異世界転移ってなんですか？〜最強スキルを手に入れたJKが、魔王を倒す旅に出るようです〜

2章

3話

《フリーダムside》

馬車を降り、怪鳥の巣を目指して山岳地帯を進む人型兵器フリーダム

｢中々に険しい場所だな｣

人も魔物すら住むことが難しい、傾斜の激しい自然が支配する土地、そのどこかにある怪鳥の巣から、卵を頂戴しなければならない

｢展開…｣

腕と脚が装甲で覆われていき、屈伸する要領でしゃがみ脚に力を入れる

｢跳躍！｣

地面を蹴りつけ飛び跳ねる、跳躍地点のめり込みが脚力のとてつもなさを物語る

山岳地帯の頂上群を見下ろす程高く飛び上がるフリーダム

｢あそこか、空躍…｣

巣めがけて空中を蹴り付け、ジェット機並のスピードで向かう、いや突撃する

｢クエェェ！！！｣

轟音と共に巣付近に着地、もちろん怪鳥に気づかれる

卵運搬クエストと言えば、親のいない間を狙って頂戴するのが基本なのだが、真っ向勝負大好きフリーダムにその発想は無かった

｢怪鳥よ、卵を1つ頂くぞ｣

もちろん、そんな挨拶で卵を渡してくれるはずもなく

｢クェェッ！｣

巨大なくちばしをフリーダム目掛けて振り下ろす

｢ふんっ｣

後ろに跳躍し回避する、地面に打ち付けられたくちばしは地面を深く砕いた

｢クェックエェェッ！｣

怪鳥は攻撃の手を緩めない、殺意マシマシの連続啄みを繰り出す

｢ほお、中々やるではないか！｣

怪鳥の積極的な攻撃に、笑みがこぼれるフリーダム

元来、戦闘兵器として産まれた彼女は、闘うことを楽しむタイプのようだ

｢だが、そろそろ眠ってもらうぞ｣

何度か回避した後、地面を蹴って飛び上がり怪鳥の頭上を位置取る

｢回転…｣

右拳を水平に固定し、ドリルの様に回転を始め、遠心力の伴った拳を怪鳥の頭上に打ち込んだ

｢グエッ！？｣

攻撃をモロに受けた怪鳥は倒れ込み動かなくなった

｢暫く大人しくしていてくれよ｣

卵を頂戴する目的であるためトドメは刺さない、気絶している間に卵を回収した

｢やはり怪鳥の卵ともなると巨大だな｣

両手で抱えるほどの大きさの卵を巣から運び、馬車までの道を慎重に歩き進めていく

もう少しで馬車の待つ合流地点に着きかけた時、目の前に立ち塞がる人物を発見する

｢む？あれは昨日の？｣

仁王立ちする人物の正体は昨日ぶん殴った男、見覚えもあるし頬が腫れているので間違いない

｢よぉ、昨日は世話になったなぁ！｣

｢何用だ？｣

立ち塞がる男を怪訝な表情で睨む

｢この頬の報復に来たんだよ｣

｢無駄なことを、何度やろうとも結果は同じだ｣

｢その大事な卵を抱えたまんまでもか？｣

フリーダムの抱える卵を指差し言う

｢くっ…｣

いくらこの男をワンパンで倒せるとはいえ、卵に気を使いながらでは分が悪い

｢攻撃する素振りを見せたら卵を割るからな｣

ナイフを投げるジェスチャーで牽制する男

｢貴様の目的はなんだ｣

｢俺ら3人の目的は、お前たちをぶち犯すことだよ｣

｢清々しい程のクズだな｣

1歩ずつ近づく男が拳の間合いに入っても手が出せない

｢とりあえずその腕と脚の武器を収めな｣

｢…解除…｣

｢おぉ、すげぇ武器だなぁ！それと卵を地面に置きな！｣

言われた通り卵をゆっくりと地面に置く、男はフリーダムの後ろに回り込み、体を舐め回すように見る

｢いやぁ、武器もすげぇけど、やっぱりスタイルがすげぇわ｣

お尻を撫で回されるも、フリーダムは何も言わず黙っている

｢ふぅー！、こんな上玉とヤレるなんてマジ上がっちまうわぁ｣

｢おい、ヤルならとっとと済ませてくれ、私も暇ではないのだ｣

｢ったく、もうちょっとムード大事にしようぜぇ？……まぁいいや｣

フリーダムの後方で、ズボンのウエスト部分に手を掛けた

｢おぼぉっ！？｣

両手がおざなりになった隙を見逃さず、足を馬のように後ろに蹴り上げ、男の股間を強襲する

｢最後まで油断をするな痴れ者が｣

股間を抑え呼吸もままならない様子、脚の装甲がなくともフリーダムは充分強い

｢雅殿とクリスタル殿が心配だ。急がねば…｣

うずくまる男に目もくれず、馬車への道を急ぎ向かった