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寂しさの徒然に 4

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「おいしい物を美味しいねと食べられるのは至福の時だよね」

今日は水曜日。家族が通院のために我が家に来る。

ここのところ、地の底に引きずり込まれるほどの孤独感と闘っている私は朝から嬉しくておでんをことこと煮込んでいた。

「おいしいねっ」

にこにこしながら一緒に食べれると思い込んでいた。

この前、食材持参で家族の家を訪れた時、ちょうどレトルトのカレーを食べ終わる間際だったから一緒に食べる事は出来なかったのだ。

空腹は最大の調味料である。

思い込んで、想像して、期待してあはは、落ち込まないといいけどな。

時折、家族は予定を変更して待てど暮らせど来ない事がある。

朝から大雨の日などは、雨具もないのだから自転車で来いっていう方が無理なんだけどね。

ガチャン。

自転車を止める音がする。

「やったー」

うんうん、おでんは程よく味が滲み込んで食べてもらえるのを喜んで待っている。

お鍋の中で、歓待の声をあげている。

「いらっしゃーい」

後は白い湯気と共にフーフー言いながら大根やねり物や卵の命を頂くだけだ。

「いただきまーす」ってね。

そう思い込んでいた。

ところが……。

自転車から降りてきた家族は、手にビニール袋を提げている。

「!!」

私の大好きな朝マックを買って来てくれたのだ。

あのざらざらのバーンズ。丁度いい感じの塩かげん。

そう、わたしはソーセージエッグマフィンが大好き。

そして、ハッシュドポテトも大好き。

「おでんは病院から帰って来てからでもいいか」

そう思って、家族の好意を堪能する。

この前、勝手にいって一緒に食べられなくて残念な思いをしたのは確かだけど、家族はそれに対して罪の意識を感じてしまったという。何にも悪いことしていなのにね。『鉄が鉄を研ぐように,人は人の顔を研ぐ』のです。
問題や摩擦が起きた時、起きた事が問題ではなく、その問題にどう対処するかが問題。

家族は家族なりの精一杯の優しさでわたしの好きなマックを用意してくれたのだろう。

「おいしいね」

「ありがとうね」

「何にも悪いことしていなのにね」

しかも、メガマフィンまで買って来てくれて本当におなかいっぱーい。

これが午前11時ごろだったろうか。

13時半の予約の予定で病院へ出発。

空は雲一つない晴天。今日は昨日とは打って変わって温度も少し高めで手袋しなくても寒くはない。

銀杏並木の街路樹は殆ど葉を落としていたが、時折しっかり残っているものがあり、

黄金色に輝いている。道路は、落ち葉で山吹色に染まってる。

走り抜ける車の轍を追うようにからからとはしゃいでる。

秋の大運動会ももうすぐ終わり。

しっかり根を張り、春に備えるんだ。

実際は先週行けてないから、予約はとれていなかったようなのだが……。

この国立病院、予約管理がきちんとできていてそれほどまたされる事はない。

だかしかーし、薬局が悲惨。

どんなに時間どおりに診察を受けても、薬局で何時間もまたされる。

しかも、待ち時間に少しゆっくり焼肉ランチでも食べていると、

「どこにもいかないでここで待っていてください」

とまで言われる。

「あのさ、こんな狭い待合室で新型感染症の波は去ったと言ってもオミクロン株が怖い。3密避けられないのにいたいと思う人がいるのかーー」

やかん人間の私は叫びたくなるのを何度も堪えた。

だから、家族から

「焼き肉屋に行こうよ」

と、誘われてもいい返事は出来なかった。

それに朝食べたマックがまだお腹に残っているような……。

来る途中で、沢山の防寒着や家用のズボンを買ってもらった事も手伝って、

気は進まないけど一緒に行くことにしたのだが……。


肉屋のご主人ユニークや。

食いにくい肉、胃に来る。

「えー、ご覧くだされ。」とA5ランク出され。

儲かる美男はもうカルビなん?

ロース好きのIchiro Suzuki

上質ロースで上司、釣ろうっす!

うわー、ダジャレがヤッパリ独り歩きしてる……。


くどいようだが、空腹は最大の調味料。

肉を焼くあの音も、香ばしいあの香りも口の中に放り込むととろけそうな肉汁も。

目、耳、鼻、指、唇、舌、食道は満足しているのに胃だけがなんか言いたげ……。

ベストなんてそんなにあるものじゃない。

次善の策。ベターで満足する事を覚えないとね。

ないものねだりはしない。

与えられている一時に感謝するんだ。

ああ、今日の私は、心も体も御馳走でいっぱい。

ありがとうございます。

「どうしてお互いの欠点探して傷つけ合ってばっかいるんだよ  

百の罵声あびせるよりも好きなもん一つ胸張って言える方がずっとカッコいいだろ」

「何が嫌いかより何が好きかで自分を語れよ!」
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