29 / 40
28 裏切り者は誰か
しおりを挟む
両親からのしつこい連絡については、屋敷の使用人たちが手紙を受け取らずに配達人に返してくれるので、私としては特に悩まされることはなかった。
しかも、両親はシュテーダム王国には入れないので、どうやっても私に接触できない。
今頃はかなり憤っているでしょうね。
お兄様から聞いた話では、ローク殿下の嫌がらせとあり、エードル公爵家は爵位を下げられ、子爵家になった。
家も領土も現金なども全て没収され、両親は現在、お兄様と一緒にローク殿下が用意した小さな家に暮らしているらしい。
お兄様はこんなこともあるかもしれないと予測していたようで、自分名義の現金を手にしていたため、お兄様のほうは暮らしに困るということはなさそうだった。
問題は一緒に暮らしている両親だ。
追い出しても良いとは思っているようだけれど、さすがに世間体的には良くない。
それに、お父様から爵位を譲ってもらったわけではないから、追い出すとややこしくなるみたいだった。
「ラナリーの兄は、こっちの国にはこないのかな? かんげいするのに」
シュティル様がいつもそう言ってくださるので、どうしてもお父様がお兄様に家督を譲らずに迷惑だけかけている時は、声を掛けてみようかと思っている。
でも、その前に、乗り越えなければならない案件ができた。
それは、マゼッタ様の旦那様が亡くなったことだっだ。
マゼッタ様の旦那様ということは、シュティル様のお祖父様が亡くなったということになる。
この何年間かは寝たきりの状態だったらしく、とうとう先日、息を引き取られたとのことだった。
そのため、各国の国王陛下がイーノ王国での葬儀に参列することになった。
そして、その葬儀にはローク殿下が陛下の代理として参列すると連絡があった。
ローク殿下は私が彼に連絡しないことについて苛立っているらしいから、私とシュティル様に何らかの形で接触してくると思われる。
そのことについては、警備担当者とルラン様が話をして、ローク殿下に会わなくて済むようなスケジュールを組むことになった。
馬車に乗って一緒にユリアス邸に戻る際に、ルラン様が難しい顔をしていたので聞いてみる。
「何かあったのですか?」
「ああ。トッテム公爵家から連絡があったんだ」
「トッテム公爵家から?」
一体、どんな話なのだろうと、ルラン様が話し出すのを待っていると、重い口を開いてくれた。
「ノヌル公爵家の嫡男のシーフ様が、ローク殿下と連絡を取っているという報告がきた」
「……なんですって?」
エーラ様がシュティル様を恨んでいるのと同じで、彼女の兄であるシーフ様がシュティル様を恨んでいる可能性は高い。
ということは、シーフ様はシュティル様の情報やシュテーダムの内部事情を話し、この国に攻め入れさせようとしている可能性がある。
「シーフ様やエーラ様はシュティル様の命が奪われることを望んでいるのでしょうか」
「どうだろうな。あと、現在のノヌル公爵が前々からロラルグリラの王家と繋がっていた可能性もあるらしい」
「では、エーラ様の恨みは自分のお父様に向けられるべきではないのですか?」
「俺もそう思うが、トッテム公爵家が今は詳しく調べている最中なんだそうだ。でも、シーフ様がローク殿下と繋がっていることは間違いない」
ルラン様の話を聞いて、今回のイーノ王国での葬儀はすんなりと形式通りに終わらないという嫌な予感がした。
しかも、両親はシュテーダム王国には入れないので、どうやっても私に接触できない。
今頃はかなり憤っているでしょうね。
お兄様から聞いた話では、ローク殿下の嫌がらせとあり、エードル公爵家は爵位を下げられ、子爵家になった。
家も領土も現金なども全て没収され、両親は現在、お兄様と一緒にローク殿下が用意した小さな家に暮らしているらしい。
お兄様はこんなこともあるかもしれないと予測していたようで、自分名義の現金を手にしていたため、お兄様のほうは暮らしに困るということはなさそうだった。
問題は一緒に暮らしている両親だ。
追い出しても良いとは思っているようだけれど、さすがに世間体的には良くない。
それに、お父様から爵位を譲ってもらったわけではないから、追い出すとややこしくなるみたいだった。
「ラナリーの兄は、こっちの国にはこないのかな? かんげいするのに」
シュティル様がいつもそう言ってくださるので、どうしてもお父様がお兄様に家督を譲らずに迷惑だけかけている時は、声を掛けてみようかと思っている。
でも、その前に、乗り越えなければならない案件ができた。
それは、マゼッタ様の旦那様が亡くなったことだっだ。
マゼッタ様の旦那様ということは、シュティル様のお祖父様が亡くなったということになる。
この何年間かは寝たきりの状態だったらしく、とうとう先日、息を引き取られたとのことだった。
そのため、各国の国王陛下がイーノ王国での葬儀に参列することになった。
そして、その葬儀にはローク殿下が陛下の代理として参列すると連絡があった。
ローク殿下は私が彼に連絡しないことについて苛立っているらしいから、私とシュティル様に何らかの形で接触してくると思われる。
そのことについては、警備担当者とルラン様が話をして、ローク殿下に会わなくて済むようなスケジュールを組むことになった。
馬車に乗って一緒にユリアス邸に戻る際に、ルラン様が難しい顔をしていたので聞いてみる。
「何かあったのですか?」
「ああ。トッテム公爵家から連絡があったんだ」
「トッテム公爵家から?」
一体、どんな話なのだろうと、ルラン様が話し出すのを待っていると、重い口を開いてくれた。
「ノヌル公爵家の嫡男のシーフ様が、ローク殿下と連絡を取っているという報告がきた」
「……なんですって?」
エーラ様がシュティル様を恨んでいるのと同じで、彼女の兄であるシーフ様がシュティル様を恨んでいる可能性は高い。
ということは、シーフ様はシュティル様の情報やシュテーダムの内部事情を話し、この国に攻め入れさせようとしている可能性がある。
「シーフ様やエーラ様はシュティル様の命が奪われることを望んでいるのでしょうか」
「どうだろうな。あと、現在のノヌル公爵が前々からロラルグリラの王家と繋がっていた可能性もあるらしい」
「では、エーラ様の恨みは自分のお父様に向けられるべきではないのですか?」
「俺もそう思うが、トッテム公爵家が今は詳しく調べている最中なんだそうだ。でも、シーフ様がローク殿下と繋がっていることは間違いない」
ルラン様の話を聞いて、今回のイーノ王国での葬儀はすんなりと形式通りに終わらないという嫌な予感がした。
応援ありがとうございます!
27
お気に入りに追加
1,489
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる