蒼炎のカチュア

黒桐 涼風

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第十四章 親と子

14-4 レオサイド

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 まずい! メリアは致命傷は避けたが、散らばる、石片を腹部に直撃してしまった。

 やはり、カチュアではないと、勇能力の相手は厳しいか。

 いや。今現在、サリナとピッグの交戦を見ているが、戦闘センスはサリナが上か。サリナはピッグに当てているが、ピッグは攻撃を一度も当てていない。さすが、厄災を倒した四英雄の一人か。つまり、障壁の存在が多きいのか。もし障壁がなかったら、倒せたはずなのに、面倒クセー。

 何とか、障壁を壊さないとか。それ際、壊せれば。でも、カチュアの蒼い炎とバカ力なしで、どう壊すか。強力な魔術があっても、何発か当てないと障壁は壊せないんだよな。過去に空から無数の岩を振らせて厄災を倒した英雄がいたみたいだけど、それぐらの攻撃力がないと一気に障壁が壊せないか。

「レオ! メリア!」

 ミラが小声のつもりで声を掛けたつもりだと思うが、声がデカい。

「ミラ! どうした?」
「少し危険ですが、障壁を壊す方法があります。ですが、その方法は、ミラが開発した、爆弾を使うんだ。つまり、これを使うには、ミラ達が巻き込まれない範囲で爆破させないとだ」

 さっき、検問を蹴散らした時のあれか? あの時は不意を突いたから、距離が取れたけど、交戦中では。

「条件厳しくないか、それ?」
「なら、レオとサリナで隙を作って、私の魔術で距離を取らせるわ。現状、私は魔術を使うしか、できない。幸い、俺は相手を空まで浮かせる魔術が扱える」
「面倒クセーけど、やるか!」

 早速あたしは、ピッグ目掛けて、滑翔しながら回し蹴りを行った。だけど、やはり、効いていない。

 ピッグは息を吸い始めた。体が細めだったピッグの腹が膨れている。

 フーーーーー!

 息を吐きた。というか、物凄く突風だ。吹き飛ばされる。てか、息臭! 吸っていたら、気分が悪くなってきた。この口臭、毒入っていそうだ!

 あたしは踏ん張って、飛ばされないようにしていた。サリナは息を吹き出す前にジャンプしていたため、吐いた息で飛ばされてしまった。「クッセェェェェェェ!!!」と言いながら。

 臭い息がやむと。

「ぐ!」

 急にピッグは膨らませた腕で、あたしを殴りかかった。もろ喰らったあたしは後方へ飛ばされていった。くっそ! あの臭い息には、やはり毒があったのか。

 やばい、ピッグが追撃であたしの方へ殴りかかってきた! 咄嗟に、あたしは両腕を交差させて、奴の拳を受け止めた。

 こうなったら。

「やったら、やった分、倍返し!!!」

 ガォーーーン!!!

 あたしはピッグの攻撃を受け止めたまま、闘技を放った。

「ぐおおおおお!!!」

 ピッグは後方へ飛ばした。勇能力の力が、やったらやり返すカウンター戦法を持つ獣人族の前では、仇になったか。痛いのは嫌だけど。

「今よ!」
「うわわわわわわわわ!」

 ピッグの足場から、竜巻が出現し、その竜巻がピッグを空高く飛ばしていった。

 メリアの風の魔術か。何気に、エドナ以外の風の魔術使うところ始めて見たような。

「うまくいきました。風の魔術は苦手の方ですが、上手くいきました。ミラ! 隙を作ったわ」
「ああ、任せろ!」

 ドッカァァァァァァァーーーーーーーーーーン!!!

 犬人形の口から爆弾みたいなものが、飛んできて、ピッグに当たった。そしたら、爆発した。でも……

「火力高過ぎだろ!!!」

 一度に十件以上の家を破壊するんじゃねえのか? 

 ヒューーーー!!! ドーーーーン!!!

 あ! 落ちてきた。

「くっそ!!! やりやがったな!!」

 あんな火力が爆発に巻き込まれても、平気にいるよ。これが障壁の力か。でも、あちらこちらの体に焦げ跡が、恐らく、障壁は壊れている。

 それなら、話が早い。

「すまない! ここは任せて」

 吹き飛ばされたが戻ってきたサリナ。早速、サリナは魔物の頭化した右腕で、ピッグの頭に被りついた。

「これでも、くらえぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

 その口から、黒い炎を吐き出した。

「ぐおぉぉぉぉぉ!!!」

 黒い炎に燃えたピッグは、倒れていった。

「何とか、倒したか……」
「というか、あたし達、よく素で、勇能力相手とやり合うたよね。おかげで、ヘトヘトだ」
「休んでいる暇はありません。早く、カチュア達を追いかけよう」
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