君を自由にしたくて婚約破棄したのに

「婚約を解消しよう」

 幼い頃に決められた婚約者であるルーシー=ファロウにそう告げると、何故か彼女はショックを受けたように身体をこわばらせ、顔面が蒼白になった。
 でもそれは一瞬のことだった。

「わかりました。では両親には私の方から伝えておきます」

 なんでもないようにすぐにそう言って彼女はくるりと背を向けた。
 その顔はいつもの淡々としたものだった。

 だけどその一瞬見せたその顔が頭から離れなかった。
 彼女は自由になりたがっている。そう思ったから苦汁の決断をしたのに。


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注意)ほぼコメディです。
軽い気持ちで読んでいただければと思います。

※無断転載・複写はお断りいたします。
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