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第9話 倒れた後、起きた後は タデウス視点
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「…………? ?? 俺はなぜ、こんな場所に居るんだ……?」
気がついたら、広い部屋……魔法陣が描かれた奇妙な部屋で倒れていて、その周りでは父上や母上――それに……。ハーザック公爵家のキュメット嬢とルナ神殿長も、酷い有様で気を失っていた。
「……ここで、何が起きたんだ……? …………駄目だ……。なにも思い出せない」
心の中はやけにすっきりとしているのに、頭の中はモヤがかかったような状態になっている。
このメンツが集まっているからには、何かしらの重要な出来事があるはず。なのになにも覚えていないなんて、こんなこと今まで一度もなかったぞ――っっ!!
「………………思い出した。お、俺はなんてことをしていたんだ……」
ここに俺達が集まっていた理由、それは呪いによる聖女の力の移動。ルナ神殿であった出来事によって俺達は腹を立て、その鬱憤を晴らすために結託していたんだ……。
「アルマが怒り見限るのは当たり前なのに、それに対してこんな行動に出るだなんて……。あり得ない……。いや、そもそも……。そこに至るまでも、おかしすぎるんだ」
アルマのご機嫌を窺い、衛兵達などには冷たくきつく当たる。聖力がなくなった途端に手のひらを返す。マイユール君達を一方的に呼んだにもかかわらず、遅いなどと怒り平手打ちをする。
「……なんなんだ、これは……」
狂っている。俺も父上も母上も弟達も神殿長も、みな狂っている。
「…………。俺は、どうしてこんな真似をしてしまったんだ……?」
思い出しただけで自分に嫌がさして、自身に虫唾が走るくらい嫌悪するものなのに……。なんで嬉々として行い続けてきたんだ……?
「…………それも、分からない……」
こっちは、いくら考えても思い出せない。
なので…………仕方がない。理由の追及はやめて、頭だけではなく身体も動かそう。
「関係者全員にちゃんと謝り、全国民に謝らないといけないな」
まずは誠心誠意謝罪を行い、ひとつずつ丁寧に償いをしてゆく。
やってしまったことはもう、元には戻せない……。だから挽回をしていく。一生をかけて。
「父上! 母上! ライアン! テオ! キュメット嬢! 神殿長! 起きるんだ!!」
俺も含め、この場にいる者全てが愚かな罪人。こんな人間に容赦は要らず、全員を叩き起こした。
するとすぐに目覚めて――
「!? 我々はなんということをしていたのだ……!?」
「わたくしは……。とんでもない真似をしてしまったわ……」
「なんて愚かなんだ……」
「僕は、クズだ……」
「公爵令嬢の――貴族の風上にも置けませんわ……」
「聖職者、失格でございます……」
――父上達も自分の行いが信じられず、すぐ償いの人生を歩むと明言した。なので俺達は頷き合い、駆け足で部屋を飛び出したのだった!
気がついたら、広い部屋……魔法陣が描かれた奇妙な部屋で倒れていて、その周りでは父上や母上――それに……。ハーザック公爵家のキュメット嬢とルナ神殿長も、酷い有様で気を失っていた。
「……ここで、何が起きたんだ……? …………駄目だ……。なにも思い出せない」
心の中はやけにすっきりとしているのに、頭の中はモヤがかかったような状態になっている。
このメンツが集まっているからには、何かしらの重要な出来事があるはず。なのになにも覚えていないなんて、こんなこと今まで一度もなかったぞ――っっ!!
「………………思い出した。お、俺はなんてことをしていたんだ……」
ここに俺達が集まっていた理由、それは呪いによる聖女の力の移動。ルナ神殿であった出来事によって俺達は腹を立て、その鬱憤を晴らすために結託していたんだ……。
「アルマが怒り見限るのは当たり前なのに、それに対してこんな行動に出るだなんて……。あり得ない……。いや、そもそも……。そこに至るまでも、おかしすぎるんだ」
アルマのご機嫌を窺い、衛兵達などには冷たくきつく当たる。聖力がなくなった途端に手のひらを返す。マイユール君達を一方的に呼んだにもかかわらず、遅いなどと怒り平手打ちをする。
「……なんなんだ、これは……」
狂っている。俺も父上も母上も弟達も神殿長も、みな狂っている。
「…………。俺は、どうしてこんな真似をしてしまったんだ……?」
思い出しただけで自分に嫌がさして、自身に虫唾が走るくらい嫌悪するものなのに……。なんで嬉々として行い続けてきたんだ……?
「…………それも、分からない……」
こっちは、いくら考えても思い出せない。
なので…………仕方がない。理由の追及はやめて、頭だけではなく身体も動かそう。
「関係者全員にちゃんと謝り、全国民に謝らないといけないな」
まずは誠心誠意謝罪を行い、ひとつずつ丁寧に償いをしてゆく。
やってしまったことはもう、元には戻せない……。だから挽回をしていく。一生をかけて。
「父上! 母上! ライアン! テオ! キュメット嬢! 神殿長! 起きるんだ!!」
俺も含め、この場にいる者全てが愚かな罪人。こんな人間に容赦は要らず、全員を叩き起こした。
するとすぐに目覚めて――
「!? 我々はなんということをしていたのだ……!?」
「わたくしは……。とんでもない真似をしてしまったわ……」
「なんて愚かなんだ……」
「僕は、クズだ……」
「公爵令嬢の――貴族の風上にも置けませんわ……」
「聖職者、失格でございます……」
――父上達も自分の行いが信じられず、すぐ償いの人生を歩むと明言した。なので俺達は頷き合い、駆け足で部屋を飛び出したのだった!
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