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第28話 守り抜く約束

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 魔物暴走を止め、エミリアたちは王都に戻る。
討伐部隊にも医療チームにも被害は出なかったのは大きな功績だ。

「では、私は父上に報告に行きます。エミリアさんはゆっくり休んでください」
「それなら、私も一緒に行きます。殿下はまだ魔力が不安定ですから」
「分かりました。行きましょう」

 王宮の国王の執務室。

「討伐任務、ご苦労だった。報告を聞こう。我が軍からの犠牲者は?」
「今回の討伐での死者はゼロです」
「は?」

 陛下は開いた口が塞がって居ない。

「軽傷者、重症者は出ましたが、死者は出ませんでした」
「本当か!?」
「ええ、本当です。全てエミリアさんたち医療チームのおかげです」
「エミリア、感謝する」
 
 そう言って陛下は頭を下げる。

「いえ、私は約束を果たしたまでです」
「約束?」
「誰も死なせない。そう約束しましたから」
「いや、言うのは簡単たんだが、実現するのは簡単ではないだろう。民を救ってくれてありがとう」

 国王が民の為に頭を下げる。
そうそうあることではない。

 陛下の誠実さが伝わってくる。

「エミリアには臨時ボーナスでもあげねばな」
「本当にそんな大層なことをした訳ではないですから」
「馬鹿を言え。前回の討伐では犠牲者が100名を超えたのだぞ。それがゼロなんて大きすぎる功績だよ」
「私1人じゃありません。医療チーム皆んなで協力したから実現できたことです」

 1人だけでは、死者を出していたかもしれない。
他の医師たちの助けがあったからこそ、実現できたのだ。

「もちろん、他の医師たちにも報酬を上乗せしておこう。2人とも、今日はもう休みなさい。疲れただろう」
「お気遣いありがとうございます」
「では、お言葉に甘えます」

 報告を終えると、自室に戻った。


 ♢


 討伐を終えて三日後。
今回の功績を表彰する場が設けられた。

 謁見の間の玉座には陛下が腰を下ろす。

「貢献度第3位、ドミニク前へ」

 第一騎士団の団長だ。
平民の出ながら、その圧倒的な実力で成り上がった最強の騎士。

 ドミニクが陛下から勲章を受け取る。

「貢献度第2位、サルヴァ・マルディン」

 そう指揮官のサルヴァが貢献度2位ということになった。
陛下から勲章が授与される。

「最後に貢献度第1位、エミリア・メディ」

 サルヴァ殿下よりも貢献度が高いと判断された。
最も、サルヴァが第1位はエミリアだと進言したらしい。

「貴殿には貢献度第一勲章と“戦場の名医“の称号を授ける」
「拝命いたします」

 国王陛下から直接、称号を授かるというのは大変名誉なこととされている。

「今後は医務司令官としての活躍も期待する」

 医務司令官は軍事の医療チームのトップである。
その職位は大佐クラスと同じである。

「以上、全てマルディン王国国王として宣言である」

 こうして、叙勲式は終了した。
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