが慌てて振り返るとそこにはもう『微笑』の姿はなく、代わりに周りから悲鳴が次々とあがり続ける。
「ヒィィィッ! あ、足が、お、俺の足がねぇ!」
両足を切断されて立っていられず、気が付けば頭から崩れ落ちる男も居れば――。
(あれ? 俺の身体が目の前にある……? 何でだ……?)
首を飛ばされてもまだ意識があった男は、首から下しかない自分の体を見ながらどうなっているのか分からずに自分の身体を見ながらゆっくりと絶命する男も居た。
そうして気が付けば二十人近く居た盗賊団とも呼べる規模の盗賊達は、ボスとその隣に立っていた男だけが生き残りそれ以外の生存者は居なくなった。
「な、何なんだよ、お前らあぁ!!」
ボスらしき男が発狂しそうになるのを堪えて大声をあげた。
――『微笑』はそんな男の喉に指をあてながら言った。
「すみませんが、大きな声をあげないでいただけませんか? 貴方はソフィ様の命令でまだ生きる事を許されているのです。その事を理解してソフィ様の発する言葉のみに集中して下さい」
ラルフは既に目の前で何十人も人を殺したというのに、何事でもなかったかのように微笑みを浮かべながらそう盗賊団のボスらしき男に告げた。
その男は自分の首の薄皮を切られて、温かい水のようなものが首を伝って落ちるのを感じながら、何度も首を縦に振りカチカチと歯を震わせながらラルフの言葉に従う。
「ソフィ様、準備が出来ましたので、よろしくお願いします」
リーネとミナトが顔を引きつらせながら、ラルフの顔を見ていた。
「す、すごい……」
「え、えげつないわねぇ……」
「うむ。ラルフよ、ご苦労だったな……」
ソフィは本当に二人だけを残して皆殺しにするとは思わなかったようで、若干やり過ぎだと思いながらもしっかりと命令通りに動いた配下に、労いの言葉を掛けざるを得なくなるのであった。
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