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終章: こんなはずでは

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 多古作はその肌でひしと感じていた。
 自分が導入した校則により、女子学生達の風紀が乱れているという現実を。
 現に今、出席簿を届けたばかりの女子学生の一人が恐らくは校長室の前の廊下で、あるまじき行為に手を染めている。
『あん、あ~~ん』

「あの、校長先生」
「何か?」
 秘書の女性教諭がなぜか火照ったような顔で、身動ぎしている。
「少し、御手洗いに行ってもよろしいでしょうか」
「ええ、どうぞ」
 そう彼女は言って、しばらく戻ってこない。
 向こうで何をしているかは容易に察しがついた。
 ちなみに彼女にも、パンティーを着用するよう義務付けている。
 命の安全を守るのに、教員も生徒もないからだ。



「やれやれ」
 見せてもよいための下着という考え方は、完全に間違っていたと言ってよかっただろう。
 そもそもパンティーなるものが発明されたわけでもない日本で、まだ若い少女達にその使い方を完全に習得するよう求めていることが間違いだったのだ。
 思えば多古作が以前にぶつかった西洋人の少女も、パンティーを見られて色白の肌を紅潮させていた。
 要するにこれはジュボンの一種などでは決してなく、恥じらうべき裸体も同然。
 そもそも、この布地は禁忌を隠すようで、隠していない。
 股にぴったりとフィットする構造は陰部の形を浮き彫りにし、女によっては湿りを帯びたせいで布地が透けている。
 これはむしろ、以前よりも卑猥で挑発的で、教育現場で堂々と見せてよいものではない。
 今すぐ禁止にしたいところだが、女の股間に既に納まっているそれを剥ぎ取るのはいかがなものか。
 パンティーはそのままにして、防火対策でも考えよう。

 多古作の課題は妙な傷跡を残して、振出しに戻るのだった。

(了)
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