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盗賊退治編
57.護衛という名の盗賊退治2
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「さて、お主が盗賊たちのボスということでいいな?」
ボスらしき男はソフィの言葉が耳に入っていないのか、ガクガクと震えるだけだった。
「ソフィ様が喋っておいでですよ……?」
ラルフがそっと口を出すと、慌てて盗賊たちは口を開いた。
「は、はい! すみません、何でしょうか!」
背筋をピンと伸ばして直立不動で盗賊のボスは声をあげる。
「お主がこの盗賊団のボスという事で間違いないか?」
「はい! 間違いありません!」
「ふむ。まずは名前を聞いておこうか」
――ボスの男の名前は『ミシェイル』。
横に立っている男はミシェイルの片腕で『ラッケンス』というらしい。
「ひとまずお主らはギルドに突き出すが、その前にお主たちのアジトに連れてってもらおうか」
その言葉に渋い顔を浮かべたミシェイルだが、背後にいるラルフが小さく咳払いをすると慌てて頷いた。
盗賊達に自分のアジトを案内させるソフィ達だが、逃げられないように縄で縛ったりなどもせず、自分の足で自由に歩かせていた。
だが、盗賊達は逃げようなどとは一切考えなかった。
何故なら逃げようとすれば、必ずあの恐ろしい男が何の躊躇いも無く自分達を殺すという事を理解しているからである。
それを証拠に今こうして自由に歩かせてもらっているとはいっても、その背後から眼光鋭く彼らを睨みつけながら想像を絶する『殺気』を盗賊達に向けられていた。
――ギリギリ意識を失わずにいられる程の『殺意』。
そして殺されると自覚させられて発狂をせずにいられるだけの『殺気』。
上手く『微笑』という男は彼らをコントロールしている様子であった。
今、この二人の盗賊達が考えている事は一つだけだった。
『早くアジトへ案内して警備達に逮捕されて楽になりたい』という事だけである。
盗賊達にすればいつあの若い男に殺されるか分からないのだ。
まず間違いなく町のギルドで捕縛されていた方が心が休まり、そして幸せといえるだろう。
「それにしてもソフィ、どうして彼らのアジトへ行くの?」
リーネが気になっていたことを口に出す。
「うむ。こいつらの仲間がまだ居るのか確かめるというのもあるが、他の盗賊団達がそのアジトを使う可能性があるのであれば、先に拠点を抑えてギルドに知らせておくと、後々何かの役に立つかと思ってな」
ソフィの言葉に感心したかのようにリーネが納得した。
「おお! 流石はソフィ様ですね」
ラルフが微笑みを浮かべながら感嘆の声を出す。
「ミナトには遠回りさせてすまないな。もしアジトに他の者から奪った金品などがあれば、少しならば袖の下にしても良いぞ」
「い、いえいえ……! 全然構いませんよ。今後盗賊に襲われて身ぐるみを剥がされる事に比べれば、ここで逮捕してもらえるだけで大助かりですからね」
ステンシアの町までの護衛という依頼だったが、ここで盗賊を一網打尽にしてもらえた方が、むしろ行商人のミナトにとっては助かるというのが偽りのない本音であった。
そしてステンシアの町とグランの町を渡す橋の場所から、そこそこ歩いた先に縦に長い洞穴があった。
「こ、ここが俺達が使っているアジトです」
「うむ、そうか。それではお主達はそこで我々が出てくるまで正座でもして待っていろ」
過去に『ベア』や『スイレン』に使った『魔瞳』を使用すると、キィィィンという甲高い発動音と共に、ソフィの目が紅く光るのだった。
「は……い、分かり……、ました」
二人の盗賊はソフィの言葉に素直に頷いて、その後は正座になって虚空を見つめ続けている。
「では、入るとしようか」
「はい、そうしましょう。ソフィ様」
