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第29話 商会長
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アリア商会のジャックが、王宮を訪ねてきた。
「いやいや、エミリア様が開発した化粧品、大好評ですよ」
「それはよかったです」
庶民にも行き渡るような値段で販売してもらっているので、一気に広まってくれたようである。
「こちらが、エミリアさんの取り分です」
「こんなにですか?」
「ええ、売れ行きは好調なんで」
そこには、エミリアが想定していた倍ほどの金貨が入っていた。
「それで、ここからはご相談なんですけど、エミリアさんの化粧品で独立して子会社を設立しようかと考えています」
「そんな規模になっているんですか?」
「独立して販売ルートを拡大しようと考えています」
「分かりました。それに関してはお任せします」
商売に関しては素人だ。
専門家に任せておけばいい。
「では、正式にエミリア様のブランドとして売り出させていただきます。子会社の社長は、エミリアさんでいいですよね?」
「私がですか? でも、私商売のことなんて何もわからないですよ?」
「名前だけでもいいですから、エミリア様が社長であることが大事なんですよ」
「そういうことなら」
エミリアは社長に就任することを了承した。
「あと、これ私が開発した新作です」
「ほう、これは口紅ですか?」
「はい、保湿効果もあるようになっています」
白粉が売れて、新作を期待する声も上がっていたので作ってみたのである。
「これはいいですね。ぜひ、こちらも新作として売り出させていただきます」
「ありがとうございます。よろしくお願いします」
エミリアは新作のレシピをジャックに託した。
「そういえば、最近はどこに行ってもエミリア様の噂を聞きますね。侯爵様の娘さんも助けられたとか」
「よくご存知ですね」
「侯爵様も大切なお客様ですから。お客様を救っていただき、私からもお礼を」
「いいんですよ。医者として当然のことをしてるだけですから」
さすがは王都で一番大きな商会である。
色んな所に繋がりがあるのだろう。
「それよりジャックさん、最近寝れてます? 顔が疲れてますよ」
前回あった時よりも目の下にクマができている。
「そうですね。ちょっと最近忙しくてあんまり」
「任せられる仕事は、他の人に任せた方がいいですよ」
「あなたにだけは言われたくないですね」
そう言って、ジャックは笑みを浮かべる。
「まあ、それもそうですね。ちょっと待っててください」
エミリアは自分の研究室から、お茶の葉を取ってくる。
「これ、飲んでください。疲労回復効果がありますから」
「ありがとうございます。頂きますね」
「体調に不安があったらいつでもいらして下さいね」
「分かりました。また頼らせてもらいますね」
ジャックとの商談は終了した。
「いやいや、エミリア様が開発した化粧品、大好評ですよ」
「それはよかったです」
庶民にも行き渡るような値段で販売してもらっているので、一気に広まってくれたようである。
「こちらが、エミリアさんの取り分です」
「こんなにですか?」
「ええ、売れ行きは好調なんで」
そこには、エミリアが想定していた倍ほどの金貨が入っていた。
「それで、ここからはご相談なんですけど、エミリアさんの化粧品で独立して子会社を設立しようかと考えています」
「そんな規模になっているんですか?」
「独立して販売ルートを拡大しようと考えています」
「分かりました。それに関してはお任せします」
商売に関しては素人だ。
専門家に任せておけばいい。
「では、正式にエミリア様のブランドとして売り出させていただきます。子会社の社長は、エミリアさんでいいですよね?」
「私がですか? でも、私商売のことなんて何もわからないですよ?」
「名前だけでもいいですから、エミリア様が社長であることが大事なんですよ」
「そういうことなら」
エミリアは社長に就任することを了承した。
「あと、これ私が開発した新作です」
「ほう、これは口紅ですか?」
「はい、保湿効果もあるようになっています」
白粉が売れて、新作を期待する声も上がっていたので作ってみたのである。
「これはいいですね。ぜひ、こちらも新作として売り出させていただきます」
「ありがとうございます。よろしくお願いします」
エミリアは新作のレシピをジャックに託した。
「そういえば、最近はどこに行ってもエミリア様の噂を聞きますね。侯爵様の娘さんも助けられたとか」
「よくご存知ですね」
「侯爵様も大切なお客様ですから。お客様を救っていただき、私からもお礼を」
「いいんですよ。医者として当然のことをしてるだけですから」
さすがは王都で一番大きな商会である。
色んな所に繋がりがあるのだろう。
「それよりジャックさん、最近寝れてます? 顔が疲れてますよ」
前回あった時よりも目の下にクマができている。
「そうですね。ちょっと最近忙しくてあんまり」
「任せられる仕事は、他の人に任せた方がいいですよ」
「あなたにだけは言われたくないですね」
そう言って、ジャックは笑みを浮かべる。
「まあ、それもそうですね。ちょっと待っててください」
エミリアは自分の研究室から、お茶の葉を取ってくる。
「これ、飲んでください。疲労回復効果がありますから」
「ありがとうございます。頂きますね」
「体調に不安があったらいつでもいらして下さいね」
「分かりました。また頼らせてもらいますね」
ジャックとの商談は終了した。
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