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1章: 良かれと思った校則だったが

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 春の朝日が差し込む窓から、咲き誇る桜の花を眺めていた紫乃は、時計の針が八時を指すのを見て、慌ててベッドから飛び起きた。今日は入学式の日だった。紫乃は急いで着物に袴を着て、髪を結って、鏡で顔を確認した。着物は淡い桃色で、袴は白に紺の縞模様だった。紫乃は自分の姿に満足して、小さく微笑んだ。母親が作ってくれたお弁当と教科書をカバンに入れて、玄関に向かった。

「紫乃、おはよう。今日は大事な日だね。」
母親が優しく声をかけてきた。紫乃は母親に頭を下げて、感謝の言葉を述べた。「お母さん、ありがとう。お弁当も作ってくれて、本当に助かります。」
「いいえいいえ、紫乃が幸せになってくれればそれでいいのよ。」母親は紫乃の頬にキスをして、笑顔で見送った。

紫乃は玄関を出て、隣の家に向かった。隣の家には、紫乃の幼なじみで、同じ女学校に入学することになった葵が住んでいた。葵は紫乃と同じくらいの背丈で、黒髪に黒目の美しい少女だった。着物は水色で、袴は紺色だった。紫乃は葵の家の前に着くと、呼び鈴を押した。

「紫乃、おはよう。」
葵が玄関を開けて、明るく挨拶した。「おはよう、葵。今日は一緒に登校しよう。」紫乃は葵に笑顔で返事した。「うん、そうしよう。」葵はカバンを持って、紫乃と一緒に歩き始めた。

二人は近所の道を歩いていた。道には桜の花びらが散っていて、風に舞っていた。二人は桜の下を通るたびに、感嘆の声を上げた。近所の大人たちも、二人の姿を見て、祝福の言葉をかけてきた。「紫乃ちゃん、葵ちゃん、おめでとう。」「女学校に入学するんだね。頑張ってね。」「二人とも立派になったね。お母さんたちも嬉しいよ。」
二人は大人たちに礼を言って、にこにこしながら歩いていた。二人は幼いころから仲が良くて、いつも一緒に遊んだり勉強したりしていた。女学校に入学することになったのも、二人で受験したからだった。二人は同じ夢を持っていた。それは、教師になることだった。二人は教師になれば、たくさんの子どもたちに知識や道徳を教えられると思っていた。二人は教師になるために、女学校で一生懸命勉強すると誓った。

「紫乃、女学校に入ってから、どんなことをしたい?」
葵が紫乃に聞いた。「うーん、私は、英語や数学や歴史など、いろいろな教科を勉強したいな。あと、音楽や美術や体育も楽しみだな。」紫乃は答えた。「私もそうだよ。特に英語は、外国の人と話せるようになりたいな。」葵は言った。「そうだね。英語は世界の共通語だから、勉強する価値があるよね。」紫乃は同意した。

「それに、女学校には、いろんなタイプの女の子がいるんだろうね。」葵は言った。「そうだね。私たちは、いろんな女の子と仲良くなれるといいね。」紫乃は言った。「でも、私たちは、ずっと一緒にいようね。」葵は紫乃の手を握って、言った。「うん、私たちは、ずっと一緒にいよう。」紫乃は葵の手を握り返して、言った。

二人は手をつないで、女学校に向かって歩いていた。女学校は、二人の家から電車で一駅のところにあった。女学校は、明治時代に創立された歴史ある学校で、優秀な教師や卒業生を多く輩出していた。女学校の校舎は、洋風の建物で、赤い屋根と白い壁が目立っていた。女学校の門には、桜の木が並んでいて、今は満開だった。

二人は電車に乗って、女学校の最寄り駅に着いた。駅から女学校までは、徒歩で十分ほどだった。二人は駅を出て、女学校に向かって歩いていた。道には、同じように女学校に入学する女の子たちがたくさんいた。女の子たちは、着物に袴を着て、カバンを持って、楽しそうに話しながら歩いていた。二人は女の子たちの顔を見て、興味深く思った。女の子たちは、いろいろな色や柄の着物に袴を着ていて、それぞれに個性があった。二人は女の子たちに挨拶をしながら、自分たちも仲間に入れると感じた。

「紫乃、あそこに見て。」
 葵が紫乃に指さして、言った。紫乃が見ると、女学校の門が見えてきた。門には、大きな看板が掲げられていて、「女学校入学式」と書かれていた。門の前には、女の子たちが次々と入っていっていた。二人は女の子たちに続いて、門をくぐった。

「皆、華やかね――あら」
 聞きしに勝る気品の良さに圧倒された紫乃はしかしながら、なぜか人目をはばかるように動く一人の女子学生を見咎めた。

 あまりに挙動がおかしかったので何か困りごとでもあるのかと思い、自ずと彼女を追う。
 そんな紫乃を、葵も察した様子でついてきた。

「はぁ、もうだめ・・・・・・我慢できない」



 あろうことか女子学生は、大胆に足を開いて袴をめくり、そこから現れた白い股布の辺りを激しく愛撫した。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
 もう思春期に差し掛かる二人にも、その行為の意味が分かった。
「紫乃、何だか私・・・・・・」
 気まずそうに慰みに拭ける女子学生を眺めていた葵が思わず切り出した。
「うん、見なかったことにして先を――」
「違うの」
 葵もまた、新調したばかりの袴をめくり、女子学生と同じ行為を始めた。

 無論、彼女も入学時に学校より言われたパンティーなる下ばきを身に着けている。
 だからこそ後始末には困らないという安心感が背中を押したようだ。
「やめてよ、そんな事されたら、私まで・・・・・・」


三人は各々、式典も知らずに短絡的な快楽を求め続けた。
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