ソフィとラルフがそう言って洞穴に入っていくのを見ながら、リーネとミナトはもう何でもありだなぁという目をして呆れているのだった。
ボスらしき男はソフィの言葉が耳に入っていないのか、ガクガクと震えるだけだった。
「ソフィ様が喋っておいでですよ……?」
ラルフがそっと口を出すと、慌てて盗賊たちは口を開いた。
「は、はい! すみません、何でしょうか!」
背筋をピンと伸ばして直立不動で盗賊のボスは声をあげる。
「お主がこの盗賊団のボスという事で間違いないか?」
「はい! 間違いありません!」
「ふむ。まずは名前を聞いておこうか」
――ボスの男の名前は『ミシェイル』。
横に立っている男はミシェイルの片腕で『ラッケンス』というらしい。
「ひとまずお主らはギルドに突き出すが、その前にお主たちのアジトに連れてってもらおうか」
その言葉に渋い顔を浮かべたミシェイルだが、背後にいるラルフが小さく咳払いをすると慌てて頷いた。
盗賊達に自分のアジトを案内させるソフィ達だが、逃げられないように縄で縛ったりなどもせず、自分の足で自由に歩かせていた。
だが、盗賊達は逃げようなどとは一切考えなかった。
何故なら逃げようとすれば、必ずあの恐ろしい男が何の躊躇いも無く自分達を殺すという事を理解しているからである。
それを証拠に今こうして自由に歩かせてもらっているとはいっても、その背後から眼光鋭く彼らを睨みつけながら想像を絶する『殺気』を盗賊達に向けられていた。
――ギリギリ意識を失わずにいられる程の『殺意』。
そして殺されると自覚させられて発狂をせずにいられるだけの『殺気』。
上手く『微笑』という男は彼らをコントロールしている様子であった。
今、この二人の盗賊達が考えている事は一つだけだった。
『早くアジトへ案内して警備達に逮捕されて楽になりたい』という事だけである。
盗賊達にすればいつあの若い男に殺されるか分からないのだ。
まず間違いなく町のギルドで捕縛されていた方が心が休まり、そして幸せといえるだろう。
「それにしてもソフィ、どうして彼らのアジトへ行くの?」
リーネが気になっていたことを口に出す。
「うむ。こいつらの仲間がまだ居るのか確かめるというのもあるが、他の盗賊団達がそのアジトを使う可能性があるのであれば、先に拠点を抑えてギルドに知らせておくと、後々何かの役に立つかと思ってな」
ソフィの言葉に感心したかのようにリーネが納得した。
「おお! 流石はソフィ様ですね」
ラルフが微笑みを浮かべながら感嘆の声を出す。
「ミナトには遠回りさせてすまないな。もしアジトに他の者から奪った金品などがあれば、少しならば袖の下にしても良いぞ」
「い、いえいえ……! 全然構いませんよ。今後盗賊に襲われて身ぐるみを剥がされる事に比べれば、ここで逮捕してもらえるだけで大助かりですからね」
ステンシアの町までの護衛という依頼だったが、ここで盗賊を一網打尽にしてもらえた方が、むしろ行商人のミナトにとっては助かるというのが偽りのない本音であった。
そしてステンシアの町とグランの町を渡す橋の場所から、そこそこ歩いた先に縦に長い洞穴があった。
「こ、ここが俺達が使っているアジトです」
「うむ、そうか。それではお主達はそこで我々が出てくるまで正座でもして待っていろ」
過去に『ベア』や『スイレン』に使った『魔瞳』を使用すると、キィィィンという甲高い発動音と共に、ソフィの目が紅く光るのだった。
「は……い、分かり……、ました」
二人の盗賊はソフィの言葉に素直に頷いて、その後は正座になって虚空を見つめ続けている。
「では、入るとしようか」
「はい、そうしましょう。ソフィ様」
ソフィとラルフがそう言って洞穴に入っていくのを見ながら、リーネとミナトはもう何でもありだなぁという目をして呆れているのだった。
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