異世界転移ってなんですか？〜最強スキルを手に入れたJKが、魔王を倒す旅に出るようです〜

2章

1話

異世界転移初日にして、仲間を3人も増やした、マスターピースのリーダーこと雅(みやび)は、1人で森を探索していた

｢ステちゃんちょっといい？｣

『どうしたの？』

｢今回のクエストで、みやビームをもっと使いこなしたいなって思ってるんだけど、いい方法あるかな？｣

『そうだねぇ、色んな敵と闘って経験を積むっていうのが1番だとは思うよ！』

｢だよね、地道にコツコツ頑張らなきゃだね｣

頬をパンとひと叩きし、気合いを入れ、ステちゃんの誘導でゴブリンの巣へと向かっていく

｢あの洞窟みたいな所？｣

『うん、あそこがゴブリンの巣だね』

草むらに隠れ、洞窟の入口を観察する雅、入口には見張りのゴブリンが2体

｢小さいのに顔が凄く怖いね｣

初見ゴブリンは、雅には少々刺激的の様子

｢よーし！気づかれないように近づいて、みやビームで倒すぞ！｣

意気込んで、忍び足で近づい行く

(もうちょっと、あと少し…)

｢きゃぁっ！｣

あともう少しという所で、何も無い場所で転けてしまった

｢ギー！ギー！｣

｢うぅ、見つかっちゃった｣

見張りのゴブリン2匹が、雅に迫り来る

(怖がらずに敵をしっかり見る！)

｢そこだ！みやビーム！！｣

みやビーム範囲内に、2匹が収まった瞬間を見極め、みやビームを放つ

｢｢ギ…っ｣｣

｢よし！｣

2匹を一撃で倒す雅、今までの戦闘経験を活かし、意識した攻撃をこなす事が出来た

｢やったよ、ステちゃん｣

『お見事だ！』

喜ぶのも束の間、洞窟の中から外の異変に気付いたゴブリン達が押し寄せて来る

｢えー！こんなに居るのぉ｣

あっという間に数十匹のゴブリンに囲まれてしまう

｢みやビーム！！｣

とにかく数を減らす、今の雅に思いつく作戦はこれしかない

｢みやビーム！！｣

ゴブリンの強みは集団での手数、ゴーレムのようにみやビームが防がれる事は無いので、打ち続けていれば勝てる、のだが…

｢はぁはぁ、なんだかみやビームの威力が弱くなってる気が…それに、なんだか凄く疲れて…｣

『雅ちゃん！？』

思わず膝をつく、息も上がり肩が大きく上下する

｢みや…ビーム！！｣

｢ギ？ギー！ギー！｣

みやビームが出ない、どうやら弾切れの様だ

『雅ちゃん！少し退避して体力回復しなきゃ！』

｢そうしたいのは山々なんだけど…｣

歩くのがやっとの雅を、ゴブリンが見逃してくれるとは思えない

『ゴブリンはあと数匹だけなのに…まさかみやビームに回数制限があるとは』

ゴブリンの攻撃はオートリフレクションで反射出来るので問題ない、あとはどれくらいで雅が回復するかだ

と、その時

｢華麗に助太刀っ｣

突如現れた銀髪ロン毛の男がゴブリンを切り捨て、髪をサッとかきあげる

｢お嬢さん、大丈夫かな？｣

見せびらかすように白い歯を見せ笑う男

｢は、はい助かりました、ってあなたは！｣

｢昨日ぶりだね｣

目の前に現れたのは、昨日声を掛けてきた3人の男の内の1人だった

｢そこで少し待ってて｣

そう言うと男はゴブリンに向き直り、斬りつけていく

｢ハッハッハー！｣

数匹しか残っていなかったゴブリンはあっという間に片付けられた、変な笑い方した男によって

｢あの、お兄さんありがとうございました｣

｢スミノフ、チーム勇者のスミノフだ｣

｢え？｣

｢俺の名前とチーム名さ、君は？｣

｢スミノフさんですね、私は雅っていいます！チーム名はマスターピースです｣

｢雅ちゃんか、素敵な名前だね｣

そう言って手を差し出してきた、握手のようだ

｢あ、はい｣

｢…………｣
｢…………｣

握手にしては中々手を離さないスミノフ、それどころか両手で手を握り始める

｢あ、あの、そろそろぉ｣

｢やっと捕まえたよ…雅ちゃん！｣

握手していた手を上に上げられ、壁に追い込まれる

｢へ、な、何を…｣

｢僕はね、君が盗賊に襲われてた時から、ずっと君のことを見てたんだ｣

｢スミノフさん、冗談はやめてください｣

みやビームも打てない、既に握られている手に対してオートリフレクションも発動しない

｢君に一目惚れしたんだ雅ちゃん、俺と一緒になろう？な？｣

｢い、嫌です、とにかく離してくださいっ｣

なんとか逃れようするも、スキル無しの雅に男を振り払う力は無い

｢嫌がる顔も可愛いんだねぇ｣

はぁはぁと荒い息遣い、両手を左手だけで抑えられ、右手が胸に伸びる

｢初めては優しくしてあげるからね、俺の雅｣

｢いやっ、やめてぇぇぇ！！｣