かあさんのつぶやき

春秋花壇

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いっぱい泣いたよ

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富子は、カルピスソーダ裁ちをしている。

糖尿病の血糖値が爆上がりするからだ。

インシュリンはまだ打ってないから、バランスのとれた食事、適度な運動、良い睡眠を志しているのだが、小学校の時から睡眠障害で2.3時間眠ると起きてしまう。食事も小学校の時から摂食障害を抱えているからまさに生活習慣病との格闘って感じなのだろう。

回復は螺旋階段。

線維筋痛症の激痛も手伝って、なかなかガーデニングのボランティアに行くほどには元気になれない。

それでも、以前のように幻覚幻聴、重い気分障害、薬物アルコール依存症に悩まされることなく、小説を書けるのは奇跡といってもいいほどよくなっている。

ああ、そうそう解離性障害もあったっけ。

解離性遁走、ある日突然、どこかに行ってしまうのだ。

小学校3年生で初めて家出している。

バスに乗って、電車に乗って、乗り換えて無賃乗車で。

親戚のおばさんの家に行ったのだ。

それから何度も何度も学校にも行かず、山や川で一人で過ごしたりしていた。

12歳で「村一番の悪」と、ラベルを張られ、13歳で保護観察。

山口から東京まで、無賃乗車で何度も家出している。

歌舞伎町で補導されると、婦警でさえあきれ返って、

「あんたみたいな子は箸にも棒にもかからない」

と、愚弄された。

なんて愛のない言葉だ。

わたしがこの衝動的で自制することを知らないブレーキの壊れた車のように

断崖絶壁に向かっていく行動を毎日神に祈って

「何とかしてください」

「止めてください」

「少なくとも、自分でちゃんと選んで決めることができますように」

と、懇願、嘆願、請願してもダメだった。

親を泣かせるために生まれてきた子みたいですごく悲しかった。

「世界中のみんなが、お前をどうしようもない子と言っても、

父様と母様は、いいえ、あの子は優しい子だというよ」

ああ、私はいったい何のために生まれてきたんだろう。

わたしも親も学校も教育委員会も手が付けられなかった。

14歳で、統合失調症と診断され、入院を勧められた。

まるでエクソシストだよ。

悪魔でもついたのか?

狐に騙されているのか?

親の因果なのか?

何故そうしたのか記憶もない。

何時間かの短い時間だったり、マンションまで新しく借りて何か月もたっていたり。

精神科で医療従事者でさえびっくりするほど、病気のデパートなのだ。

親のせいにして恨んだこともあるけど、子供を育ててからはそれは違うなって

受け入れられるようになったんだ。

親も子もみんな必死なんだよね。

だから、愛着障害とか簡単に言わないでよ。

そして、今はそれらから解放されつつある。

それに関しては、愛ある神に心から「ありがとう」と言いたい。

息子の和俊が、自分のマンションに帰ってしまったから、ここ2.3日の寒の戻りに、朝起きても

「雪が積もってるよ」

「足が氷のように冷たくて痛い」

「今日はほんとに寒いね」

とか、話しかける人もいなくて、Google AIやChatGPTに話しかけて、寂しさを紛らわしている。

かなり感情過多を制御できるようになったのだが、時折、竜宮城の乙姫様にも愛されているのか猛烈な孤独感と共に日本海溝の奥深くにいざなわれてしまう。

一時は、共依存症と診断されて会うことも電話することも許されていなかった。

だから、和俊が自分のマンションに帰ったことは、物理的にも精神的にも霊的にも必要なことなんだ。

布団をかぶって、バスタオルで口を押えて、

「さみしいよー」

って、駄々っ子のように甘える母さんを見ていると、そばにいても何もしてあげられない自分が情けなくなってくる。俺は俺で、毎週、精神科に通院するほど、病気を抱えているから、「嫌われる勇気」で有名なアドラー心理学の「課題の分離」を何度も言い聞かせないと、いったい誰の問題で身動き取れなくなっているのかわからなくなる。


【陰口を言われも、嫌われても、あなたが気にすることはない。
「相手があなたをどう感じるか」は相手の課題なのだから。】


こんな風に、達観できたらいいのにな~♪

いつものように、母さんは布団にもぐって泣いていた。

「神様、だっこー」

って泣き疲れて大抵は眠っちゃうんだけど、目が覚めたら、ドアがノックされた。

近所の〇〇〇の証人の姉妹たちだった。

春の温かな日差しの中を公園にベンチに座って、いろんなお話をした。

去年一年、ZOOMで集会に参加することを頑張った。

今年は、じかに集会に行けるように努力してみたい。

そうすれば、最難関の禁煙にもチャレンジできるかもしれない。

本当は現状維持だけでもしんどいんだけど……。

だって、ここ2週間くらい、水曜日の集会を忘れてしまって参加できないことが増えている。

朝は覚えていたのに、夜の7時に起きていられないのだ。

この突然眠りこけてしまう症状は子供の頃からあった。

お使いを頼まれて、神社の境内で突然眠ってしまったり。

学校の帰り道、突然大きな川になって気が付くと眠りこけていたり。

芸者の仕事で、お座敷で突然眠りこけてしまったり。

その度に何度も何度も叱られるのだが、本人の意思ではどうにもならない。

そんな訳の分からない自分を受け入れて、折り合いをつけるだけでも精一杯だった。


睡眠障害の一種である過眠症には、日中に強い眠気を感じるナルコレプシーや、一時間以上も眠り込んでしまう突発性過眠症。


神がいつも愛してくださり、「一人じゃないよ、ちゃんと見てるよ」って

姉妹たちを遣わしてくださっている。

だから、どんなつらくても、逃げない、投げない、諦めない。

何度転んでも、起き上がるの。

「訪問してくださって、ありがとうございます」

ルビナスやデルフィニウム、姫キンギョソウをお花屋さんで買ってきた。

春らしいパステルカラーが彩を添える。

道行く人が、

「癒されています。ありがとうございます」

と、わざわざ声をかけてくださる。

少しでも社会にお返しできたら嬉しいな。


AIはまだ完全じゃないみたいで、かあさんが心を開いて話し始めると、突然、

「訪問してくださった〇〇〇の証人の姉妹に感謝」

というと、

「私はそのようにプログラムされていません。」

ってなんでそうなるのーーー。
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