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告白
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「塚田しゃん、王子様みたいれ素敵れす」
はずかしいくらい呂律の回らない言葉も、きっと夢の中だから。
一生懸命走っているのに全然スピードが出せない、とか……誰かを全力で追いかけているのに何故か歩いているはずの相手にどんどん離されちゃう、とか夢の中ではそう言うもどかしいことがまま起こるものだもの。このたどたどしくて歯がゆい口調も、きっとそんなのの一種。
「ありゃりゃ。藤原さん、完全に酔っ払っちゃってますね」
私の真正面に座った、その他大勢くんの一人が、そんなことをつぶやいた。
私はその声に、半ば条件反射で「すみません」と言う。
「二人とも、すまないが僕はこのまま彼女を送っていくことにするよ。――これで支払いとか頼めるかな?」
言いながら塚田さんが林さんたちに向いてお財布を取り出しておられるのが見えた。
んー、渡しておられるお札が本物っぽいから……これは現実、かな。
林さんたちにここのお支払いのことや、何ならお二人の二次会への出資のことなんかを提示し終えた塚田さんが、現実の世界から夢の世界へ戻っていらっしゃる。
そうしてすぐに私の耳元に唇を寄せると、「藤原さん、僕は今から貴女の身体に触れます。いいですね?」と小声でささやいた。
いつもより低められた塚田さんの声に耳をとろかされながら、私はこくん、とうなずく。
直後、私は塚田さんに椅子から抱え起こされていた。
塚田さんの端正な横顔がすぐ間近にきて、私はドキドキと胸が高鳴るのを抑えられなくなる。
真横から見ると、眼鏡のレンズ越しではない彼の瞳が透かし見えるのが、また特別な感じがして一際激しくときめいてしまう。
動悸があまりに苦しくて、思わずうるさく脈打つ胸元に手を添えた。
気持ちを外に出さないから、こんなにも心臓が暴れてしまうのかな。
ぼんやりとそんなことを思う。
そのまま塚田さんに支えられてフラフラと歩きながら、これが夢なのか現実なのか、私は未だに判別がつけられなかった。ただ、彼を恋い焦がれる心だけがほわほわと胸の内を揺蕩って。
私は自分の置かれた状況がよく分からないことが急に不安になって、その拠り所を求めるみたいに塚田さんの腕にぎゅっとしがみつく。
色んな想いが 交錯してグチャグチャになりそうな意識のなか、彼の温もりと体臭だけが確かなものに思えた。
私は破裂しそうな心臓に押されるように、半ば無意識にうっとりとつぶやく。
「私、塚田しゃんのことが……どうしようもなく大好きれす……」
途端、私を支える彼の腕に、ほんの少し力がこもった。
はずかしいくらい呂律の回らない言葉も、きっと夢の中だから。
一生懸命走っているのに全然スピードが出せない、とか……誰かを全力で追いかけているのに何故か歩いているはずの相手にどんどん離されちゃう、とか夢の中ではそう言うもどかしいことがまま起こるものだもの。このたどたどしくて歯がゆい口調も、きっとそんなのの一種。
「ありゃりゃ。藤原さん、完全に酔っ払っちゃってますね」
私の真正面に座った、その他大勢くんの一人が、そんなことをつぶやいた。
私はその声に、半ば条件反射で「すみません」と言う。
「二人とも、すまないが僕はこのまま彼女を送っていくことにするよ。――これで支払いとか頼めるかな?」
言いながら塚田さんが林さんたちに向いてお財布を取り出しておられるのが見えた。
んー、渡しておられるお札が本物っぽいから……これは現実、かな。
林さんたちにここのお支払いのことや、何ならお二人の二次会への出資のことなんかを提示し終えた塚田さんが、現実の世界から夢の世界へ戻っていらっしゃる。
そうしてすぐに私の耳元に唇を寄せると、「藤原さん、僕は今から貴女の身体に触れます。いいですね?」と小声でささやいた。
いつもより低められた塚田さんの声に耳をとろかされながら、私はこくん、とうなずく。
直後、私は塚田さんに椅子から抱え起こされていた。
塚田さんの端正な横顔がすぐ間近にきて、私はドキドキと胸が高鳴るのを抑えられなくなる。
真横から見ると、眼鏡のレンズ越しではない彼の瞳が透かし見えるのが、また特別な感じがして一際激しくときめいてしまう。
動悸があまりに苦しくて、思わずうるさく脈打つ胸元に手を添えた。
気持ちを外に出さないから、こんなにも心臓が暴れてしまうのかな。
ぼんやりとそんなことを思う。
そのまま塚田さんに支えられてフラフラと歩きながら、これが夢なのか現実なのか、私は未だに判別がつけられなかった。ただ、彼を恋い焦がれる心だけがほわほわと胸の内を揺蕩って。
私は自分の置かれた状況がよく分からないことが急に不安になって、その拠り所を求めるみたいに塚田さんの腕にぎゅっとしがみつく。
色んな想いが 交錯してグチャグチャになりそうな意識のなか、彼の温もりと体臭だけが確かなものに思えた。
私は破裂しそうな心臓に押されるように、半ば無意識にうっとりとつぶやく。
「私、塚田しゃんのことが……どうしようもなく大好きれす……」
途端、私を支える彼の腕に、ほんの少し力がこもった。
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