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第一章・不倫と疑われて。2

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 ピュアでも何でもいいから仕事しろ‼
 ぶつぶつと文句を言う社長に私は呆れながらそうツッコミたくなった。
 この男は何でいつもいつも。少しは真面目にやろうという気はないのかしら?
 しかも社長秘書になる前にいくつかの契約書を書かされた。その一つに。
『社長のプライベートをむやみに踏み込まない。また探る事を禁じる』
 と書かれてあった。てっきり、プライベートと仕事を切り分けたい人なのかと思ったのだが。なのに書かせた張本人が平気で破ってどうするのよ⁉
 結局、その日も社長に散々振り回された。セクハラも相変わらず。あ~ムカつく。
 
 このうっぷんが晴らすため、仕事が終わらせると親友達を飲みに誘った。駅前にある居酒屋に集まってビール片手にゴクゴクと飲み干した。
「あ~本当に嫌になるわ。ウチの社長は」
「え~でも超イケメンじゃん。いいじゃない。愛人でも愛されるだけ」
 そう言ってきたの親友の一人。内田香奈子うちだかなこだった。彼女は、会社が違うが同じ独身。
 黒髪ショートカットで背も高い。明るくサバサバした性格をしている。
 学生の頃から仲がいい親友二人と女子会と言う名の飲み会をしていた。
 はぁっ? 何を言っているのよ? 愛人よ? 妻子持ちなのよ。 
 香奈子の言葉に呆れてしまう。道理から外れているじゃないとツッコミたくなると、
「香奈子ったら何言ってるのよ⁉ 不倫なんて、ろくな人生にしかならないわよ? やめておきなさい」
 まともな意見で止めてくれるのは、もう一人の親友。竹田恵美たけだえみだった。彼女は主婦で一児の母親だ。黒色の胸元まである長い髪は落ち着いた彼女にぴったりだ。小柄だが、この中で一番大人な落ち着きさがある。さすが恵美……分かっている。
 そうよ! 不倫なんかして失敗する訳にはいかない。私は秘書として頑張り、素敵な旦那を見つけて家庭だけではなく、両親を幸せにしたいと思っているのに。
「私は、幸せな結婚がしたいのよ。不倫なんかして人生を無駄にしたくないわ」
「まぁ、確かにそうだけど……でも勿体無いわ。超イケメンなのに。しかも、社長でお金持ちじゃん」
「欲しいのなら、あげるわよ? 私いらないから」
「フフッ冗談よ。でもさ~あんたの愚痴を聞くと毎回夫婦漫才のように思えてくるわ」
「それ私も思った」
 ちょっと恵美まで。これのどこが夫婦漫才なのよ⁉ 社長と夫婦漫才も不倫もとん
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