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さくらこものがたり 愛されるよりも……

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ダウンロードしておきます。
紙の本を買いなよ。電子書籍は味気ない。
そういうもんですかねえ
本はね、ただ文字を読むんじゃない。自分の感覚を調整するためのツールでもある。
調整?
調子の悪い時に本の内容が頭に入ってこないことがある。
そういう時は、何が読書の邪魔をしているか考える。
調子が悪い時でもスラスラと内容が入ってくる本もある。
何故そうなのか考える
精神的な調律?チューニングみたいなものかな。
調律する際大事なのは、紙に指で触れている感覚や、
本をペラペラめくった時、瞬間的に脳の神経を刺激するものだ。

槙島がチェにアンドロイドは電気羊の夢を見るかをすすめるシーン。

こんな、いつまでも心に残る文章を書くことができたら、

そのまま死んでもいいとさえ思うさくらこだった。

きっと、わたしの心は、愛されたい一心で、

姑息でうつっぺらい一片の紙切れの様なものなのだろう。

あふれる思いなどどこにもない、

ただただ、語彙力のなさと表現力の乏しさ、

観察力、注意力の皆無を嘆くだけの自分へのレクイエム。

下村湖人の次郎物語 第二部を読みおえたさくらこは、

悶え苦しむ。

雨がポツリポツリと頬に落ちる。

ああ、神様、抱いてください。

梅雨寒の冷たい空気が塗れたTシャツを横切る。

この心の渇きを癒してください。

潤んだ大地がひざに優しい。

心が、寂しさで、不安で凍えていく。

公園猫が東屋で背伸びしている。

世間はゆっくりと何もなかったように時が流れているのに

さくらこの周りだけが特急電車のように加速していく。

車窓に激しく打ち付ける豪雨のように

霞、はじかれ、流れ落ちる。

曇りガラスのように自分が何者でどこから来たのかさえ

考えたくない。

ルドベキアのように己の時と運命をありのままに受け入れて

力の限りに咲けたらどんなに心ときめくだろう。

でも、まださくらこにはそれができなかった。

今までいいこぶりっこして抑えていた感情が

押さえの利かない芽吹きのように持ち上げくる。

本当は、子供のようにママに抱っこしてもらいたいのに、

13歳だから、もう中学生だからと、素直に甘えられないでいる。

せっかく、ネグレクトされなくなっても、

さくらこは幼い日の次郎物語の次郎のように自分を愛せないでいる。

ママが白雪姫コンプレックスじゃなかったら、

こんな思いしなくてすんだのかな。

心のどこかで、つらさから逃れるためにママを悪者にしようとしている。

どんなに寒い夜に家の中に入ることができなくても、

給食以外は食べるものがなくて、ひもじくても

ママを悪く思ったことはこれまで一度もなかった。

なのに、ここ何日かのさくらこは笑うこともできなくなり、

自分を大嫌いになり、ママまで道連れにしようとしている。

自己正当化、理由付け、甘美な逃れ道。

たくさんの人にかまってもらっているのに、愛されているのに、

ママから、たった一人の血を分けた母親から愛されたいために泣き喚く。

この飢え子のような思いをどう昇華していいかわからなかった。

いくら心のバケツに愛を注いでもらっても、

まるで穴でも開いているように一杯にならない。

もっともっとと、たるを知らない心は渇いている。

ざる……。

愛されるよりは愛することをと、

嵯峨のおばあちゃまの背中を撫でたり、

頭を撫でてもらうのが好きと言われ、

頭をいい子いい子したりしていた。

それが、新型の感染症が流行ってからは、

嵯峨のおばあたゃまに触ろうとすると、

「怖いから、やめて」

と、言われてしまう。

その癖、さくらこにタピオカや大福を毎日のように買ってきてくれる。

佐賀のおばあちゃまは脳卒中で半身不随だし、

糖尿病がひどくて一緒にご飯を食べることもできないから、

本当に体に気をつけているのだろう。

人間がだめなら、散歩に来ている犬ルナを撫でたりして

満足していた。

それが、ここ1か月ルナさえ会えなくなって、

どんどん落ち着かなくなってきた。

学校も3蜜避けていて、スキンシップできない。


おはようございます🌸

3蜜避けてクラスター予防
『換気の悪い密閉空間』
『多くの人が密集』
『近距離での密接した会話』🌸

見える世界(出来事や他人からの評価)
見えない世界(自分の心)
『生きやすい生き方を作ろう』
笑顔同封🌸

せーーーーーーーーーーーーーーーーの!!
いいね👍


新型感染症の思わぬ影響だ。

「幸せホルモン」と呼ばれる代表的な物質は3種類。

・セロトニン
・オキシトシン
・ドーパミン

スキンシップ以外でオキシトシンを出す方法はあるのだろうか。

食べ物とか。

さくらこは、わらをもつかむ気持ちでネット検索しはじめた。

脳内ホルモンとは、脳内に分泌されるホルモンや神経伝達物質の総称です。 人間の脳には、心や身体を正常に保つために100種類以上の脳内ホルモンが分泌されています。 脳内物質の中には、人の感情や意欲に大きな影響を与える物質も存在します。 これらの幸福感を与える物質が「幸せホルモン」と呼ばれるものです。

