かあさんのつぶやき

春秋花壇

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61 虫の音ヒアリング

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「オイッス!」

俺の名前は、沼田 和俊(ぬまた かずとし)43歳。

無職である。

重度の統合失調症で、毎週、病院に通っている。

母、小宮 富子(こみや とみこ)66歳。

母は、父と離婚した後、別な戸籍になり、

旧姓に戻った。

母もまた重度の精神障害者である。

二人は、子供の頃から幻覚、幻聴に悩まされていた。

二人は別々に暮らしていた。

( ´•̥ו̥` )

私は私が好きです
私は私が好きです
私は私が好きです
私は私が好きです
私は私が好きです
私は私が大好きです
私は私が大好きです
私は私が大好きです
私は私が大好きです
私は私が大好きです
私はあなたが好きです
私はあなたが大好きです
高めよう 自己肯定感

いつの間にかせみ時雨は
虫の音に変わっている
やけに明るい星一つ
今日も省みてくださって
ありがとうございます

「舌鼓という言葉あるけど、

耳鼓という言葉はないよね」

かあさんは、ご機嫌そうに独り言をつぶやいている。

本当にお一人様の生活は、家族と一緒に買い物に行くこともないし、

旅行に出かけることもない。

美術館や図書館に行くことさえない。

なんとも寂しい生活だよね。

自分で、努力して楽しむことを覚えていかないと

日々の煩いのためにアウトプットばかりで

インプットできなくなる。

当然のようにねたは切れて、

エピソードも何もない不平不満で満たされていく。

「そんなのいやだー」

ということで、草木も眠る丑三つ時。

鈴虫ウォッチングならぬ鈴虫ヒヤリングに出かける事にした。

まずはミニストップによって、小腹を満たす。

バタークリームたっぷりの渦巻きのしっとりロールケーキをゲット。

こんなものばかり食べているから、

がんばって本当に我慢してシュークリームやめても

血糖値が下がらないんだろうと自己批判しながら

舌鼓を打つ。

上板橋体育館のそばの公園のベンチに座って虫の音を聞きながら堪能してる。

本当にいつのまにかせみ時雨ではなく虫の音に変わっている。

虫の声

あれ 松虫が鳴いている
ちんちろちんちろ ちんちろりん
あれ 鈴虫も鳴き出した
りんりんりんりん りいんりん
秋の夜長を 鳴き通す
ああ おもしろい虫のこえ

きりきりきりきり こおろぎや
がちゃがちゃがちゃがちゃ くつわ虫
あとから馬おい おいついて
ちょんちょんちょんちょん すいっちょん
秋の夜長を 鳴き通す
ああ おもしろい虫のこえ

小学校で習った歌だよね。

かあさんたら、ロールケーキを食べながら、ふかふかの土の上を散策し始める。

がぶりとかぶりついたり、ほぐして紐のようにしたり。

ロールケーキで遊ぶなー。

かみかみむしゃむしゃ。

巡業中にジュン蟯虫

蟯虫じゃなーい。

秋の虫の音だーい。

硬いアスファルトの上ではよろけるなんてほとんどないのに、

足が少し埋まりそうなほど柔らかな土の上では

何度も重心を崩してよろけそうになる。

それがとても面白く、子供のようにはしゃいでる。

まるで、大発見デモしたかのようなドヤ顔で……。

もしも、これが柔らかな心の人が相手だったら

同じようによろけるのかな。

固いアスファルトのような人と話してるほうが

安定してるのかな。

重い重症うつ病になってから、

挨拶程度しか人と付き合うことがなくなったから

それ以上は考え進まない。

ラジオ体操の会場だって、何十人多いときは百人以上?

の人と知り合いなのに、名前、電話番号を知っているのは

一人だけ。

そう、嵯峨のおばあちゃまだけ。

それどころか、隣の家の苗字も上のお部屋のイラストレーターの

あられちゃんのような女の子の名前も知らない。

教わったのだが、忘れてしまった。

大家さんの電話番号さえ知らない><

なんと希薄な人間関係。

これじゃあ、寂しいのは当たり前かもしれない。

そんなことをぼそぼそと心の中でつぶやきながら、

虫の音に聞き耳を立てる。

「うーん、ここじゃ無理かな」

お目当ては鈴虫。

ひときわ透明感のある涼やかな高音は聞こえない。

体育から斜め後ろには、ユーカリを栽培している場所がある。

そちらに、ゆっくりと移動する。

ものすごくいい香り。

その場所は、動物園のコアラのえさのユーカリがたくさん植えてある。

あ、少しだけ、さっきとは違う虫の音。

ゆっくりゆっくり探るように動き出す。

去年は、オレンジの黄花コスモスがてんこ盛りに咲いていたが、

今年は少しだけ。

街も人も生きているんだね。

あ、

羽をプルプルと震わせたようなこの高音は……。

自転車を止めて辺りを見回す。

ユーカリの香りと耳に優しい虫の音。

思わず深呼吸。

ああ、地球はなんて優しい星なんだろう。

田舎の庭から見える満天の星空を思い出しながら、

ゆっくりと目を閉じる。

虫たちは、声を限りに恋人探しをしてるのかな。

虫は離婚しないのかな。

夫婦けんかしないのかな。

恋人と言い争ったりしないのかな。

人間だけの特権なのかな。

それにしても、お金もかけずにこんなに楽しめるなんて

やっぱりアウトドア最高。

ありがとうございます。

8月24日 季語 

無花果
イチジクは、クワ科イチジク属の落葉高木、またはその果実のことである。原産地はアラビア南部。別名は、南蛮柿。

盆の月
旧暦の日付が十五日ですからその夜に昇る月は十五夜の月、満月です。 本日は、今夜昇る満月、盆の月の話です。 まずは、盆の月という言葉を辞書で引いて、話を始めることにします。 【盆の月】(ぼんの つき) 盂蘭盆(うらぼん)にあたる陰暦7月15日の月。

酸 漿(ヌカズキ)
英語から翻訳-Physalis alkekengiは、新世界のP. peruvianaの遠い親戚です。この種は、アメリカ大陸原産の他のサイサリスとは異なり、アジア原産です。それは、提灯に似ているその果実を覆う大きくて明るいオレンジ色から赤い紙のようなカバーで簡単に識別できます。

法師蝉

夜の秋

朝 顔

糸とんぼ

蜻 蛉

残 暑



蓮の花

世阿彌忌

花煙草

施餓鬼

接 待


24hポイント 0pt 小説 117,730 位 / 117,730件 現代文学 6,000 位 / 6,000件

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初回公開日時 2020.11.01 18:13
更新日時 2021.09.04 11:12
文字数(公開) 113,019
文字数(非公開) 6,264
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