異世界ライフの楽しみ方

呑兵衛和尚

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第七部 これからの日常、異世界の日常

異世界の章・その17 チートデータが発動する

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 アミューズメントパーク『チャレンジワン』。
 一回は巨大なUFOキャッチャーコーナー、二階からはバッティングセンターやゲームセンター、ビリヤードなどさまざまなゲームが楽しめる。

 まずは二階のバッティングセンターにやってきた二人。
「ほほう。楽しそうな感じだなぁ」
 ストームもマチュアもやり方は知っているが、ボロを出したくないので十六夜の説明を聞いている。
「ここが一番球の速度が遅いところでして。女性はこのあたりから始めた方が‥‥あれ?」
 一通りの話を聞いてから、マチュアとストームは最速の場所に向かう。
 球の最高速度が175kmに設定されている場所。
 正面上のホームランコースの的に当たると景品が貰えるらしい。
「そこは幾ら何でも無理では?」
 十六夜が笑っているが、マチュアとストームは振り向いてニイッと笑う。
「あの景品で何が欲しい?」
「そりゃあ、ゲームステーションXが欲しいですね。まだ市場に出回っている数が少ないのですよ」
「あとは?」
「Pパットも欲しいですよ。先月発売されたばかりの最新のタブレットですからね」
「そうかそうか。これ、一人の個数制限はあるのか?」
 そう店員に問いかけるストーム。
「ありませんよ。景品の貰えるチャレンジは175km設定です。そこのボタンを押したらスタートしますので頑張ってくださいね」
 ニコニコと笑う店員。
 百円で10球と優しい設定だが、175kmの球などホームランできるものがいたら見てみたい。
 そんな設定であろう。
「それじゃあ行くか」
 金属ネットの中に入ると、ストームはヘルメットを被ってバットを構える。
 ちょうど後ろでは店員が見にきている。

――ズドォォォォン
 初球はストームも見送った。
 それには店員も苦笑しているが。
「遅っ‥‥こんなのかよ」
 続いて二球目。
――ガッキィィィィン
 いきなりホームランコースに直撃。
 的の中央にボールを叩き込むと、チャレンジ成功を告げるマークが点滅した。
「す、すごい。こんな事って‥‥」
 その後も次々とホームランを叩き込むストーム。
 全部で八球の球をホームランコースにぶつけていた。
「お、お客様‥‥まさか本職が野球選手とかではないですよね?」
 店員が慌てて問いかけるが、ストームは一言。
「鍛治師だ!!」
 その一言で店員を黙らせた。

 そして次はマチュアである。
「はっはっ。ストームが八球なら私は九球だね」
――ズドォォォォン
 いきなり見送り。
 続いて。
――ズドォォォォン
 空振り。
 その光景には、店員もホッとしていたが。
――ガッキィィィィン
 そこからマチュアのラッシュ。
 十球中六球を、ホームランコースに飛ばした。
 やはり店員が慌ててやってくるが、マチュアが女性なので何も言えない。
 トータルで14個の景品をゲットしたマチュア達。
「タブレットとか言うのは私も欲しいなぁ」
「俺もだ。ゲームは要らない。電源のないものが欲しい」
 口々に欲しいものを選ぶ一行。
「あはは。なんの苦労もなく最新のタブレットも、ゲームもスマホもブランドバックもゲットしちゃった‥‥」
 呆然としている十六夜。
 だが、これはほんの始まりに過ぎなかった。


 ◯ ◯ ◯ ◯ ◯


 結構前のツヴァイ達。
 赤レンガ庁舎二階ロビーで、一通りの説明を終えると。
「異世界政策局は明らかに待遇が良すぎですよねぇ」
「ええ、羨ましいですよぉ~」
 とあちこちから不平不満が聞こえてくる。
「そう言われましてもねぇ。そのような不満はそれぞれの課長に告げてくださいよ。私達は私たちで大変なのですよ?」
「そ。それはわかっていますけど‥‥」
 と、やはり納得はしていない。
 ならばとツヴァイが、その場の全員に一言。
「では、カナンの言葉を覚えて見てください。それで日常会話が可能なレベルになったと判断したら、その時は私が三笠部長に人員追加を進言してみます。そこからは皆さんが説得してください」
 そう説明すると、ツヴァイは軽く会釈をしてその場から立ち去る。
 その後ろを、赤城や高畑、吉成の三人もついていった。

