上 下
191 / 254
第33章

異世界の女神サマは◯◯◯です(1)

しおりを挟む
「あ、あなたは、まさか……?」
「そう! アタイこそが、この世界を管轄する女神だ。至高神アナスティミアってのは、アタイのことよっ!」

 筋肉質な褐色の女神は、手を腰にやり、豪快にガハハと笑ってみせる。

(いやすぎる……。コイツラ、ぜったいに、マトモじゃない)

 絶望……。

 オレの脳裏にこの二文字が浮かんだ。

 初対面で人を判断してはいけません、って部下に教わったけど、この場合、直感を信じるべきだよね。

 コイツラにかかわると、事態はさらにややこしくなるに決まっているよ!

 っていうか、こんな女神で、この世界はちゃんと存続しているのだから、これこそ、神の奇跡だろうね。

 できることなら会いたくなかった……。

 切羽詰まっていたとはいえ、女神に会いたいと思った、オレが間違っていたよ。
 ごめんなさい。
 許してください。
 色々と間違えすぎて、ごめんなさい。

 そろそろ元の世界に戻してください。
 もう、いいかげん、三十六番目の勇者に討伐されたいです……。

 ミスティアナひとりでも、オレは散々な目にあわされていたのに、ミスティアナっぽいのがふたりに増えてしまった……。

 全くタイプが違うのに、コイツラからは同じ匂いがする。プンプンする。
 かかわっちゃいけないヤツらだ。

 オレは心の中で泣いた。

「魔王ちゃん、元気ないわね」

 ようやく泣き止んだミスティアナが、鼻をグズグズいわせながら、オレに抱きついてくる。頼むから、鼻水をオレの服にこすりつけないでくれよ。

(そりゃ、あんたたちに出逢えば、だれだって、元気がなくなるよ……)

 だけど、相手はポンコツであっても、ガサツであっても、女神は女神である。

 そういう女神に限って、恨まれると、ねちっこくてろくなことはない。末代まで祟られそうだ。
 非力な魔王は、ただ、ただ、絶対的な権力の前にひれ伏す存在でしかない。

「いいかい? ミスティアナの魔王、よく聞きな。オメエは、アタイの世界で、運命の番に抱かれた。だから、オメエはアタイのモノになったんだ!」
「えええええええええっっつ!」
「えええええええええっっつ!」

 オレとミスティアナの声がハモる。

「うそだ! アレは事故だ!」
「アナスティミアちゃん、おねーちゃんは、そんなルール、きいたことがないよっ!」
「えええええええええええっっっっ!」

 オレは再び驚く。
「ミスティアナ……い、いま、な、なんて言った?」
「なんどでも言うわよ。そんなルール、きいたことがないよっ!」
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

全マシ。チートを貰った俺の領地経営勇者伝 -いつかはもふもふの国-

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:227pt お気に入り:4,225

拝啓お母様、俺は隣人に殺されるかもしれません

BL / 完結 24h.ポイント:619pt お気に入り:261

異世界転生したのに弱いってどういうことだよ

BL / 連載中 24h.ポイント:333pt お気に入り:2,978

極道恋事情

BL / 連載中 24h.ポイント:1,243pt お気に入り:781

願いの守護獣 チートなもふもふに転生したからには全力でペットになりたい

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:14,806pt お気に入り:7,515

下級巫女、行き遅れたら能力上がって聖女並みになりました

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:2,850pt お気に入り:5,694

みんなに優しい王子様に求婚されました

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:18,283pt お気に入り:824

ある化学者転生 記憶を駆使した錬成品は、規格外の良品です

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:177pt お気に入り:4,690

小鳥通りの薬草屋さん

66
BL / 連載中 24h.ポイント:1,754pt お気に入り:94

処理中です...