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84 果てしない物語
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下級老人たちは何を楽しみに生きているんだろうか。
かあさんは、また最近、公園のボランティアにいき始めた。
夏の間、トイレに行ってもパンツをあげるのも肩が痛くてうめいていたから、
少しは良くなったのかも知れない。
春、バラやゼラニウムの宿根草を何千円も自分で買って植えたのに
見に行くと何一つない。
哀しかったんだろうな。
帰ってくるとしょぼーんと項垂れている。
「みんな捨てられちゃったのかな」
「あんなにきれいに咲いていたのにな」
宿根草、ずーと楽しめる場所が与えられると生きる喜びもひとしおなんだろう。
可愛い赤ちゃんのように、自分がお世話して次の年も咲いたりするとめっちゃわくわくするらしい。
定期的にボランティアに参加できるようになったら、捨てられることも少なくなるのかな。
ガーデニングと同じくらい小説も楽しみなんだけど、
1日経つと24時間ポイントが0点になる。
それを見ては母さんは、深いため息を吐く。
書いても書いても評価されない小説たちにブラック企業以上のストレスをため込んでいるのではないか。
24hポイント 0pt 小説 154,036 位 / 154,036件 現代文学 6,757 位 / 6,757件
そして、数字ばかり気にして、一喜一憂し過ぎるのもかあさんらしい。
冷蔵の中身を見ると、母さんのお財布状態が一目でわかる。
アウトプットもそんな感じなのかな。
「トマトやキュウリや野菜が食べたい」
下流老人は、創造力を膨らませて食事風景を描くのだろうか。
アニメのあたしンちみたいに、今日のおかずはちくわだけみたいなひともいるのかな?
宝くじでも当たればいいのに。
でも、宝くじ買わないから当たることはない。
駅まですら歩けないから、自転車で移動してるんだけど
今度歩いて何処まで行けるか試してみたら面白そう。
帰って来れなくなりそうで怖いのかな。
夜明け間際の公園は、虫の音もさやか。
砂交じりの土に随分落ち葉が増えた。
カサカサと音を立てて踏みしめると、潔い命の音がする。
ペンキのはげたベンチに座り、辺りを見回す。
am4時45分。
タクシー会社のメンテの音と、同僚と楽しそうに話す修理の人たちの声。
道路を走るトラックの音。
新聞を配る原付のエンジン音。
東京の空は、夜中でも青く感じる。
それほどの街灯で照らされているのだろう。
これから俺の嫌いな、セイタカアワダチソウの咲く季節。
豚草とも呼ばれているやつだ。
と思って調べたら、ブタグサとセイタカアワダチソウは別物。
そして、セイタカアワダチソウの花粉は余り飛んだりせず、
よって喘息の原因にはなりずらい。
ということらしい。
人生は思い込みで出来ている。
嘘の情報を信じている事もあるんだね。
それがわかっただけでも感謝。
何を選び、何を続けていくか。
結果は後からついてくる。
とりあえず、今日も生きている。
生かされている。
ありがとうございます。
PS.
俺は母さんのアパートに来る前、コンビニで焼き鳥を買ったんだけど、
容器の中に入っていたのは5本だった。
「全部ください」
久し振りに焼き鳥でも食うかーって気軽に待っいたんだ。
そしたら、奥の方から何本も出してきて、なんと焼き鳥だけで何千円。
ウンザリするほどの本数で、いらないとも言えないでそのまま家に帰って仕方なく食った。
当分、鶏肉を見るのはごめん被りたいと思って母さんのところに遊びに行ったんだ。
そしたら、なんと
「独りで食べるのはもったいないから」
って、鶏肉の焼いた奴を出して来た。
あうううう、飽きるほど食ったとも言えないで……。
鶏つくねに取り憑くね♥
季節と季節を繋ぐ糸は断ち切れても、なお一筋二筋、かすかに秋を繋ぎ止めているとでもいうような鳴き声で蟋蟀(こおろぎ)が聞える。
岡本 かの子 / 落城後の女
食欲の秋
芸術の秋
読書の秋
スポーツの秋
行楽の秋
あなたの秋はどんな秋?
#青空文庫
https://pin.it/5uhloYk via @pinterest pic.twitter.com/fteTjGWZ7D
かあさんは、また最近、公園のボランティアにいき始めた。
夏の間、トイレに行ってもパンツをあげるのも肩が痛くてうめいていたから、
少しは良くなったのかも知れない。
春、バラやゼラニウムの宿根草を何千円も自分で買って植えたのに
見に行くと何一つない。
哀しかったんだろうな。
帰ってくるとしょぼーんと項垂れている。
「みんな捨てられちゃったのかな」
「あんなにきれいに咲いていたのにな」
宿根草、ずーと楽しめる場所が与えられると生きる喜びもひとしおなんだろう。
可愛い赤ちゃんのように、自分がお世話して次の年も咲いたりするとめっちゃわくわくするらしい。
定期的にボランティアに参加できるようになったら、捨てられることも少なくなるのかな。
ガーデニングと同じくらい小説も楽しみなんだけど、
1日経つと24時間ポイントが0点になる。
それを見ては母さんは、深いため息を吐く。
書いても書いても評価されない小説たちにブラック企業以上のストレスをため込んでいるのではないか。
24hポイント 0pt 小説 154,036 位 / 154,036件 現代文学 6,757 位 / 6,757件
そして、数字ばかり気にして、一喜一憂し過ぎるのもかあさんらしい。
冷蔵の中身を見ると、母さんのお財布状態が一目でわかる。
アウトプットもそんな感じなのかな。
「トマトやキュウリや野菜が食べたい」
下流老人は、創造力を膨らませて食事風景を描くのだろうか。
アニメのあたしンちみたいに、今日のおかずはちくわだけみたいなひともいるのかな?
宝くじでも当たればいいのに。
でも、宝くじ買わないから当たることはない。
駅まですら歩けないから、自転車で移動してるんだけど
今度歩いて何処まで行けるか試してみたら面白そう。
帰って来れなくなりそうで怖いのかな。
夜明け間際の公園は、虫の音もさやか。
砂交じりの土に随分落ち葉が増えた。
カサカサと音を立てて踏みしめると、潔い命の音がする。
ペンキのはげたベンチに座り、辺りを見回す。
am4時45分。
タクシー会社のメンテの音と、同僚と楽しそうに話す修理の人たちの声。
道路を走るトラックの音。
新聞を配る原付のエンジン音。
東京の空は、夜中でも青く感じる。
それほどの街灯で照らされているのだろう。
これから俺の嫌いな、セイタカアワダチソウの咲く季節。
豚草とも呼ばれているやつだ。
と思って調べたら、ブタグサとセイタカアワダチソウは別物。
そして、セイタカアワダチソウの花粉は余り飛んだりせず、
よって喘息の原因にはなりずらい。
ということらしい。
人生は思い込みで出来ている。
嘘の情報を信じている事もあるんだね。
それがわかっただけでも感謝。
何を選び、何を続けていくか。
結果は後からついてくる。
とりあえず、今日も生きている。
生かされている。
ありがとうございます。
PS.
俺は母さんのアパートに来る前、コンビニで焼き鳥を買ったんだけど、
容器の中に入っていたのは5本だった。
「全部ください」
久し振りに焼き鳥でも食うかーって気軽に待っいたんだ。
そしたら、奥の方から何本も出してきて、なんと焼き鳥だけで何千円。
ウンザリするほどの本数で、いらないとも言えないでそのまま家に帰って仕方なく食った。
当分、鶏肉を見るのはごめん被りたいと思って母さんのところに遊びに行ったんだ。
そしたら、なんと
「独りで食べるのはもったいないから」
って、鶏肉の焼いた奴を出して来た。
あうううう、飽きるほど食ったとも言えないで……。
鶏つくねに取り憑くね♥
季節と季節を繋ぐ糸は断ち切れても、なお一筋二筋、かすかに秋を繋ぎ止めているとでもいうような鳴き声で蟋蟀(こおろぎ)が聞える。
岡本 かの子 / 落城後の女
食欲の秋
芸術の秋
読書の秋
スポーツの秋
行楽の秋
あなたの秋はどんな秋?
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