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第三章 終焉を呼ぶ七大天使

第207話 吸盤マッサージ

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 くちゅくちゅという卑猥な水音とルアの小さな喘ぎ声だけが部屋に木霊する。

 今のルアはと言うと、数十分にわたってクラーケン娘に両耳を触手でかき回されていた。その姿はまるでどこか洗脳されているようなイメージを抱かせるものがある。

「うんうんいい感じね~。オイルもしっかり体に馴染んだみたいだし、そろそろいいかな?」

「んぁっ……。」

 ズルリと触手が両耳から抜けていく感覚にルアはビクンと体を震わせた。
 そして拘束から解放されると、ルアはポツリと口にする。

「お、終わ……り?」

 解放されたことによる安堵感からか、そう口にしたルア。そんな彼にクラーケン娘は首を横に振った。

「もう終わった気でいるの~?まだまだ始まったばっかりよ?次は~……よいしょっ!!」

「わっ!?」

 今度はうつ伏せでマッサージ台に転がされてしまうルア。クラーケン娘は触手の先っぽで器用にルアの服の背中についているホックをプチプチと外すと、汗でしっとりと湿ったルアの背中が露になる。

「次は背中のマッサージ♪さっきみたいなゾワゾワ~って気持ちいい感じじゃなくて、体の中心をむぎゅ~って圧迫される不思議な気持ちよさが感じれると思うわよ?」

 そう言うとクラーケン娘はニュルリと触手をルアの背中の上に這わせた。

「ひっ!?つ、冷たっ……。」

「驚かせちゃってごめんね~?君の肌に触れてればだんだん温かくなるからね。それじゃまずは肩から行くわね?」

 クラーケン娘の一際大きな触手がルアの肩にピットリと吸盤で張り付くと、肩に溜まった疲れを吸盤で吸い出すように何度も何度も吸い付き始めた。

「あっ……これ……はっ、気持ちいいかも?」

「うふふふ~♪そ~でしょ?さっき君の耳から浸透させたオイルは、体の中に溜まってる疲れのもとを溶かす効果もあるのよ?だからこうやって~、ちゅっちゅって何回も吸い付いて、溶け出した疲れのもとを吸い出すからね~。」

 吸盤が吸い付き、離れる度にルアの体から溜まっていた何かがスッと抜けていく。次第にルアの表情がトロンと蕩け始めた。

「あ、いい感じに仕上がってきたみたい。気持ちいいね~。」

「ふあぁ……。」

「もしかして寝ちゃいそう?うふふふっ♪良いわよ~?寝て寝て?そしたら後はお姉さんが責任もって君の体……癒してあげるから。安心して、身を委ねていいのよ?」

 クラーケン娘の甘い囁きに、ルアの意識がどんどん薄れていく。しかし、体に伝わってくる気持ちの良い感覚はそのまま……いや、それどころかより一層敏感に感じるようになっていた。

「さぁ、気持ちいいだけを感じて……少し目を閉じよ?」

 促されるがまま、ルアが目を閉じると一気に意識が微睡みの中へと沈んでいく。













 どれ程時間が経ったのだろうか、ルアは不意に自分の頬にツンツンと何かが当たる感触でゆっくりと目を開けた。
 すると、目の前には満面の笑みを浮かべたクラーケン娘が。

「あ、おはよ?よく眠れた?」

「あ、あれ?途中で寝ちゃってた……。」

 むくりとルアが体を起こすと、朝起きた時とはまるで体の感覚が違うことに気がついた。

「すごい……スッキリ?してる。」

「それはそうよ~。疲れのもとを溶かして吸い出したんだもの。スッキリするのは当たり前。」

「あ、ありがとうございました。」

 施術を施してくれたクラーケン娘にペコリと頭を下げると、彼女はルアの頭の上にポンと触手を乗せた。

「お礼を言ってくれるのは嬉しいけど、君……すご~い無理してるでしょ?体バキバキだったんだから、す~ぐわかっちゃったわよ。」

「そ、そんなに?」

「うんうん、子供とは思えないぐらいね。ここに来たときの君の体なんて、中年?なんて言われてもおかしくなかったのよ?」

「あぅぅ……気を付けます。」

「うんうん、素直で良し。まぁ疲れって言うのはどうしても時間とともに溜まるものだから……また疲れたな~って思ったらここに来るのよ?そしたらまた……と癒してあげるから。」

「あ、あはは……ありがとうございます。」

「はい、それじゃお姉さんは後片付けしなくちゃいけないから。受付の別の子にお金払ってちょうだいね?」

 そうして部屋の外へと案内されると、ルシファーがルアのことを待っていた。

「おぉ……ルア様お肌がピカピカしておりますね。それにお顔もとても凛々しく……。」

「そ、そんなに変わりました?」

「えぇ、それはもう……ルシファーの目にはまるで別人に写っております。」

 なぜか少し感動しているルシファー。

 そしてルアは料金を払うとマッサージサロンクラーケンを後にした。

 それからも、ルアは一日中ルシファーに付き合わされることになったのだった。
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