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子供は親のおもちゃじゃねえんだよ
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ごめんなさい
子供には申し訳ないことをいたしました。
ちゃんと結婚しても、なかなか子供ができなくて、
たくさんのお金と労力と時間をかけて子供を授かろうとする。
富子もまた、子供が欲しくて、ドラヤーでお腹を温めたり、
お風呂に入って、胸から下だけ熱いお湯に浸かって10分。
子供を授かるための努力はしたのだ。
確かに、そうなのだが、決定的な違いは、自分の生きがいが欲しくて、
生きていけなくて、結婚もせずに妊娠しようとしている。
しかも、相手には奥様もいて、子供も一番下が富子と同じ年の男の子で、
相手の奥様からしたら、
「このどろうぼぅねこ!」
と、いう状態で。
ダビデとバテシバのように妊娠すること自体が間違いであるような
倫理的に行っても罪の子を必死で身ごもろうとしてる。
かわいそうに、和俊は生まれてくることが罪でした。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
それでも、神はわたしの寂しさを鑑みてかわいい男の子を授けてくださいました。
「男でも女でもいい。わたしはこの子と生きていく」
心からそう思えたのです。
「子供が子供を産んでどうする?」
「おろした方がいいよ」
みんなが反対する中で、和俊は生まれました。
まるで、ペットでも得たように和俊を中心に世界は回っていく。
和俊の父親とは、芸者の仕事をしていてお座敷で知り合いました。
彼は、お姉さん芸者のお馴染みさんでした。
それを悪気もなく、富子は取ったのです。
置き屋さんでは大騒ぎになり、なぜか警察騒動になりました。
富子は訳も分からなくて、なんで男一人にそこまで執着するのかお姉さん芸者の気持ちがわかりませんでした。
後に、アルコール依存症になった富子がその治療のために入寮した施設の施設長が、
「人間の皮をかぶった何か」
と、富子の生活を見て嘆いた意味がずーと富子には分らなかった。
今、こうして書いてみると、
「仁義をかいちゃー、おしめぇよ」
ってことなのかな?
好きで好きでどうしようもなかったのならともかく、嫌いじゃない程度でそんなことになるなんて、
富子が断ればいいだけの簡単なお話なんですから。
そして、和俊が生まれて、認知をしてもらって半年後に、大好きな父が身罷りました。
小脳と脊髄の変性症で苦しんでいたようです。
和俊が生まれたのが6月で、父が身罷ったのが12月です。
その何日か前に、父母と電話をして、
「なにが食べたい?」
と聞くと、父は、
「数の子が食べたい」
と言っていたので、生活費とは別に10万円送りました。
「年末には帰るから、数の子お土産に買っていくね」
と、約束しました。
母は、その贈られてきたお金でくず数の子を買ったのですが、
父はそれをおいしそうに食べて身罷ったのです。
父の死後、母を引き取って一緒に住み始めました。
当時は、両親の生活費だけでなく弟の大学院のお金も富子が出していたので、
和俊の幸せのために富子は必死で頑張りました。
そこに、和俊の父親の奥様が現れて、
「あんたはあの人に騙されているんだ」
と、鬼のような形相で突撃されてしまいました。
奥様も公認だとばかり思いこんでいた富子は、それを聞いて即座に土下座し、平謝りに謝ったのです。
彼の家には、お給料日の前日にお金を袋に入れるのを手伝いに行っていました。
だから、奥様とも何度もお会いしていました。
「二度とお会いしません。ごめんなさい」
彼にそう告げると、元勤めていた芸者の仕事に戻るため引っ越しをしました。
素直に身を引くことができたのは、和俊の誕生と子供の頃に聞かされた母の悲しそうな体験談でした。
父は、高身長で苦み走ったイケメンだったのですが、結構、女遊びがひどかったらしい。
「地の底に引きずり込まれるような思いだった」
と、ボソッとこぼしていました。
愚痴一つこぼしたことがない母が、たった一度、富子に見せた悲しい姿でした。
富子は和俊のおかげで、人間になる努力ができたのだと思っています。
お料理さえ全くできなかったのですから。
和俊、生まれてきてくれてありがとう。
生きていてくれてありがとう。
罪のもとにあなたを産んでしまいましたが、
イエスが贖いとなって、神と和解させてくださいました。
さぁ、もうすぐイエスの死の記念式です。
姿勢を正し、顔をあげて、前を見て今を生きていきましょう。
子供には申し訳ないことをいたしました。
ちゃんと結婚しても、なかなか子供ができなくて、
たくさんのお金と労力と時間をかけて子供を授かろうとする。
富子もまた、子供が欲しくて、ドラヤーでお腹を温めたり、
お風呂に入って、胸から下だけ熱いお湯に浸かって10分。
子供を授かるための努力はしたのだ。
確かに、そうなのだが、決定的な違いは、自分の生きがいが欲しくて、
生きていけなくて、結婚もせずに妊娠しようとしている。
しかも、相手には奥様もいて、子供も一番下が富子と同じ年の男の子で、
相手の奥様からしたら、
「このどろうぼぅねこ!」
と、いう状態で。
ダビデとバテシバのように妊娠すること自体が間違いであるような
倫理的に行っても罪の子を必死で身ごもろうとしてる。
かわいそうに、和俊は生まれてくることが罪でした。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
それでも、神はわたしの寂しさを鑑みてかわいい男の子を授けてくださいました。
「男でも女でもいい。わたしはこの子と生きていく」
心からそう思えたのです。
「子供が子供を産んでどうする?」
「おろした方がいいよ」
みんなが反対する中で、和俊は生まれました。
まるで、ペットでも得たように和俊を中心に世界は回っていく。
和俊の父親とは、芸者の仕事をしていてお座敷で知り合いました。
彼は、お姉さん芸者のお馴染みさんでした。
それを悪気もなく、富子は取ったのです。
置き屋さんでは大騒ぎになり、なぜか警察騒動になりました。
富子は訳も分からなくて、なんで男一人にそこまで執着するのかお姉さん芸者の気持ちがわかりませんでした。
後に、アルコール依存症になった富子がその治療のために入寮した施設の施設長が、
「人間の皮をかぶった何か」
と、富子の生活を見て嘆いた意味がずーと富子には分らなかった。
今、こうして書いてみると、
「仁義をかいちゃー、おしめぇよ」
ってことなのかな?
好きで好きでどうしようもなかったのならともかく、嫌いじゃない程度でそんなことになるなんて、
富子が断ればいいだけの簡単なお話なんですから。
そして、和俊が生まれて、認知をしてもらって半年後に、大好きな父が身罷りました。
小脳と脊髄の変性症で苦しんでいたようです。
和俊が生まれたのが6月で、父が身罷ったのが12月です。
その何日か前に、父母と電話をして、
「なにが食べたい?」
と聞くと、父は、
「数の子が食べたい」
と言っていたので、生活費とは別に10万円送りました。
「年末には帰るから、数の子お土産に買っていくね」
と、約束しました。
母は、その贈られてきたお金でくず数の子を買ったのですが、
父はそれをおいしそうに食べて身罷ったのです。
父の死後、母を引き取って一緒に住み始めました。
当時は、両親の生活費だけでなく弟の大学院のお金も富子が出していたので、
和俊の幸せのために富子は必死で頑張りました。
そこに、和俊の父親の奥様が現れて、
「あんたはあの人に騙されているんだ」
と、鬼のような形相で突撃されてしまいました。
奥様も公認だとばかり思いこんでいた富子は、それを聞いて即座に土下座し、平謝りに謝ったのです。
彼の家には、お給料日の前日にお金を袋に入れるのを手伝いに行っていました。
だから、奥様とも何度もお会いしていました。
「二度とお会いしません。ごめんなさい」
彼にそう告げると、元勤めていた芸者の仕事に戻るため引っ越しをしました。
素直に身を引くことができたのは、和俊の誕生と子供の頃に聞かされた母の悲しそうな体験談でした。
父は、高身長で苦み走ったイケメンだったのですが、結構、女遊びがひどかったらしい。
「地の底に引きずり込まれるような思いだった」
と、ボソッとこぼしていました。
愚痴一つこぼしたことがない母が、たった一度、富子に見せた悲しい姿でした。
富子は和俊のおかげで、人間になる努力ができたのだと思っています。
お料理さえ全くできなかったのですから。
和俊、生まれてきてくれてありがとう。
生きていてくれてありがとう。
罪のもとにあなたを産んでしまいましたが、
イエスが贖いとなって、神と和解させてくださいました。
さぁ、もうすぐイエスの死の記念式です。
姿勢を正し、顔をあげて、前を見て今を生きていきましょう。
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