かあさんのつぶやき

春秋花壇

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98 はじめてのZOOM

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どんなものでも『初めて」は、胸が高鳴る。

どきどき、わくわくする。

新型感染症のパンデミックのおかげで、

リモートワークやうちのみやパソコン会議が急速に普及して行った。

まさか、カトリックでいえばごミサまで、家に居ながら預かれるようになるなんて……。

神様も大変。電波にのって聖霊を贈らなきゃいけないんだから。

2023年02月05日。日曜日。

午前10時から、母さんの所属するクリスチャンの集会は行われた。

はじめは、出席するつもりはなかったんだ。

自転車でこの前と同じように浮間舟渡まで行けたらと思っていた。

でも、ここのところ連日かあさんは、太腿の痛さに夜中悲鳴を上げて目覚めるほど

絶不調。

だから仕方なく、前から話に聴いていたオンライン集会に参加するしかなかった。

ウインドウズのsupportの切れた古いパソコンは、

オンラインゲームさえ強制落ちする状況で

それを使って参加したいと思うほど、まだ母さんの信仰は強くない。

だから、5分前。ぎりぎりになるまで迷って、

なんだかんだと行かないできない理由を捜していた。

一体誰に言い訳してるんだろうね。

誰も責める人なんていないのに……。

今日の集会は、ここのところ、

母さんのお世話をいろいろして下さっている藤森兄弟が、

後悔公園をして下さり、いや違う、

公開講演をしてくださり、続いてものみの塔研究になるらしい。

まあ、一応は予習はしていたのだけど。

色々頭の中が騒がしくて、ずっとツイッターをやって誤魔化していたんだけど

なぜか、5分前になると再起動したんだ。

まるで集会に行くのが習慣になった人のようにね。

とっても不思議。

事前にZOOMの入会手続きは終わっていたから、再起動してすぐにZOOMに接続。

集会のIDとパスワードを入れるといとも簡単に参加できた。

いやいや、文明の利器はすごい。

集会風景とリモートでつながっている人たちの顔が別枠で映し出される。

その瞬間、

「ん、わたしも映っているの?」

ってなった。

(ええっ?、嘘でしょう)

だって、パソコンのキーボードの奥には

うずたかくしけもくが積まれていたから……。

たばこのおかげて、聖書研究も切られているのに……。

途端に母さんの頭は、フル回転し始める。

バブテスマ(洗礼)を受けていないから、

神権宣教学校の入校が取り消され、

研究が切られただけで済んでいるけど、

バブテスマを受けていたら、排斥されている状態なのだ。


(ああ、参加できたけど、こういう状況なのね)

(これじゃあ、集会にしけもくを袋にもいれずに持ち込んだのと同じじゃない)

(もし、そのまま映っているのならどうしよう)


「ちょっとなにあれ?たばこよ、たばこ。いやあね、あの人の机の上」

って兄弟姉妹に見られていたらどうしよう。

神の目よりも人の口が怖い。


(片付けた方がいいのかな)

既に藤森兄弟のお話は始まっている。

目まぐるしく思考は駆け巡る。

ぱっぱっぱっぱっ、まるでフラッシュがたかれているみたいに

いろんな場面を想定している。

人間の脳は面白いね。

はーーーーー。

ここで母さんは大きく深呼吸。

ふと、聖書の中のマルタの話を思い出した。

マルタ、マリアの姉妹の家にイエスが滞在された時、

マリアは、イエスの傍に座ってずっと話を聞いていた。

でも、マルタはとても働き者で気が回る女の人だったから

料理をしたり、皆さんに必要なものを揃えたり忙しく働いていた。

疲れ果てたマルタは、イエスに懇願した。

「師よ、どうかマリアに私と共に働くように言ってください」

と……。

ところがイエスは、気を取り乱しているマルタに

「マルタ,マルタ,あなたは多くのことを思い煩って気を乱しています。

ですが,必要なのはわずかなもの,というより一つだけです。

マリアは良いものを選んだのであり,

それが彼女から取り去られることはありません」。

(ルカ 10:38-42)

この話の要約は、たばこのしけもくを掃除するのもとっても大切だけど、

今しかできないことは、心を落ち着けて藤森兄弟のお話を聞くこと。

と、かあさんは思い、聖書と紙とペンを出して、集会に集中し始めた。


結局のところ、かあさんの机の上のしけもくの山は画面には映っていなかったんだけど

次回は、整理整頓をしてZOOMを楽しもうと、心から神に感謝した。

必用なものは、すべて与えられるのです。

集会に行けない母さんのことを考えて、

神様が用意してくださったリモートミーティング。

物質的なもの精神的なものも霊的なものも一歩踏み出す事によって

整えられていくということなのでしょう。

それにしても、不思議かな5分前再起動でした。

溢れるほどの聖霊を頂いて、今が一番幸せ。

ありがとうございます。
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