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第32章
異世界の大神殿はド派手です(5)
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「……ちゃん、……ちゃん!」
「ま……ちゃん、まお……ちゃん」
「……魔王ちゃん、魔王ちゃん、しっかりして! 魔王ちゃん!」
途切れていた意識が、徐々に蘇ってくる。
なんか……懐かしくて、不吉な、思い出したくもない声が聞こえたよ。
ああ。これは、空耳だね。
絶対に、空耳だよ。
空耳であるべきだ。
「魔王ちゃん、空耳じゃないよ。無視しないでよっ。魔王ちゃん、ひどい! やっと会えたのに、無視なんてひどいわ!」
そのうち、グズグズとすすり泣く声まで聞こえ始めたよ。
このすすり泣きには覚えがあるな。
「めがみいいいいいいいいっっつ! あれほど『刺激』は『トラブル』とは違うと言ったのに、どういうことだああああっ!」
オレは叫び声をあげながら、一気に覚醒した。
ぼんやりとした光に満ちた、白い世界。
この空間をオレは知っている。
異世界と神界をつなぐ、神々の控えの間だよ。
なんと……オレの目の前には、女性がふたり。
ひとりは、銀色の髪に金色の瞳の幼い顔をした女神。目には涙をいっぱいに溜めていて、ちょっと恥ずかしいことに鼻水もではじめている。
銀色の髪は長く、少し癖があるのか、寝癖なのか、ところどころでぴょこぴょことカールしている。
そしてなによりも、特徴的なまな板のようなぺったんこな胸。
間違いない。
間違えるはずがないよ。
オレの目の前にいる女神の名は……。
「聖なる女神ミスティアナ! ぐはぁっっぅ!」
「魔王ちゃん! 会いたかったよ――っ。いきなりアタシの世界から消えていなくなっちゃうんだもん! ちょ――びっくりしたよ――」
ものすごい力で抱きつかれ、オレの胸の中でおいおいと泣き始める。
ちょ、ちょ、ちょっと! 鼻水! 鼻水がオレの服にべっとりとついてます!
泣きたかったのはオレも同じなのだが、女神に会えて、オレは少しばかり安心した。
このまま女神といっしょに元の世界に戻れないだろうか?
「よう! ミスティアナの魔王ちゃん! ようやく会えたな。……っていうか、オメエ、大神殿に来るの遅すぎやしねえか? いつまで待たせるんだよっ!」
もうひとりの女性が口を開く。
鮮やかな赤髪と赤い瞳に、褐色のつややかな肌。
獅子のたてがみのような、ボリュームがあるクセの強い長い髪。
豊満な胸と筋肉質なボディ。それを強調させるような、魅惑的な衣装。
肉厚な唇には、ふてぶてしい笑みが浮かんでいる。
ミスティアナとは全くの正反対な存在なのに、不思議なことになんとなく似ている?
「ま……ちゃん、まお……ちゃん」
「……魔王ちゃん、魔王ちゃん、しっかりして! 魔王ちゃん!」
途切れていた意識が、徐々に蘇ってくる。
なんか……懐かしくて、不吉な、思い出したくもない声が聞こえたよ。
ああ。これは、空耳だね。
絶対に、空耳だよ。
空耳であるべきだ。
「魔王ちゃん、空耳じゃないよ。無視しないでよっ。魔王ちゃん、ひどい! やっと会えたのに、無視なんてひどいわ!」
そのうち、グズグズとすすり泣く声まで聞こえ始めたよ。
このすすり泣きには覚えがあるな。
「めがみいいいいいいいいっっつ! あれほど『刺激』は『トラブル』とは違うと言ったのに、どういうことだああああっ!」
オレは叫び声をあげながら、一気に覚醒した。
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銀色の髪は長く、少し癖があるのか、寝癖なのか、ところどころでぴょこぴょことカールしている。
そしてなによりも、特徴的なまな板のようなぺったんこな胸。
間違いない。
間違えるはずがないよ。
オレの目の前にいる女神の名は……。
「聖なる女神ミスティアナ! ぐはぁっっぅ!」
「魔王ちゃん! 会いたかったよ――っ。いきなりアタシの世界から消えていなくなっちゃうんだもん! ちょ――びっくりしたよ――」
ものすごい力で抱きつかれ、オレの胸の中でおいおいと泣き始める。
ちょ、ちょ、ちょっと! 鼻水! 鼻水がオレの服にべっとりとついてます!
泣きたかったのはオレも同じなのだが、女神に会えて、オレは少しばかり安心した。
このまま女神といっしょに元の世界に戻れないだろうか?
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ミスティアナとは全くの正反対な存在なのに、不思議なことになんとなく似ている?
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数々の作品あるなか、ご訪問ありがとうございます。
これもなにかの『縁』でございます!
お気に入り、ブクマありがとうございます。
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ポチっで、モチベーションがめっちゃあがります。
↓別のお話もアップしています。そちらも応援よろしくお願いします。↓
転生お転婆令嬢は破滅フラグを破壊してバグの嵐を巻き起こす
生贄奴隷の成り上がり〜魂の片割れとの巡り合い〜
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