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第一章侯爵家のお家騒動
2自称婚約者
しおりを挟む堂々と我が家のように入り、傍若無人の男に使用人達は今に殺しかねない勢いだった。
「なんと無礼な」
「いい加減にしてください。不法侵入者ですわ」
従者や侍女達が囲み睨みつけるもその男は、まるで気にも留めず。
「おい茶を淹れろ」
「は?」
「主人に茶も入れられないのか」
それは俺に言っているのか。
「失礼ですが何方です」
「何だ?貴様は新しいフットマンか?それにしてま頭が悪そうだな。この俺を知らないとは侯爵家も何故こんな見里香らに頭が悪く使えない男を雇ったのか…」
「この男…」
ジェリーの目が既に酷い事になっているが一番恐ろしい顔になっているのは。
「なんという事を」
「母上、ご無沙汰しております」
俺を可愛がってくださっている母上が既に怒りが爆発しそうだった。
「貴方に母と呼ばれる筋合いはありませんわ?この邸の敷居をまたぐとはどういう事ですの?今すぐ出て行きなさい」
「ここは俺の家です」
「婚約は既に白紙に戻っています。既に貴方は他人ですわ。汚らわしい」
母上が扇を突きつけ睨みつける。
やはりこの男か。
アンジェリカを散々苦しめ最後まで彼女の名誉を傷つけた元婚約者。
モラリス・ゲルティール。
「白紙とはおかしなことを。私はこのベルツリー侯爵家の次期当主ですよ?第一愛人の一人ぐらいで目くじらを立てるなんて」
(((こいつ馬鹿だろ!)))
使用人達が何を思っているか安易に解る。
「随分と頭のネジが緩んでいますね」
「何?」
「貴族の間で愛人を持つのは世継ぎを得るのが大半です。例外もありますが。婚約時に他の女と浮気をして不義を働いた時点で貴方は婚約解消されて当然です」
「ハッ、その程度」
「しかも自称婚約者だけならず自称侯爵を名乗るとは。罪になりますよ」
「貴様!」
実に短気な男だ。
そしてかなり頭の悪い男だった。
「この俺に向かって!フットマン風情が」
「フットマンではありませんよ」
「ならば何だ!」
「申し遅れました。私はリヒト・ベルツリーと申します」
「は?」
馬鹿はどっちか解っていないな。
「妻がお世話になっているようですね?」
「なっ…」
俺の苗字を名乗っても気づかないとは本当に馬鹿なのか?
いや、他の女性と駆け落ちまがいな事をして平然と戻って来る時点でおかしいだろう。
「彼はアンジェリカの夫。私の大事な息子ですわ」
「なっ…なんて事を!」
「さぁ、早くお帰りくださいな」
使用人達が集まり無理矢理追い出そうとするも。
「ふざけるな!貴様のような男が!」
想像はきでたが、逆ギレして暴力を振るって来た。
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