15 / 21
第一章婚約破棄と国外追放
14.大御所登場
しおりを挟む今にも斬りこんで来そうなカイルを部下達は命懸けで抑え込む。
天下の近衛騎士団が、上司と部下の決闘で命を落とすなんて笑い話にもならない。
決闘の理由が、一人の女性を巡ってなどなおさらだろう。
「団長も、この非常時に何やってんですか」
「そうですよ、どんな性悪でも一応は同盟の#付属品__オプション__#なんですから」
(さらに酷くなった!!)
内心でツッコミを入れるエリーゼ。
ここまで酷くなるなんて、一体何をしたのか興味を抱く。
「お前達、何をしているのだ」
「「「お師匠様!!」」」
テントの中に入って来たのは一人の老人だった。
その人物には見覚えがあった。
「お爺様!」
「おお…リゼ姫」
クライスト将軍こと、ネイサン・クライスはエリーゼを見て笑みを浮かべる。
「懐かしいのぉ。可愛い姫」
「お爺様!」
軽々とエリーゼを抱き上げる。
「大きくなったものじゃ…ホッホッホッ!」
「お爺様、お久しゅうございます」
二人の触れ合いを見て近衛騎士達は絶句する。
「何だあれは」
「子供を高い高いしているノリか?」
「いや、そもそも…知り合いだったのか?」
戦場では鬼神と呼ばれる程恐ろしいと言われるネイサンだったが、今はどうだろうか。
ヘラヘラと笑み崩れる表情は形無しだった。
「息災で安堵した」
「お爺様」
エリーゼは、ようやく肩の力を抜くことができた。
「それにしてもその格好はどうしたのじゃ」
「騎士様たちが着替えを用意してくださって…ドレスは血で汚れてしまって」
「何?」
ピクっと眉が動く。
この時、近衛騎士達はネイサンを見逃さなかった。
普段よりも眉間の皺が多いことに。
「何があったか詳しくはなしてくれまいか?そうじゃ、リゼ姫の好きなお菓子も用意させようかのぉ?」
「はっ…はぁ」
一瞬だけネイサンの表情が強張った気がしたが、気のせいだと思うことにした。
*****
テントの中のはずが、豪華絢爛な部屋になっていた。
「あっ、あの…ここはテントの中では」
「空間魔法じゃ」
テントの中に空間魔法を使い、豪華絢爛な部屋にする。
「普段は質素にするが、流石に王太子妃だったリゼ姫をテントに入れるわけは行くまい」
「正確には候補ですわ」
王太子の婚約者という立場にあったが、正式な王太子妃ではない。
「王太子妃として振る舞い、馬鹿の仕事を代わりにこなしていたであろう」
「それは…」
あまりにも無能だった元婚約者の尻拭いをさせられていたにすぎない。
極めつけ王妃が病弱なので代理に仕事をせざる得ない状況だったのだが、他国からは既に王太子妃と思われているなんて知らなかった。
のんびりとした空気が流れる中…
ガシャン!
ティーカップが床に落ち、割れてしまった。
音に驚きながら、騎士を見る。
すると可哀想なぐらいに騎士はブルブル震えていた。
96
あなたにおすすめの小説
婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました
由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。
彼女は何も言わずにその場を去った。
――それが、王太子の終わりだった。
翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。
裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。
王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。
「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」
ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
『胸の大きさで婚約破棄する王太子を捨てたら、国の方が先に詰みました』
鷹 綾
恋愛
「女性の胸には愛と希望が詰まっている。大きい方がいいに決まっている」
――そう公言し、婚約者であるマルティナを堂々と切り捨てた王太子オスカー。
理由はただ一つ。「理想の女性像に合わない」から。
あまりにも愚かで、あまりにも軽薄。
マルティナは怒りも泣きもせず、静かに身を引くことを選ぶ。
「国内の人間を、これ以上巻き込むべきではありません」
それは諫言であり、同時に――予告だった。
彼女が去った王都では、次第に“判断できる人間”が消えていく。
調整役を失い、声の大きな者に振り回され、国政は静かに、しかし確実に崩壊へ向かっていった。
一方、王都を離れたマルティナは、名も肩書きも出さず、
「誰かに依存しない仕組み」を築き始める。
戻らない。
復縁しない。
選ばれなかった人生を、自分で選び直すために。
これは、
愚かな王太子が壊した国と、
“何も壊さずに離れた令嬢”の物語。
静かで冷静な、痛快ざまぁ×知性派ヒロイン譚。
【完結】✴︎私と結婚しない王太子(あなた)に存在価値はありませんのよ?
