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89 紙パンツ
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「まさかねー」
シャギーのたくさん入った白いしゃわしゃわの紙パンツをはいて
情けなさそうな顔で、口を少しとがらせて
ぼーと赤ちゃんのように足を投げ出して座っている。
以前、買っておいた紙パンツを押し入れから出して履いてみた。
何とも情けない姿だ。
昨日、少し咳が酷くて尿漏れパットを使っていたのだが、
上向きに寝転がっている時に咳き込んでしまって、
しっかり充てていたはずなのに、お尻の方から漏れてしまった。
腹圧性失禁。
お尻の穴をすぼめて、括約筋が緩まないように気を付けているのだが、
寄る年波には勝てない。
おまたの緩い人になっていく。
(ぐすん)
骨盤底筋の緩みによる尿漏れは、筋肉を鍛えることで緩和する、または治る場合があります。 尿意をコントロールしている筋肉を鍛え、常にギュッと力を入れられるようにすることで、尿漏れを防ぎます。 病気が原因である場合は、骨盤底筋のトレーニングと共に、水分摂取量などの生活指導や投薬治療をすることにより、改善を目指します。
尿漏れに関して、受診はしたが指導を受けた事はない。
紙おむつや尿漏れパットの使用は、領収書さえ持って行けば後からお金が返ってくる。
でも、注意欠陥多動性障害の富子が領収書をきちんともらって管理するというのも
至難の業だ。お金の管理さえできないのだから。
そして、尿漏れパットと紙おむつの併用の仕方も知らない。
漏れた時の対処も分からない。
訪問看護は、週に2回。
ヘルパーさんは、週に1度来てもらっている。
何が理解できていて、何が出理解できていないのか解っていないんだよね。
そして、富子の布団にシーツが掛かっていないことに誰も気づかない。
富子は、泊まりに来る和俊の布団にはシーツと枕カバーをするのに、
自分の布団にも枕にもカバーもシーツもかけていない。
介護のケアマネさんが、酷くなる一方のかあさんの褥瘡を心配して、
介護保険から用意できるものを業者さんにお願いしてくださったのだが、
車いす用のジェルがたくさん入った座布団を用意してくださって、
それを汚したくないから尿漏れパットを使ったのに、
結果的には失敗してしまって、バスタオル二枚を通り越して汚してしまったのだ。
座布団を洗うのは大変なので、パンツ式の紙おむつに変えて見たのだが、
こうして少しずつ昔、和俊と一緒にボランティアに行っていた
老人介護のステイホームにいた人たちのように
年老いていく自分が何とも情けなく、受け入れられないでいる。
(悲しいよね。どんどん老いさらばえていく)
富子が小学三年生の時、祖母が脳卒中で倒れて、5年も寝たきりになった。
在宅介護で、ヤングケアラ―として身罷るまで母や叔母と介護をした経験がある。
ヤングケアラ―とは、18歳未満で家族介護をする人の事なのだが、
寝たきりの人が家の中にいるだけで、暗いし臭いし環境としては辛い物だったのかも知れない。
ヤングケアラーとは、病気や障害のある家族・親族の介護・面倒に忙殺されていて、本来受けるべき教育を受けられなかったり、同世代との人間関係を満足に構築出来なかった子どもたちのこと。大人が担うようなケア責任を引き受け、家族の世話全般を行っている18歳未満の子どもを指す。
家長制度の根強く残る田舎では、良くある話だと思う。
そんな風に、お世話をされなければ自分が生きていけなくなるのかと思うと、
『安楽死』制度が認められたらいいのにと思うのだ。
和俊が可哀想じゃないか。
今でさえ、わたしのお金の使い方が下手な為に、
拒食症になって、経腸栄養剤を処方してもらうようになってしまったのに、
これで寝たきりになったら、自分のマンションに帰ることもできず、
母親の下の世話とかして、大変な思いをさせてしまう。
せっかく、今、アルファポリスで小説を書き始めて、
自己肯定感が上がってきているのに……。
ああ、子供に迷惑かけないで死ねたらいいのに。
映画『PLAN 75』のように、生き死にを選択できたらいいのに。
せめて、和俊がわたしの介護疲れから、親殺しの殺人犯になったりしませんように。
神様、お願いです。
共にいてくださいますように。
今日から11月。
霜月、ガスの点検が急に家に来ても、
「どうぞ」と、言えるようになった。
前はゴミ屋敷だったから、急に人が来るのは居留守を使いたいくらい嫌だった。
家に入れられるようになったことは心から喜んでいるんだけどな。
よくある部分をしっかり見て、老人性のうつ病になったりしませんように。
ポジティブに対処して行けますように。
他の、下級老人たちは何を楽しみに生きているのかな?
70歳になったら、老人のディケアにも参加できるみたいだけど、
それまで和俊がわたしのことで苦しんだりしませんように。
あなたのバルコニーで、
あなたのためだけに育つ植物に感謝しなさい。
Appreciate the plant that grows in your balcony only for you.