 ‥‥‥
 ‥‥
 ‥

 地下鉄ですすきのに向うと、赤城達は行きつけの居酒屋チェーンにやってきていた。
「居酒屋・桃源郷?」
「ええ、全国チェーンの居酒屋ですよ。安くて早くて美味しい。ここで食べてからカラオケに行きましょう」
「その前にと‥‥」
 吉成がツヴァイの頭に帽子をかぶせる。
 外見がパンパカパーンな金髪巨乳エルフなので、せめて耳だけでも隠すと。
「あっというまに爆乳アメリカ人に早変わりです」
「でも、この胸はねぇ‥‥」
 そんな話をしながら、取り敢えずは桃源郷に入る。
 完全個室なので、安心して飲み食いできるのがこの店の良いところである。
 次々と注文してひたすら飲む。
 1時間もすれば、すっかりメーターが上がっている一行。

《さて参った。この新型ボディは対毒抵抗100%なんですよねぇ》

 全く酔わない。
 必死に自分のボディデータを調整して、対毒抵抗を少しだけ下げてみる。
 すると、少しだけ酔いが回り始めた。
「ツヴァイさんはお酒強いんですねぇ」
「それほどでもないんですけれどね。少し酔ってきましたよ」
「あにょ。ツヴァイさんに教えてほしいことがありましてぁ」
 赤城が隣のツバイに問い掛ける。
「はいはい、なんでしょうかぁ?」
――ムニッ
 突然赤城がツヴァイのおっぱいを両手で持ち上げる。
 そしてゆっさゆっさと揺らし始めた。
「こんなにどうやったら育つんですかぁ~。カナンにこの前行ったときも、巨乳の人がいっぱいいたじゃないですかぁ」
「そうだそうだぁ。巨乳になる薬でもあるんですかぁ」
「私ももう少し大きくしたいのですよぉ」
 この酔っぱらいめ。
 三人がそう問いかけているが。
 ツヴァイはテーブルの真ん中に頭を寄せると、そっと一言。
「冒険者は身体を使うので筋肉が発達します。近接系は形の良いおっぱいで、魔導士系はソフトな爆乳に仕上がります」
 そう呟くツヴァイ。
 少なくとも、ツヴァイの知っている中での統計データでは、その傾向が大きい。
 魔導士の中には、『魔導士はおっぱいに魔力を蓄える、近接系は筋肉に心力を蓄える』というとんでも理論を展開したものも居る。
 当然これが全てではないが、魔導士にも貧乳はいるし戦士にも爆乳はいる。
 ただ、統計上そうというだけである。
 あとは栄養。
「それとですね。カナンの食事は肉食が多いのですよ。栄養価の高いタンパク質が豊富でして。こっちの世界の化学調味料とか添加剤、保存料はありませんので、それだけでおっぱいが大きくなるという話もあります」
 そう説明するツヴァイ。
「な、なら、明日からは毎日カナンで晩御飯を食べます」
「私も一緒に」
「ええ。是非とも行きましょう。おっぱい星人を見返してやるのです」
 赤城が殺気の篭った声で叫ぶ。
「あ、あの、赤城さん、何かあったのですか?」
「半年ほど前に彼氏に振られまして。彼が実は隠れおっぱい星人だったのですよ。その前もおっぱいで振られまして‥‥赤城さん、男運がないのですよ」
「はぁ‥‥運のパラメーターは高いけれど、男運についてはペナルティエリアなのでしょうねぇ」
 そう説明してからモヒートのおかわりを頼むツヴァイ。
「そ、そういうのも判るのですか?」
「まあ、いくら私達の世界が魔法のある世界でも、人のそのようなものを数値化して知ることなんてねぇ‥‥あ、冒険者ギルドにありますわ」
 マチュアとストームはウィンドゥで確認できる。
 だが、それ以外の冒険者はどうやって自分の能力を知ることが出来るのか。
 それはギルドにある『認定儀』を使うらしい。
 ランクがあがるときは『認定儀』で資質を調べ、それが一定値を越えれば自動的にあがる。
 冒険者は依頼が終わるたびに必然的に調べているのだが、マチュアとストームはそんなことする必要がなかった。
「あるんですか!!」
「けど、冒険者で依頼を終わらせないと使えませんから。みなさんはこれからですよ」
「やっぱり異世界に行くしかないんですね」
 どうしてそこに繋げるのかとツヴァイは問いかけたくなる。
 やがてそこそこに盛り上がったので、次は場所を変えてカラオケに行くことになったのだが。

