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第一章婚約破棄と国外追放
13.斬りこみ
しおりを挟む何かを勘違いしていると即座に察した。
「エリーゼ様」
「この度は我が国がご無礼をしたことを心からお詫び申し上げます」
「ひぃ!」
床に座り土下座をしそうな勢いのエリーゼに悲鳴をあげる。
「おやめくださいエリーゼ様…そのような」
「ユーフェミアを望んでいたにも関わらず、私が代理となりさぞ公爵様もお怒りかと」
本来ならばユーフェミアを愛妾に望んでいるのにその代理が自分ではさぞ落胆させてしまっただろう。
そもそも愛妾とは側妻を意味しており。
正妻は家柄と血筋に家を守る妻を意味し、恋愛関係を持つのは側妻の役目だった。
貴族社会では結婚と恋愛は別と考えている。
正妻が早くなくなった場合は寵愛する愛妾を妻に向かえるパターンも少なくない。
「私では公爵様の側に侍る役目も果たせません」
「はい?」
「ジークベルト様には幼少期から気にかけていただきましたのに、恩をあだで返すことに」
完全に誤解をしていると思ったジークベルトは手を伸ばしエリーゼの肩を掴む。
「リゼ様、どうか」
「ジーク様」
二人の距離が短くなったその時だった。
「ジークベルト」
低い声が響き渡る。
「貴様は何をしている」
「え?」
首に突きつけられたのは剣の先端だった。
「団長ぉー…」
「リゼ様に何をしている。事と次第によって許さん」
少しの間、離れていたカイルが戻って来た。
カイルも完全に誤解をし、殺意を飛ばしている状況だった。
「団長!お待ちを」
「副団長も、この非常時になにやってるんですか!」
部下達は真っ青になりながらもカイルを抑え込む。
「お前達!」
「団長も落ち着いてください。我らはこの後あの我儘姫を迎えなくちゃならないんですよ」
「そうですよ、顔しか良い所のないお姫様を迎えなくちゃならないって言うのに…どこで攫って来たんですか」
「確かに、見目麗しく可憐なお姫様ですけどね」
部下達は本人がいない所で言いたい放題だった。
エリーゼは首をかしげ、まったく意味が解らなずにいた。
「皆さんは、その方が苦手なのですか」
「「「苦手以前に生理的に無理です!」」」
サラウンドで言われてしまい、耳を疑ってしまう。
レスティア王国一番の絶世の美女と謳われ、社交界の華とされているはずだ。
ユーフェミアを欲しがる貴族が多いのに何故?とさえ思った。
「そもそもあんな強欲の塊など、論外です」
「まぁ、陛下のお妃になられなかっただけましですが」
「馬鹿を言うな、皇妃になんてなれるわけがないだろう」
「ああ、後宮に入っても問題を起こすだけだ」
「「「うんうん!!」」」
部下達は心を一つにしてうんうんと頷いていた。
(知らなかった…)
国内でも誰からも愛されるユーフェミアをここまでボロカスに言うなんて信じられなかった。
(帝国では容姿よりも実力重視なのかしら?)
レスティア王国とは主観が異なっているのは知っていたが、ここまで嫌われるなんて何をしたのだろうか。
ふと、ここまで嫌われるなんてある意味凄いと思った。
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