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2章
2話
しおりを挟む《クリスタルside》
「段々と人が少なくなってきましたね」
盗賊一味が潜伏する倉庫付近は閑散としていて、いかにも悪党のアジトがありそうな雰囲気
周りに警戒をしながら、スパイのごとく潜入を進めていく
「こんなにも簡単に着いてしまうと、逆に不安になってしまいますね」
該当の倉庫に難なく到着した事が、逆に不安に感じてしまう
小窓から倉庫内を除くと、ターゲットの盗賊3人が確認できる
「呑気にお酒を飲んで、気楽なものですね」
この好機を逃すまいと、音を立てぬよう扉を開け中に侵入した
「顕現せよ」
水霊術で顕現させた、水の剣【アクアレイピア】を構えて近づき
「アクアスラスト!」
酒を酌み交わす無警戒の盗賊は、何の抵抗も出来ぬまま倒れる
「ふぅ、もう少し警戒をされた方がよろしいですよ?」
もう言葉は届かない盗賊3人に、皮肉を投げる
「あんたもな」
バチバチッ
「うっ…!?」
後ろから近づいて来た男に、首筋にスタンガンの様なものを当てられ気絶させられた
「悪いな、セクシーなお姉さん」
倒れるクリスタルの傍にしゃがみこみ、そのまま担ぎ上げる
「盗賊さんも協力感謝するぜ」
テリアの入った布袋を雑に投げ捨て、倉庫を出る男、どうやら盗賊と結託していたようだ
意識を失ったクリスタルはそのままどこかへ連れていかれてしまう
「ん…ん?」
気が付くと、知らない部屋のベットで、両手両足を縛られていた
「ぬかりましたね」
拘束されているにも関わらず、至って冷静なクリスタル
泉の精霊のマーメイドである彼女は、過去にも、存在の珍しさから狙われる事が多く、こういった事態にも慣れていたのだ
「しかし、一体誰の仕業なのでしょう…盗賊は3人と聞いていたのですが…」
拘束を解こうともがいていると、部屋に男が入ってきた
「お目覚めですか?お姉さん?」
ニヒッと薄気味悪い笑顔の男に、クリスタルは見覚えがある、昨日声を掛けてきた男3人の内の一人
「貴方は昨日の」
「覚えていてくださったんですね、光栄です」
「これは一体何の真似でしょうか?」
「昨日の借りを返しに来ただけですよ」
「借り?」
「ええ、私どもチーム勇者にあのような失態をさせてくれたあなた方にね」
黒い手袋を手にはめながら、ギロりと睨みつけてくる
「そんなことで?」
「あなた方にとっては、そんなことかもしれませんねぇ」
「それで?私をどうするおつもりですか?」
「犯します…他のお仲間さんも今頃同じような状況になっていることでしょうねぇ」
狙われるとすれば、雅とフリーダムだろう、あの2人なら大丈夫な気もするが、一刻も早くこの状況を打破し加勢に行くべきだ
「その拘束は特殊でしてねぇ、外そうと藻掻くほどに拘束が強まっていく代物です」
「随分と準備がよろしいんですね、そんなにも…あっ…///」
クリスタルが喋っているのを遮るように、胸を鷲掴みにする男
「これは想像以上の揉み心地ですねぇ、実に素晴らしい」
「んふっ…///貴方たちのんっ...///目的はそれだけですか?他にあっ…///仲間は?」
揉まれる度に艶っぽい声が漏れる
「感度も最高ではありませんかぁ、仲間など居ませんよ、私たちは貴方たちを良いように弄ぶだけです」
「そうですか、それが聞けて安心しました」
先程までの淫らな表情が、一瞬で真顔に変わる
「ん?何余裕ぶってるんですか?自分の置かれている状況がイマイチお分かりでないようですねぇ!!」
ズボンに手をかけ下ろす素振りを見せる男
「他の皆さんがいる時に使えなかってのですが、今なら遠慮なく使えます」
「はぁ?何ブツブツ言ってるんですか??まぁいいですたっぷりと犯してあげますよ!!」
男がクリスタルに覆いかぶさり、迫ろうとしたその時
「~♩~♪~♫~」
迫る男の顔面に向け、高音の声で歌を歌い始めるクリスタル
「な、あ…がぁ……やめ、さ、、おね……す」
その歌声を聞いた男はクリスタルの上で動かなくなってしまった
「スクリーム・ソング、マーメイド族の滅びの歌はいかがでしたか?」
手と足を水に変え拘束から脱し、覆い被さる男をどかして立ち上がる
「あらあら感想をお聞きしたかったのに、もう何も聞こえてはいないようですねぇ」
マーメイド族の持つ限定スキル【スクリーム・ソング】は、聴いた者の命を奪い歌い手の糧とする滅びの歌、仲間といる状況では使い辛い技だが、タイマンでは強力なスキルだ
「それと、貴方に揉まれた程度では何も感じません、情報を聞き出す為の演技なので勘違いされないように」
憐憫の眼差しを残し、部屋を後にする
「他の2人は大丈夫でしょうか、無事切り抜けているとは思いますけど…」
2人の無事を祈り、報告の為一旦ギルドへと急ぐのであった
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