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第10話 解決 と ? アルマ視点
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「ふふ、アレが現在の国の導き手よ。あの様子ならこの国も安泰ね」
「はい。そう思います」
何度も何度も後悔と自責の言葉を零し、駆け足で部屋を出ていった殿下たち。別人になった姿を見届けたわたしは、大きく頷いた。
悪心がない人が悪事を企むはずがなくて、そんな人達が悪いかじ取りをするはずがないんだもの。これからサンヴィアは、もっと生きやすい国になる。
「近々貴女達のもとにも、仲良く謝罪に来るでしょうね。その時は適当に話を合わせて、水に流してあげて頂戴」
「はい。そうするつもりです」
「僕も、同じです」
あの人達とは、本当に色んなことあった。でも痛みとして代償を払ったし、今のあの人達は殿下達であって殿下達ではなくなっている。
これ以上わたしもマイユルールも、この場にいないお父様も、何かを思うことも言うこともない。
「そ、色々とよろしく頼むわ。アルマも――はぁ、邪魔をしないでくれるかしら? この件の片が付いたから終わり、ではないでしょう? それも分からないだなんて、よくもまあそんなポジションが務まるわね。いい? あと少し黙ってなさい」
話している最中に大きなため息を吐き、空を軽く睨む。そうしたあと女性は「こっちの話よ、気にしないで」と肩を竦め、わたしへと向けていた顔をマイユールへと動かした。
「帰る前に、貴男にいくつか尋ねたいことがあるの。時間をいただくわよ」
「え、ええ、承知いたしました。そちらは、この場で構わないものでしょうか? 場所を移した方がよろしいのでしょうか?」
「後者、場所を移させてもらうわ。その話は、ここ。ワタシが作った部屋の中で行うようにしましょう」
おもむろにパチンと右の指を鳴らすと、突然目の前に真白の扉が現れた。
急にドアの前に現れたり、不思議な鏡を出したり。もう何度も荒唐無稽なことを経験しているけど、それでもやっぱり驚いてしまう。
「マイユール、アルマも。入室による心身への害はないから安心して頂戴。それじゃあ行きましょうか」
「はい。行ってくるよアルマ」
「ええ。いってらっしゃい」
女性には一礼、マイユールには手を振って見送り、やがて扉はぱたりと閉まった。
わたし抜きで、話さなければならない内容って。なんなのかしら……?
「はい。そう思います」
何度も何度も後悔と自責の言葉を零し、駆け足で部屋を出ていった殿下たち。別人になった姿を見届けたわたしは、大きく頷いた。
悪心がない人が悪事を企むはずがなくて、そんな人達が悪いかじ取りをするはずがないんだもの。これからサンヴィアは、もっと生きやすい国になる。
「近々貴女達のもとにも、仲良く謝罪に来るでしょうね。その時は適当に話を合わせて、水に流してあげて頂戴」
「はい。そうするつもりです」
「僕も、同じです」
あの人達とは、本当に色んなことあった。でも痛みとして代償を払ったし、今のあの人達は殿下達であって殿下達ではなくなっている。
これ以上わたしもマイユルールも、この場にいないお父様も、何かを思うことも言うこともない。
「そ、色々とよろしく頼むわ。アルマも――はぁ、邪魔をしないでくれるかしら? この件の片が付いたから終わり、ではないでしょう? それも分からないだなんて、よくもまあそんなポジションが務まるわね。いい? あと少し黙ってなさい」
話している最中に大きなため息を吐き、空を軽く睨む。そうしたあと女性は「こっちの話よ、気にしないで」と肩を竦め、わたしへと向けていた顔をマイユールへと動かした。
「帰る前に、貴男にいくつか尋ねたいことがあるの。時間をいただくわよ」
「え、ええ、承知いたしました。そちらは、この場で構わないものでしょうか? 場所を移した方がよろしいのでしょうか?」
「後者、場所を移させてもらうわ。その話は、ここ。ワタシが作った部屋の中で行うようにしましょう」
おもむろにパチンと右の指を鳴らすと、突然目の前に真白の扉が現れた。
急にドアの前に現れたり、不思議な鏡を出したり。もう何度も荒唐無稽なことを経験しているけど、それでもやっぱり驚いてしまう。
「マイユール、アルマも。入室による心身への害はないから安心して頂戴。それじゃあ行きましょうか」
「はい。行ってくるよアルマ」
「ええ。いってらっしゃい」
女性には一礼、マイユールには手を振って見送り、やがて扉はぱたりと閉まった。
わたし抜きで、話さなければならない内容って。なんなのかしら……?
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