 ‥‥‥
 ‥‥
 ‥

「あら、彼女たちどこかいくの?」
「よかったら一緒に遊びに行かない?」
「俺たち楽しいよぉ。絶対に満足させるからさぁ」
 チャラチャラしたホストみたいな三人組が赤城達に話しかけてきた。
 下心がチラチラと見え隠れて強いる。
「いえいえ、今日は仕事の仲間との飲み会ですので遠慮しますよ」
「そうそう。ではいきましょ?」
「ですねぇ」
 適当にあしらって行こうとするが、一人の男がグイッとツヴァイの腕を掴む。
「なら、この巨乳ちゃんだけで‥‥え?」
――シュンッ
 掴まれた腕をつかみ返してぐるっと投げ飛ばすツヴァイ。
 腕を引いて倒れないようにすると、その場に綺麗に着地させた
「次に同じことをしたら地面に叩きつけます。それがいやなら私達から離れて下さい」
「こ、この‥‥」
 一人の男がツヴァイに向かって殴りかかったが。
 その一撃は綺麗に受け流しパリーイングすると、カウンターで頭にデコピンを入れる。
――パチィィィン
 綺麗な音が響く。
 それで男はよたよたと座り込む。
 そして最後の一人がツヴァイに向かってスタンガンを構えたが、一瞬で手首に手刀を受けて足元に落としてしまう。
「相手を考えて喧嘩を売ってくださいね。では行きましょうか」
 ニコッと笑って赤城たちの元向うと。
「つ、ツヴァイお姉さま素敵ですわ」
「さあ、はやく行きましょう」
「ツヴァイさん格好いいですね」
 ツヴァイの評価がうなぎのぼりになっていた。
「あら、これはやりすぎたかな?」
 ぼそっと呟きつつも、一行は近くのカラオケボックスへと向かっていった。


 ○ ○ ○ ○ ○


 チャレンジワンで猛威を奮っていたストームとマチュア。
 いまはゲームセンターの一角にあるピッチングマシーンで遊んでいるところである。
「さて。次は何キロで?」
「マチュアか、145kmでいってみようか」
 本来は全力で投げて速度を測定するものであるが、全力で投げたら破壊すると計算した二人の遊び方がこれである。
「あ、あのー。指定した速度で投げる機械じゃないのですぉ?」
 十六夜が二人にそう説明するが。

「「本気なら壊すよ?」」

 という一言で納得した。
――スパァァァン
 マチュアの一投。
 でた速度は148km.
「うむ、3kmオーバーだな。じゃあ次は俺だ」
「ストームなら170kmで」
 その言葉に、近くで見ていた大人も驚く。
 そんな速度で投げれるはずないと踏んだのだろうが。
――ズバァァァァン
 その一投で出た速度が167km。
 遊びに来ていた大人の表情が固まる。
「まあ、これも3km差か。これはイーブンで次だ」
「よしよし。十六夜さん、これも景品でるの?」
 そう問いかけてみる。
「ええっと。150km以上で貰えますね。記念撮影付きで飾られますよ、ストームさんゲットです」
「よっしゃあ」
 パンッと拳を鳴らすストーム。
 受付からは楽しそうに店員がやってくる。
「お、おめでとうございます。こちら記念品の札幌ドームの野球観戦チケットです。ペアでバックネット裏指定席ですよ」
 ほう。
 それはいいものだ。
 そのチケットを十六夜に手渡すストーム。
「どうせいけないからやるよ」
「それじゃあ次は私が。あと二枚あれば、職員の女性全員分あるでしょ?」
 腕をグルグルと回しながら、マチュアが投球準備をする。
「それじゃあいきまーす」
――ズバァァァァァン
 表示速度は161km.
 無事に商品ゲットである。
 またまた店員が走ってくると、マチュアにもチケットを手渡した。
「はい、これで4枚そろったでしょ?」
「あ、ありがとうございます‥‥でもすごいですね」
「まだ本気じゃないけどな。それじゃあ、次のゲームでも遊ぶとするか」
 テクテクとその場をはなれるストーム達。
 そしてストーム達を、少し離れたところから見ている野次馬たちが集まりつつあった。

