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『特別な人』55
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「そうですよね。
私、そうします。
あんな薄情な男とはお付き合い止めます。
私、今日井出さんに会いに来て良かったです。
きっとこんな風に背中を押してくれる人を探していたんだと思います。
ありがとうございました」
「前向きに考えられるようになってほんとに良かった。
玲子さんにはお灸をすえておきますからね」
若くて可愛らしい内野さんは少しの笑顔を取り戻して帰って行った。
『島本玲子……やっぱりやりやがった』
これでお前の地獄行きが決定だ。
井出耕造48才、島暮らし。
ただし、ほんの1年前からの。
作られた島での俺の設定。
総帥からの依頼だった。
玲子がこの島で改心して暮らせば放流してやろうとのお考えだった。
反省もなく、異性トラブルを犯せば今度こそ直接総帥から厳しい
お沙汰がくだされるだろう。
馬鹿な女だ。
あれほど真面目に暮らすよう忠告してやったというのに。
三つ子の魂百までとは昔の人はよく言ったものだな。
見た目と中身の釣り合いが取れていない残念な女だ。
どんな男をも虜にできるほど美しいのだから何もわざわざ人のモノに
手を出さずとも言い寄って来る男はたくさんいるだろうに。
つくづく厄介な性を持って生まれ落ちたものだ。
一応この話が本当か井出は証拠取りをすることにした。
内野さんが有給を取って俺のところに来た日、その日の内に
人を使っての裏取調査を依頼した。
内野さん自身がすでに恋人である宅麻から言質を
取っているようだし十中八九虚言ではないと思うが、間違いを
犯さないための裏取は必須だ。
2日後、内野さんの話に虚偽はなかったことを立証する報告書が届いた。
これでこの先俺がどう動けばいいのかが決まった。
彼女は最後のチャンスを失った。
「そうですよね。
私、そうします。
あんな薄情な男とはお付き合い止めます。
私、今日井出さんに会いに来て良かったです。
きっとこんな風に背中を押してくれる人を探していたんだと思います。
ありがとうございました」
「前向きに考えられるようになってほんとに良かった。
玲子さんにはお灸をすえておきますからね」
若くて可愛らしい内野さんは少しの笑顔を取り戻して帰って行った。
『島本玲子……やっぱりやりやがった』
これでお前の地獄行きが決定だ。
井出耕造48才、島暮らし。
ただし、ほんの1年前からの。
作られた島での俺の設定。
総帥からの依頼だった。
玲子がこの島で改心して暮らせば放流してやろうとのお考えだった。
反省もなく、異性トラブルを犯せば今度こそ直接総帥から厳しい
お沙汰がくだされるだろう。
馬鹿な女だ。
あれほど真面目に暮らすよう忠告してやったというのに。
三つ子の魂百までとは昔の人はよく言ったものだな。
見た目と中身の釣り合いが取れていない残念な女だ。
どんな男をも虜にできるほど美しいのだから何もわざわざ人のモノに
手を出さずとも言い寄って来る男はたくさんいるだろうに。
つくづく厄介な性を持って生まれ落ちたものだ。
一応この話が本当か井出は証拠取りをすることにした。
内野さんが有給を取って俺のところに来た日、その日の内に
人を使っての裏取調査を依頼した。
内野さん自身がすでに恋人である宅麻から言質を
取っているようだし十中八九虚言ではないと思うが、間違いを
犯さないための裏取は必須だ。
2日後、内野さんの話に虚偽はなかったことを立証する報告書が届いた。
これでこの先俺がどう動けばいいのかが決まった。
彼女は最後のチャンスを失った。
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