ヴィニート・ラージ・カプール
https://pin.it/1vijpSb via @pinterest pic.twitter.com/6K6hBQLUyl
神様は何時も優しい。
お金がなくても、老いても楽しめるようにどこからか赤い小さな水引の花が咲く。
たおやかにひめやかに秋の風に揺らいでいる。
ミズヒキの花言葉は、飾り紐の水引から名づけられたため、「慶事」と「感謝の気持ち」。 キンミズヒキも同じで「感謝の気持ち」です。 タデ科イヌタデ属の多年草。 日本全土と中国、ヒマラヤに自生。
シャギーのたくさん入った白いしゃわしゃわの紙パンツをはいて
情けなさそうな顔で、口を少しとがらせて
ぼーと赤ちゃんのように足を投げ出して座っている。
以前、買っておいた紙パンツを押し入れから出して履いてみた。
何とも情けない姿だ。
昨日、少し咳が酷くて尿漏れパットを使っていたのだが、
上向きに寝転がっている時に咳き込んでしまって、
しっかり充てていたはずなのに、お尻の方から漏れてしまった。
腹圧性失禁。
お尻の穴をすぼめて、括約筋が緩まないように気を付けているのだが、
寄る年波には勝てない。
おまたの緩い人になっていく。
(ぐすん)
骨盤底筋の緩みによる尿漏れは、筋肉を鍛えることで緩和する、または治る場合があります。 尿意をコントロールしている筋肉を鍛え、常にギュッと力を入れられるようにすることで、尿漏れを防ぎます。 病気が原因である場合は、骨盤底筋のトレーニングと共に、水分摂取量などの生活指導や投薬治療をすることにより、改善を目指します。
尿漏れに関して、受診はしたが指導を受けた事はない。
紙おむつや尿漏れパットの使用は、領収書さえ持って行けば後からお金が返ってくる。
でも、注意欠陥多動性障害の富子が領収書をきちんともらって管理するというのも
至難の業だ。お金の管理さえできないのだから。
そして、尿漏れパットと紙おむつの併用の仕方も知らない。
漏れた時の対処も分からない。
訪問看護は、週に2回。
ヘルパーさんは、週に1度来てもらっている。
何が理解できていて、何が出理解できていないのか解っていないんだよね。
そして、富子の布団にシーツが掛かっていないことに誰も気づかない。
富子は、泊まりに来る和俊の布団にはシーツと枕カバーをするのに、
自分の布団にも枕にもカバーもシーツもかけていない。
介護のケアマネさんが、酷くなる一方のかあさんの褥瘡を心配して、
介護保険から用意できるものを業者さんにお願いしてくださったのだが、
車いす用のジェルがたくさん入った座布団を用意してくださって、
それを汚したくないから尿漏れパットを使ったのに、
結果的には失敗してしまって、バスタオル二枚を通り越して汚してしまったのだ。
座布団を洗うのは大変なので、パンツ式の紙おむつに変えて見たのだが、
こうして少しずつ昔、和俊と一緒にボランティアに行っていた
老人介護のステイホームにいた人たちのように
年老いていく自分が何とも情けなく、受け入れられないでいる。
(悲しいよね。どんどん老いさらばえていく)
富子が小学三年生の時、祖母が脳卒中で倒れて、5年も寝たきりになった。
在宅介護で、ヤングケアラ―として身罷るまで母や叔母と介護をした経験がある。
ヤングケアラ―とは、18歳未満で家族介護をする人の事なのだが、
寝たきりの人が家の中にいるだけで、暗いし臭いし環境としては辛い物だったのかも知れない。
ヤングケアラーとは、病気や障害のある家族・親族の介護・面倒に忙殺されていて、本来受けるべき教育を受けられなかったり、同世代との人間関係を満足に構築出来なかった子どもたちのこと。大人が担うようなケア責任を引き受け、家族の世話全般を行っている18歳未満の子どもを指す。
家長制度の根強く残る田舎では、良くある話だと思う。
そんな風に、お世話をされなければ自分が生きていけなくなるのかと思うと、
『安楽死』制度が認められたらいいのにと思うのだ。
和俊が可哀想じゃないか。
今でさえ、わたしのお金の使い方が下手な為に、
拒食症になって、経腸栄養剤を処方してもらうようになってしまったのに、
これで寝たきりになったら、自分のマンションに帰ることもできず、
母親の下の世話とかして、大変な思いをさせてしまう。
せっかく、今、アルファポリスで小説を書き始めて、
自己肯定感が上がってきているのに……。
ああ、子供に迷惑かけないで死ねたらいいのに。
映画『PLAN 75』のように、生き死にを選択できたらいいのに。
せめて、和俊がわたしの介護疲れから、親殺しの殺人犯になったりしませんように。
神様、お願いです。
共にいてくださいますように。
今日から11月。
霜月、ガスの点検が急に家に来ても、
「どうぞ」と、言えるようになった。
前はゴミ屋敷だったから、急に人が来るのは居留守を使いたいくらい嫌だった。
家に入れられるようになったことは心から喜んでいるんだけどな。
よくある部分をしっかり見て、老人性のうつ病になったりしませんように。
ポジティブに対処して行けますように。
他の、下級老人たちは何を楽しみに生きているのかな?
70歳になったら、老人のディケアにも参加できるみたいだけど、
それまで和俊がわたしのことで苦しんだりしませんように。
あなたのバルコニーで、
あなたのためだけに育つ植物に感謝しなさい。
Appreciate the plant that grows in your balcony only for you.
ヴィニート・ラージ・カプール
https://pin.it/1vijpSb via @pinterest pic.twitter.com/6K6hBQLUyl
神様は何時も優しい。
お金がなくても、老いても楽しめるようにどこからか赤い小さな水引の花が咲く。
たおやかにひめやかに秋の風に揺らいでいる。
ミズヒキの花言葉は、飾り紐の水引から名づけられたため、「慶事」と「感謝の気持ち」。 キンミズヒキも同じで「感謝の気持ち」です。 タデ科イヌタデ属の多年草。 日本全土と中国、ヒマラヤに自生。
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