綾雅(りょうが)今年は7冊!
恋愛
「エステファニア・サラ・メレンデス――お前との婚約を破棄する」
婚約者であるクラウディオ王太子に、王妃の生誕祝いの夜会で言い渡された私。愛しているわけでもない男に婚約破棄され、断罪されるが……残念ですけど、私と結婚しない王太子殿下に価値はありませんのよ? 何を勘違いしたのか、淫らな恰好の女を伴った元婚約者の暴挙は彼自身へ跳ね返った。
ざまぁ要素あり。溺愛される主人公が無事婚約破棄を乗り越えて幸せを掴むお話。
表紙イラスト:リルドア様(https://coconala.com/users/791723)
【完結】本編63話+外伝11話、2021/01/19
【複数掲載】アルファポリス、小説家になろう、エブリスタ、カクヨム、ノベルアップ+
2021/12 異世界恋愛小説コンテスト 一次審査通過
2021/08/16、「HJ小説大賞2021前期『小説家になろう』部門」一次選考通過
記憶を失くして転生しました…転生先は悪役令嬢?
ねこママ
恋愛
「いいかげんにしないかっ!」
バシッ!!
わたくしは咄嗟に、フリード様の腕に抱き付くメリンダ様を引き離さなければと手を伸ばしてしまい…頬を叩かれてバランスを崩し倒れこみ、壁に頭を強く打ち付け意識を失いました。
目が覚めると知らない部屋、豪華な寝台に…近付いてくるのはメイド? 何故髪が緑なの?
最後の記憶は私に向かって来る車のライト…交通事故?
ここは何処? 家族? 友人? 誰も思い出せない……
前世を思い出したセレンディアだが、事故の衝撃で記憶を失くしていた……
前世の自分を含む人物の記憶だけが消えているようです。
転生した先の記憶すら全く無く、頭に浮かぶものと違い過ぎる世界観に戸惑っていると……?
四人の令嬢と公爵と
オゾン層
恋愛
「貴様らのような田舎娘は性根が腐っている」
ガルシア辺境伯の令嬢である4人の姉妹は、アミーレア国の王太子の婚約候補者として今の今まで王太子に尽くしていた。国王からも認められた有力な婚約候補者であったにも関わらず、無知なロズワート王太子にある日婚約解消を一方的に告げられ、挙げ句の果てに同じく婚約候補者であったクラシウス男爵の令嬢であるアレッサ嬢の企みによって冤罪をかけられ、隣国を治める『化物公爵』の婚約者として輿入という名目の国外追放を受けてしまう。
人間以外の種族で溢れた隣国ベルフェナールにいるとされる化物公爵ことラヴェルト公爵の兄弟はその恐ろしい容姿から他国からも黒い噂が絶えず、ガルシア姉妹は怯えながらも覚悟を決めてベルフェナール国へと足を踏み入れるが……
「おはよう。よく眠れたかな」
「お前すごく可愛いな!!」
「花がよく似合うね」
「どうか今日も共に過ごしてほしい」
彼らは見た目に反し、誠実で純愛な兄弟だった。
一方追放を告げられたアミーレア王国では、ガルシア辺境伯令嬢との婚約解消を聞きつけた国王がロズワート王太子に対して右ストレートをかましていた。
※初ジャンルの小説なので不自然な点が多いかもしれませんがご了承ください
婚約破棄に、承知いたしました。と返したら爆笑されました。
パリパリかぷちーの
恋愛
公爵令嬢カルルは、ある夜会で王太子ジェラールから婚約破棄を言い渡される。しかし、カルルは泣くどころか、これまで立て替えていた経費や労働対価の「莫大な請求書」をその場で叩きつけた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる