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第19話 ジョージの末路
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結局、騎士様がジョージを回収されたらしく、回収しに行ってくれた騎士様に聞いた話では、ジョージは無事でしたが涙と鼻水で顔をぐちゃぐちゃにしていて情けない事になっていたようでした。
置き去りにされて、よほど怖かったみたいです。
回収されたジョージは、二度と私に近付く事が出来ないように、裏社会では有名だというマダムの所に連れて行かれたのだそうです。
そこまでの話を寝室でライト様に聞いた私は、1つしかないダブルベッドの上で横になっているせいで、いつもよりも近い位置にいるライト様に緊張しながら聞いてみます。
「そのマダムというのは、どんな方なのですか?」
「母の知り合いでな。表向きは貴族の夫人だが、裏ではカジノや男娼の店を経営している」
「男娼…ですか…」
「彼が病気だというのは嘘らしいから、どちらで働かせるかはマダムに任せる事にした。なんなら、ビリーが接触してきたら、彼もそこで働かせるつもりだ」
ライト様はそう言ってから寝そべって、先に横になっていた私に視線の位置を合わせてから続けます。
「マダムの手下が見張るだろうから逃げる事は無理だろうな」
「住み込みで働くような形になるのでしょうか」
「そうだ。それぞれの店の地下に従業員用の部屋がある。地下だから窓もない。仕事以外の時間はその部屋で過ごすことになる。もちろんまともな人間も働いているから、その人達は家から通いだけどな」
「太陽に当たらないと体に良くないという話を聞いたのですが、それは大丈夫なのですか?」
「適度に日光浴くらいはさせるだろう。彼女の場合は殺したいんじゃなくて、働き手が欲しいだけだからな。まあ、ジョージは死ぬまで自由もなく、こき使われるだろう」
マダムがどんな方なのか気になりますが、裏の顔として動かれているなら深く聞かないほうが良いですよね。
深く探ろうとして口封じの為に殺されるだなんて事になるのは御免です!
「特に深入りしようとしなければ大丈夫だ。現に俺も母上も殺されていないだろう?」
「ライト様の場合は相手を返り討ちに出来るからではないですか?」
「まあ、それはそうだが…、それなら母はどうなる? 母は普通の人間だぞ」
「お会いしたことがないのでわかりませんが、お義母さまの場合はお友達だからではないですか?」
「そうかもしれないが、ただ、そんなに不安になるくらいなら、マダムの正体は知らなくていいと思う。もう、ジョージの事も忘れろ。店に行かない限り二度と会うことはないだろうからな」
ライト様は私の頬に優しく触れた後、小さくあくびをしてから言います。
「そろそろ寝るか」
「いいえ! 今日こそは子作りを!」
起き上がって叫ぶと、ライト様が驚いた顔をされます。
「何を言ってるんだ!」
「メイド達が言っていたんです! せっかくの新婚旅行なのですからやり直しの初夜をと!」
「まだ早いと言っているだろう! 大体、まだリーシャ様は細すぎる!」
そう言って私の手首を指差しました。
自分で自分の手首を見ても細いかどうかはわかりませんが、ライト様の手首と比べてみると、やはり私の手首は細いようです。
でも、ライト様は私よりも体が大きいですから、私よりも手首が太いのは当たり前な気もします。
「どれくらいになれば許可していただけるんです?」
「どうして、リーシャ様はそんなに焦ってるんだ。別にそんな事をしなくても君と離縁したりはしないと言ってるだろ」
「そんなお言葉を聞けてとても嬉しいですが、私は私なりにライト様の事を考えての事なんです!」
「俺の事を考えて…?」
訳がわからないといった顔をされますので素直に答えます。
「ライト様はお子様が好きなのでしょう? ですが、皆さん、ライト様のお顔が怖いといって近付いてきてくれませんよね? でも、自分の子供でしたらどうでしょう? 小さい頃からあなたの顔を見慣れていれば、あなたがお父様だという事を認識してなついてくれるのではないでしょうか!?」
「うっ…、そんな都合の良い事になるだろうか」
「もしかすると、ライト様そっくりの男の子か女の子が生まれるかもしれないじゃないですか。そうなったら、自分の顔は怖くないでしょうから、ライト様の顔も怖くないはずです」
「それはそれで子供が苦労しそうだから、あんまり良いとは思えないんだが!?」
「大丈夫です! ライト様の顔も見慣れたら怖くなくなりましたから!」
「最初は怖いと思ってたんだな」
「申し訳ございません!」
ベッドの上に座り、額を付けて謝ると、ライト様が慌てて起き上がります。
「謝る必要はない! 俺の顔が怖いのが悪いんだ」
「それもどうかと思います。それにライト様のお顔は私も使用人も怖くありません!」
「そりゃあ、本気で怒ってる顔を見た事がないからだろ」
「そうかもしれませんが、それと同じように通りがかりの子供の前で、そんな恐ろしい顔をしていらっしゃいませんよね?」
「まあな。普通の顔をしているつもりだ。……とにかく伝えておく。まだ早い」
ライト様はそう言った後、無理矢理話題を変えます。
「ジョージはまあ、マダムのところから出られないからいいとして、次にビリーがどう出てくるかだな。せっかくの新婚旅行だってのに…。というか、俺は挨拶をしなくちゃいけないのか?」
「……ビリーにですか?」
「ああ。一応、君の父親だろう?」
「私の父はノルドグレンでは死んだ事になっておりますので大丈夫です」
「向こうはそう思っていなさそうだけどな」
「それが本当に信じられません! ビリーも少しは痛い目を見ればいいんです!」
置き去りにされた時のショックが思い出されて、無性に悲しくなりましたが、すぐにそれは苛立ちに変わり、枕を叩いていると、ライト様が私の両手を掴まれました。
さ、さっきまでよりもだいぶ顔も近いです。
「寝る前なんだからそんなに興奮するな」
ライト様はそう言って私を見つめてきました。
うう。
恥ずかしいです。
男性にこんな風に間近で見つめられた事なんてないです。
恥ずかしくて頭突きしてしまいそうです!
「頭突きはするなよ」
ライト様はそう言ってから、さっきよりも顔を近付けてきて言います。
「これくらいで顔が真っ赤になってるのに、子作りなんて出来るわけないだろう」
「しょっ、しょれはっ!」
「しょ?」
「それはって言おうとしたんです!」
ライト様の手を振り払い、近くにあったタオルケットを手に取ると頭にかぶせてから言います。
「おやすみなさい!」
「おい、さっきまでの勢いはどうした?」
「おやすみなさい!」
もう一度言うと、ライト様が笑いながら「おやすみ」と言ってくれた後、部屋の明かりを消してくれたのでした。
置き去りにされて、よほど怖かったみたいです。
回収されたジョージは、二度と私に近付く事が出来ないように、裏社会では有名だというマダムの所に連れて行かれたのだそうです。
そこまでの話を寝室でライト様に聞いた私は、1つしかないダブルベッドの上で横になっているせいで、いつもよりも近い位置にいるライト様に緊張しながら聞いてみます。
「そのマダムというのは、どんな方なのですか?」
「母の知り合いでな。表向きは貴族の夫人だが、裏ではカジノや男娼の店を経営している」
「男娼…ですか…」
「彼が病気だというのは嘘らしいから、どちらで働かせるかはマダムに任せる事にした。なんなら、ビリーが接触してきたら、彼もそこで働かせるつもりだ」
ライト様はそう言ってから寝そべって、先に横になっていた私に視線の位置を合わせてから続けます。
「マダムの手下が見張るだろうから逃げる事は無理だろうな」
「住み込みで働くような形になるのでしょうか」
「そうだ。それぞれの店の地下に従業員用の部屋がある。地下だから窓もない。仕事以外の時間はその部屋で過ごすことになる。もちろんまともな人間も働いているから、その人達は家から通いだけどな」
「太陽に当たらないと体に良くないという話を聞いたのですが、それは大丈夫なのですか?」
「適度に日光浴くらいはさせるだろう。彼女の場合は殺したいんじゃなくて、働き手が欲しいだけだからな。まあ、ジョージは死ぬまで自由もなく、こき使われるだろう」
マダムがどんな方なのか気になりますが、裏の顔として動かれているなら深く聞かないほうが良いですよね。
深く探ろうとして口封じの為に殺されるだなんて事になるのは御免です!
「特に深入りしようとしなければ大丈夫だ。現に俺も母上も殺されていないだろう?」
「ライト様の場合は相手を返り討ちに出来るからではないですか?」
「まあ、それはそうだが…、それなら母はどうなる? 母は普通の人間だぞ」
「お会いしたことがないのでわかりませんが、お義母さまの場合はお友達だからではないですか?」
「そうかもしれないが、ただ、そんなに不安になるくらいなら、マダムの正体は知らなくていいと思う。もう、ジョージの事も忘れろ。店に行かない限り二度と会うことはないだろうからな」
ライト様は私の頬に優しく触れた後、小さくあくびをしてから言います。
「そろそろ寝るか」
「いいえ! 今日こそは子作りを!」
起き上がって叫ぶと、ライト様が驚いた顔をされます。
「何を言ってるんだ!」
「メイド達が言っていたんです! せっかくの新婚旅行なのですからやり直しの初夜をと!」
「まだ早いと言っているだろう! 大体、まだリーシャ様は細すぎる!」
そう言って私の手首を指差しました。
自分で自分の手首を見ても細いかどうかはわかりませんが、ライト様の手首と比べてみると、やはり私の手首は細いようです。
でも、ライト様は私よりも体が大きいですから、私よりも手首が太いのは当たり前な気もします。
「どれくらいになれば許可していただけるんです?」
「どうして、リーシャ様はそんなに焦ってるんだ。別にそんな事をしなくても君と離縁したりはしないと言ってるだろ」
「そんなお言葉を聞けてとても嬉しいですが、私は私なりにライト様の事を考えての事なんです!」
「俺の事を考えて…?」
訳がわからないといった顔をされますので素直に答えます。
「ライト様はお子様が好きなのでしょう? ですが、皆さん、ライト様のお顔が怖いといって近付いてきてくれませんよね? でも、自分の子供でしたらどうでしょう? 小さい頃からあなたの顔を見慣れていれば、あなたがお父様だという事を認識してなついてくれるのではないでしょうか!?」
「うっ…、そんな都合の良い事になるだろうか」
「もしかすると、ライト様そっくりの男の子か女の子が生まれるかもしれないじゃないですか。そうなったら、自分の顔は怖くないでしょうから、ライト様の顔も怖くないはずです」
「それはそれで子供が苦労しそうだから、あんまり良いとは思えないんだが!?」
「大丈夫です! ライト様の顔も見慣れたら怖くなくなりましたから!」
「最初は怖いと思ってたんだな」
「申し訳ございません!」
ベッドの上に座り、額を付けて謝ると、ライト様が慌てて起き上がります。
「謝る必要はない! 俺の顔が怖いのが悪いんだ」
「それもどうかと思います。それにライト様のお顔は私も使用人も怖くありません!」
「そりゃあ、本気で怒ってる顔を見た事がないからだろ」
「そうかもしれませんが、それと同じように通りがかりの子供の前で、そんな恐ろしい顔をしていらっしゃいませんよね?」
「まあな。普通の顔をしているつもりだ。……とにかく伝えておく。まだ早い」
ライト様はそう言った後、無理矢理話題を変えます。
「ジョージはまあ、マダムのところから出られないからいいとして、次にビリーがどう出てくるかだな。せっかくの新婚旅行だってのに…。というか、俺は挨拶をしなくちゃいけないのか?」
「……ビリーにですか?」
「ああ。一応、君の父親だろう?」
「私の父はノルドグレンでは死んだ事になっておりますので大丈夫です」
「向こうはそう思っていなさそうだけどな」
「それが本当に信じられません! ビリーも少しは痛い目を見ればいいんです!」
置き去りにされた時のショックが思い出されて、無性に悲しくなりましたが、すぐにそれは苛立ちに変わり、枕を叩いていると、ライト様が私の両手を掴まれました。
さ、さっきまでよりもだいぶ顔も近いです。
「寝る前なんだからそんなに興奮するな」
ライト様はそう言って私を見つめてきました。
うう。
恥ずかしいです。
男性にこんな風に間近で見つめられた事なんてないです。
恥ずかしくて頭突きしてしまいそうです!
「頭突きはするなよ」
ライト様はそう言ってから、さっきよりも顔を近付けてきて言います。
「これくらいで顔が真っ赤になってるのに、子作りなんて出来るわけないだろう」
「しょっ、しょれはっ!」
「しょ?」
「それはって言おうとしたんです!」
ライト様の手を振り払い、近くにあったタオルケットを手に取ると頭にかぶせてから言います。
「おやすみなさい!」
「おい、さっきまでの勢いはどうした?」
「おやすみなさい!」
もう一度言うと、ライト様が笑いながら「おやすみ」と言ってくれた後、部屋の明かりを消してくれたのでした。
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