 次はビリヤードに挑戦していたのだが、ストームはこればかりは全然駄目。
 マチュアは細かい角度計算を行ってみたが、どうも力加減が難しくやはり駄目。
 十六夜が一人で二人を圧倒しているという状況になっている。
 続いてボウリングにもチャレンジしたのだが、これも力加減が上手く行かずやはり駄目。
 微妙なコントロールに四苦八苦しているうちに、これも十六夜が圧勝という番狂わせになっていた。

 そしてダーツ場に向かった時。
「ソフトダーツとハードダーツどっちがいいですか?」
「任せますよー」
「どっちでもいいが‥‥」
 ストームもマチュアもダーツについては少しだけ知っている。
「ではでは。ソフトダーツはスコアが自動なのでソフトで。ゲーム内容はなににしましょうか?」
「一番スタンダードなやつでいいよ」
「十六夜さんに任せますよ」
 ならばと、一番ポピュラーなルールを提案する。
「501のカウントダウンでどうですか?」
 さきに501点取った人が勝つ。
 ただそれだけのルール。
 だたし、最後はしっかりと501点取りきらなくてはならず、1点でもオーバーしたらその前のスコアからやり直し。
「ほいほい。それでいいよ」
 ということで、ミニミニダーツ大会が始まったのだが。
 まずは十六夜から。
――ストストストンッッッ
「えーっと。15のダブルと18のトリプル、18のシングルで‥‥87ですね」
 おおう、意外と高いぞ
 次はマチュアだが。
――ストストストン
「全部真ん中で150と」
「えええ? なんで?」
 突然のことに驚く十六夜。
 そして次のストームも。
――ストストストン
「おれも全部真ん中だな。150だ」
「まさかとは思いますが、得意ですか?」

「「投げナイフなら」」

 これだから冒険者は。
 この後もセンターブルと呼ばれている中心部に的確にダーツを入れて行くと、マチュアは4回目の二投目に501点目を綺麗に入れてフィニッシュ。
 同じくストームもフィニッシュすると、十六夜の一人負けが確定した。
「冒険者って、こんなに強くなれるのですか。ケビン枢機卿が話していた理由がよくわかりましたよ」
 カナンで|魂の護符《プレート)を発行してもらった時に、十六夜達も赤城達と同じ説明をされたらしい。
「へぇ、ケビン枢機卿に会ったんだ。なんて話していたの?」
「冒険者になったら、こっちの世界に戻った時の身体能力は今までとは変わるって仰っていましたね。こう言う事ですね?」
 その話には、ストームがウンウンと頷く。
「まあ、俺たちはその中でもチートすぎるらしいな」
「だから、こっちの世界のプロにはなれないのよ。スポーツ系はね。異世界からこっちに来る理由は移住よりも観光。でも、貴方達が私たちの世界に来る理由はかなり多いはずよ」
 少しだけ悲しそうなマチュア。
 ストームはそれ程気にはしていないようだが、それでも本気で遊ぶことは難しい。
「そうなんですか‥‥じゃあこれなんてダメなんですね?」
 ゲームセンターエリアにあったパンチングマシーン。
 それをトントンと叩いて問いかける十六夜。
「ああ、これは俺よりもマチュアがダメだろう?」
「試しに加減してみる?」
――チャリン
 百円玉を投入すると、グン、とパンチする部分が上がってくる。
「話に聞いたら、ドラゴンなんとかって言う漫画があるじゃない。その中の大会でもこう言うので強さを測定するシーンがあるんですって?」
「あ~、ありますね世界一武道大会編ですね」
「それと同じよ?」
――ドッゴォォ
 グローブをつけてから軽く殴ったが、それでもスコアは953KG。
 約1トンのパンチ力が算出された。
「本気で殴ると、機械を壊せるよ。なので、横のこれなんて、クッション部分を破壊しちゃうわ‥‥おや?」
 奥のカウンターからまたしても店員が景品を持ってくる。
「あ、これもチャレンジですね。300kg以上で景品ですって」
「ほう。ならば」
 走ってくる店員に手のひらを見せてストップを掛けると、ストームもパンチングマシンに百円投入。
――ドゴォッ
 ストームのスコアは675kg。
 無事にチャレンジクリアである。
「よし、十六夜ちゃん、景品をもらいに行くぞ」
「そうそう。ヘルメスの財布でもイェスサローランのバックでも好きな景品をもらっておいで」
 ヒラヒラと手を振るマチュア。
 そのまま近くのベンチに座ると、ストームと十六夜が戻るまで一休みである。