【オキシトシンを分泌させる方法】
スキンシップ(同性でもOK)
家族団らん
友達と食事をする
友達とカラオケにいく
おしゃべり
プレゼントを贈る
人に料理を作る

お勧めレシピ
★ 豆腐のドライカレー (豆腐:トリプトファン)+ごはん(炭水化物)
★ 豆乳ビシソワーズ  (豆乳:トリプトファン)+鮭のムニエル(鮭:トリプトファン、ビタミンB6)+ごはん(炭水化物)
★ 塩麹の野菜パスタ  (パスタ:トリプトファン)+サーモンのマリネ(鮭:トリプトファン、ビタミンB6)
★ パスタ エファジョーリ(パスタ:トリプトファン)
★ 鮭と具だくさんの粕汁(鮭:トリプトファン、ビタミンB6)+酒粕(ビタミンB6)

꒰* ॢꈍ◡ꈍ ॢ꒱.*˚‧

突き動かすようなこの感情はなんだろう。

公園で遊んでいる中学生や高校生の男の子たちでもいいから、

「めちゃくちゃにして」

と、いいそうになる刹那。

きっと、この前尋ねてきた向島の置屋さんの家にいる金太郎姉さんの子供のように

そのへんにいるDQNに

「まわして」

と、自分から言ってしまったような

ばかげた妄想から次から次へと浮かんでは消えていく。

#神待ち

なんてSNSにツートするのはきっとこんなときなのだろう。

Twitterは14歳からなので、さくらこは、ママの登録したアカウントでツイートしている。

ソーシャルメディアは、自分や友達のベストショットや,楽しかった場所が載せられている。

そういうものと比べると,自分の生活が何だか地味で,つまらなく思えてくる。

周りの子たちが休みの日に遊んでいて,自分はどこにも出掛けなかったと思うと,気分が沈む。

でも、前から比べたらずっと幸せなのに。

給食がなくても、食べるものはあるし、

お部屋だって、今は自分の居場所がちゃんとある。

自分のなにが気に入らなくて、そんな破壊的なめちゃくちゃな行動がとりたくなるのか

皆目見当がつかない。

でも、それは確かに恐ろしい強さでさくらこを突き動かそうとするのだ。

「自分のことを必要以上に考えてはなりません」

ローマ 12:3

さくらこの家のそばには、おじいちゃんおばあちゃんたちのリハビリのための病院がある。

ボランティアにいけたらいいのにな。

でも、梅雨明けの雑草とりを思うと、

むやみに用事を増やすのは横暴だと思った。

とりあえず、お風呂に入ろう。

ゆったりしようとしているのに、

次郎物語の次郎を思い出して、

「次郎はいいな、お母さんもばあやもいて」

「わたしにを抱っこしてくれる人は誰もいない><」

結局また堂々巡り。

「ああーん、もう」

いらいらする。

ザブーン。

顔を湯船につけて、もぐるようにして、

声を殺して、泣き出してしまった。

「さみしいよー」

「一人ぼっちだよ」

LINEが鳴っている。

さっきから、ずっと昨日知り合った宏君が話しかけてくる。

今、出たらきっとすがり付いてしまいそう。

さくらこは、すまほをマナーモードにして毛布でくるんでしまった。

「救いの手を差し伸べてくれる人を待つ」という意味の#神待ち少女にはなりたくないのだ。

気分を変えて英語の勉強をしようとする。

Monday, July 6
Let us consider one another so as to incite to love and fine works.​—Heb. 10:24.

To attend meetings regularly, we may need to demonstrate courage in the face of difficult circumstances. Some of our brothers and sisters attend meetings despite being burdened by grief, discouragement, or health problems. Others courageously attend meetings despite strong opposition from family members or governmental authorities. Think for a moment about how our example affects our brothers who are imprisoned for their faith. (Heb. 13:3) When they hear that we keep serving Jehovah in spite of our trials, they are strengthened to maintain their faith, courage, and integrity. When Paul was in prison in Rome, he rejoiced whenever he heard that his brothers were serving God faithfully. (Phil. 1:3-5, 12-14) Shortly before or just after his release, Paul wrote his letter to the Hebrews. In that letter he urged those faithful Christians to never forsake meeting together.​—Heb. 10:25. w19.01 28 ¶9

互いのことをよく考えて,愛を表し立派な行いをするよう勧め合いましょう。(ヘブ 10:24)

平和だからこそ、食物に満たされているからこそ、

心の渇きが気になるのだろう。

もう、寝ます。

おやすみなさい。

꒰◍ᐡᐤᐡ◍꒱

*:゚+。.☆.+*✩⡱:゚




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