このユーザは規約違反のため、運営により削除されました。 前科者みたい 小説家になろうを腐ったみかんのように捨てられた 雑記帳

生まれてこなかった子の日記

夜の闇が部屋に静かに広がり、微かな明かりがその中を照らしています。部屋の中心には小さなベッドがあり、その上にはひとりの胎児が静かに横たわっています。その身体はまだ小さく、透き通るような肌が明かりに照らされています。

周りには医療機器や検査用の器具が置かれていますが、その中でも特に目立つのはモニターの音が微かに聞こえる心臓モニターです。その音は規則的に鼓動し、部屋に静寂なリズムをもたらしています。

窓から差し込む月光が部屋を優しく照らし、その光が胎児の身体を柔らかく包み込んでいます。まるで、その小さな存在が月の祝福を受けているかのように思えます。

胎児の周りには医師や看護師の姿が見え、彼らは静かにその存在を見守っています。彼らの表情には様々な感情が交錯しており、喜びや不安、そして深い哀しみがにじみ出ています。

部屋の中には静かな空気が流れ、その中には未来への希望と、同時に不可解な悲劇の影が漂っています。胎児はまだこの世界を知ることなく、その存在はまるで幽霊のように、この世界とあの世の狭間で揺れ動いているかのように思えます。


生まれてこなかった子の日記

10月5日：

今日は、私の存在が始まりました。まだ両親は私の存在を知りませんが、私はすでにここにいます。私は女の子になると決まっています。金髪で青い瞳を持つ女の子。ほとんどのことがすでに決まっています。私が好きな花の種類まで。

10月19日：

私のことをまだ人間とは呼ばない人もいます。私が生きているのは母親だけだと言う人もいます。でも私は人間です。パンのかけらでも、それはパンと同じです。母親は生きています。だから私も生きています。

10月23日：

今、私は口が開けられるようになりました。1年もすれば、笑えるようになり、話せるようになります。素晴らしいですね。私が最初に話す言葉はわかっています。ママって言います。

10月25日：

今日、心臓が自分のリズムで動き出しました。これからずっと、私の生きる限り、やさしく鼓動し続けます。数年経てば、心臓は疲れ、いずれ止まってしまうでしょう。そのとき私も死ぬでしょう。

11月2日：

毎日、少しずつ成長しています。手足はしっかりとした形になりました。しかし、この小さな足で立ち上がり、母親の手を握るまで、この小さな腕で花を摘むまで、お父さんに抱かれるまで、まだ時間がかかります。

11月12日：

手に小さな指ができました。とても小さくて、不思議な気持ちです。この指で母親の髪を触れるでしょう。

11月20日：

今日、医者が母親に私の存在を知らせました。母親は喜ぶでしょう。そうでしょう、ママ。

11月25日：

きっと両親は私の名前を考えてくれています。でも、両親も私が女の子だとはまだ知りません。キャシーという名前がいいです。私はもうすぐ大きくなります。

12月10日：

髪の毛が伸びてきました。つやつやして、輝いています。母親はどんな髪の毛をしているのでしょう。

12月13日：

もう少しで目が見えるようになります。私の周りはまだ暗いです。外の世界へ出たら、太陽の光が降り注ぐ、花のいっぱいある場所へ行けます。でも、何よりも母親を見たいです。ママ、どんな顔をしているのでしょう。

12月24日：

母親は私の心臓の音を聞いていますか。私の心臓は元気で健康です。私は元気な、かわいい女の子になりますよ、ママ。

12月28日：

今日、母親に殺されました。

― 無名の胎児　1000文字小説


胎児の心の中には、不思議なほどに静けさが広がっています。まだ言葉を持たず、外の世界を知ることもできない彼女の心には、深い平穏と純粋な喜びが宿っています。彼女はまだ暗闇の中で、自分の存在を確かめるように、小さな手足を動かし、心臓の鼓動を感じ取っています。

しかし、その平穏な心の中にも微かな不安が漂っています。母親の存在を感じながらも、なぜか彼女は孤独を感じています。外の世界に出ることができないこの小さな部屋の中で、彼女は自分の存在の意味を模索しています。

そして、最後の日の記述では、彼女の心に深い悲しみが広がっています。母親によって殺されると知った瞬間、彼女の心は絶望に包まれ、無力感と苦しみに溺れていきます。自分の存在を否定され、未来を奪われた彼女の心は、無念と悲しみで満たされています。