 マチュア達が景品を取ったので、カップルで遊びに来ている人達は彼氏に景品を取って欲しいとねだり、次々とチャレンジしている。
「あれ?300kgって、プロ格闘家レベル?」
 頭を捻るマチュア。
 目の前のカップル達が楽しそうに挑戦しているが200kgを超える人はなかなかいない。
 それでも楽しそうに遊んでいる。
「あの、人違いならすいません。異世界から来たエルフさんですか?」
 ふと、女性がマチュアに声を掛けできた。
「しーっ。内緒ね」
 ニッコリと微笑んでそう話すと、その女性は嬉しそうにマチュアに握手を求める。
「あ、握手して下さい。エルフと握手するの夢なんです。小説や映画の中の人と会えるなんて絶対にないと思っていましたから」
――ソッ
 軽く右手を差し出すと、女性も握ってくる。
 柔らかく弱い力。
 日常生活には自然とリミッターが掛かっているので、握り返しても潰すことはない。
「柔らかいですね。ありがとうございました‥‥それでですね?」
「はい?」
「私も異世界に行けますか?」
 こっちの世界の人にとっては夢の世界。
 そこに行けるかと問われる。
「そうねぇ。行けるかどうかはこの国次第よ。私たちは受け入れる準備も覚悟も終わっているから」
「そうですか。行けるようになったら是非行きます。それではありがとうございました」
 ヒラヒラと手を振ると、女性は楽しそうにその場を立ち去る。
 すると。
「あの、夕方トクオシ見ました。エルフのマチュアさんですよね?」
「あ、本物のエルフさんだ」
「やっぱり本物だ。似ているなーと思ったんですよ」
「握手してくださーい」
 少しずつ人が集まってくる。
 それに答えて握手していると、やがてストーム達も戻って来て‥‥。

「なんだ?ここはエルフの握手会会場か?」
 気がつくと握手待ちの客が三十人ほど並んでいる。
「マチュアさん、何したのですか?」
「はぁ。テレビ見た人が握手して欲しいって。そしたらこうなった」
 順番に握手するマチュア。
 そして列が途切れるまで握手すると、十六夜がマチュアとストームを連れて別の階に向かった。
「私は考えました。ストームさんとマチュアさんに勝つ方法。それはずばりこれです!」
 やって来たのはカラオケコーナー。
「はぁ、歌ですか」
「はい。歌ならばマチュアさんたちにも勝てます。どうですか?」
 その自信満々な口調に、ストームご頬をポリポリと掻きながら一言。
「俺たちは、この世界の歌知らないんだが‥‥」
 思わずマチュアも苦笑する。
「あ、そ、そうですよね。これは失念。そうか、そうですよねぇ」
「まあ、歌を覚えたら一緒にきてあげるわ。さて、次は何処がいいかしら?」
 チャレンジワンを徘徊する三人。
 ある程度体を動かすゲームは終わらせた。
 あと残っているものといえば‥‥。
「そうだ、あれがありました‼︎」
 最上階にあるアミューズメントに向かう十六夜たち。
 そして辿り着いた先は、どう見てもマチュアとストームにとっては絶好の場所であった。
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