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第147話 バーネット商会との対決

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 どうやら、サーデル側にはバーネット商会が関与しているらしい。
 人魚族の国で起きたクーデターについても、反乱軍へ武器の提供をしたのはバーネット商会って疑いがあったけど……ここまで来ると他にも余罪が出てきそうだな。

 その点についての対応も含め、俺たちはガウリー大臣へ相談するため王都にあるメルキス城を訪ねた。
 すでにジュリスから連絡を受けていた大臣はすでに応接室で待っているという。
 早速そちらへと移動し、大臣と挨拶を済ませてから報告を始めた。

 それが終わると、ガウリー大臣は一度大きく息を吐き、語り始める。

「やはりバックにはあの商会がいたか……」
「『やはり』ということは、お気づきになっていたと?」
「確信は持てなかったが、恐らく何かしらの形でかかわっている可能性が高いだろうと睨んではいた。しかし、向こうも最初から争う姿勢を見せてはこないだろうと踏んでいたのだが……この調子だと、武力行使も辞さないと通達してきそうだ」

 つまり、サーデル側とダンジョンの利権を巡って戦争になるってわけか。
 ……いや、さすがにそれは向こうにメリットがなさすぎる気がする。

「サーデル側が強きに出るのは得策と思えません」
「私も同意見だ――が、どうにも連中に乗せられているような気がしてな」

 ガウリー大臣曰く、向こうの兵士たちに動きがあり、少しずつだがこのメルキスを囲むような陣形を取りつつあるという。
 念のためこちらも警戒態勢を取っているらしいが……もう一触即発の状態じゃないか。
 こうなったら、

「……ガウリー大臣」
「なんだね?」
「俺がサーデルへと出向いて、バーネット商会と交渉をします」
「っ!?」

 これにはガウリー大臣だけでなく、その場にいた全員が驚いたようだ。特に【月光】のリーダーであるエリさんはこの判断に難色を示した。

「ウィルム、悪いがその提案は受け入れられないな。たとえ大臣が承認したとしても、我々が全力で阻止する」
「母上!」

 娘のアキノが声をあげるが、

「私もエリ・タチバナと同じ意見だ」

 大臣が賛成したことでそれ以上なにも言えなくなってしまう。
 まあ、反対意見が出るのは想定内だ。
 しかし、サーデル側の王家や大臣をそそのかし、裏から戦争を仕掛けようとしているバーネット商会を放っておくわけにはいかない。
 ヤツらの狙いはハッキリしている。
 武器を売るためにさまざまな情報をでっちあげて戦争を起こそうというのだろう。あの悪徳商人が考えそうな強引で浅はかな手口だ。

「大臣……俺なら連中の思考を予想して動きを封じられます。行かせてください」
「ウィルム……分かった。ここは君に任せよう」

 説得に応じてくれた大臣は首を縦に振る。
 エリさんも、「アキノを護衛につけるなら」という条件付きで賛成してくれた。

 すぐに村へと戻って準備をしなくちゃな。
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