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27 言いがかり
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「ラナリー、家のことはきいたよ。つらいのなら、しごとを休んでもいいんだよ」
シュティル様が心配そうな顔をして私を見上げてきた。
そのお顔の可愛さだけで癒やされてしまう。
仕事中なのにシュティル様を心配させてしまうような顔をしていたのかと思うと、お世話係としては失格ね。
「お気遣いいただきありがとうございます。ですが、私は大丈夫ですよ」
「大丈夫じゃない人ほど、大丈夫って言うんだよ」
シュティル様が拗ねるように口をへの字に曲げた。
大丈夫ではあるけれど考えないといけないことが多すぎて、何から手を付ければ良いのか迷っているのは確かだ。
ローク殿下はお姉様のせいで王家の名に傷がついたなんて言いがかりのような話をしてきている。
すでにローク殿下はお姉様との婚約を破棄しているのだから、実際は傷なんて付いていないはず。
でも、ローク殿下はお姉様を過去に婚約者として扱っていたことが良くないのだと言う。
そして、そんな姉を押し付けてきた私も良くないから、責任を取れと言うのだ。
お姉様と婚約すると言ったのはローク殿下であって、私が押し付けたわけではない。
そのことを伝えても、私にすすめられたのだと言うだけでなく、嘘をつくのかと脅された。
ローク殿下は私の両親が私からシュテーダムのことを聞き出せないのは、私が両親を嫌っているからだと思っている。
それについては間違ってはいないけれど、たとえ、好きであってもローク殿下に伝えるとわかっていれば、教えることなんてないということに、まだローク殿下は気づいていない。
となると、私はシュティル様のためにもローク殿下に近づいたほうが良いのかとも考えてしまう。
二重スパイになれば、シュティル様を守れる。
でも、そんなことをしたら、シュティル様に嘘をつかなくてはいけなくなるから可能性もあるので嫌なのだ。
「決めきれなくて悩んでいるだけですので、そのうち解決すると思います」
「ひとりでかかえこまなくても良いんだよ。ぼくはきっとやくに立てないだろうから、ルランにそうだんしたら良いと思う」
しゅんと肩を落とすシュティル様に感謝の意を述べる。
「ありがとうございます。お気持ちだけで十分ですわ。それから、どうにもならなくなる前にルラン様に相談いたしますね」
微笑んで言うと、シュティル様は安堵したような笑みを浮かべる。
「良かった。ラナリーが国にかえっちゃうのかと思ってしんぱいだったんだ」
「ラナリーはシュティル様が望んでくださるなら、いつまででもお世話係として仕えたいと思っておりますよ」
「赤ちゃんができても、ぼくのことも気にしてくれるの?」
シュティル様が不安そうな顔をして聞いてくる。
私とルラン様の間に赤ちゃんが生まれるなんてことはないのだけれど、今のシュティル様にそのことを伝える必要はない。
「気にするに決まっているじゃないですか。ずっと大好きですから」
「ふふっ。だいすきだって、うれしい」
シュティル様が笑い始めた時、先生が部屋を訪ねてきたので、この話は終わった。
シュティル様が勉強を教わっている間に考えたことは、このままではローク殿下は嘘をついてでも、シュテーダムを攻め込む可能性があるということ。
なら、そうはさせないように、今回はこちらから先手を打たなければならないということだった。
シュティル様が心配そうな顔をして私を見上げてきた。
そのお顔の可愛さだけで癒やされてしまう。
仕事中なのにシュティル様を心配させてしまうような顔をしていたのかと思うと、お世話係としては失格ね。
「お気遣いいただきありがとうございます。ですが、私は大丈夫ですよ」
「大丈夫じゃない人ほど、大丈夫って言うんだよ」
シュティル様が拗ねるように口をへの字に曲げた。
大丈夫ではあるけれど考えないといけないことが多すぎて、何から手を付ければ良いのか迷っているのは確かだ。
ローク殿下はお姉様のせいで王家の名に傷がついたなんて言いがかりのような話をしてきている。
すでにローク殿下はお姉様との婚約を破棄しているのだから、実際は傷なんて付いていないはず。
でも、ローク殿下はお姉様を過去に婚約者として扱っていたことが良くないのだと言う。
そして、そんな姉を押し付けてきた私も良くないから、責任を取れと言うのだ。
お姉様と婚約すると言ったのはローク殿下であって、私が押し付けたわけではない。
そのことを伝えても、私にすすめられたのだと言うだけでなく、嘘をつくのかと脅された。
ローク殿下は私の両親が私からシュテーダムのことを聞き出せないのは、私が両親を嫌っているからだと思っている。
それについては間違ってはいないけれど、たとえ、好きであってもローク殿下に伝えるとわかっていれば、教えることなんてないということに、まだローク殿下は気づいていない。
となると、私はシュティル様のためにもローク殿下に近づいたほうが良いのかとも考えてしまう。
二重スパイになれば、シュティル様を守れる。
でも、そんなことをしたら、シュティル様に嘘をつかなくてはいけなくなるから可能性もあるので嫌なのだ。
「決めきれなくて悩んでいるだけですので、そのうち解決すると思います」
「ひとりでかかえこまなくても良いんだよ。ぼくはきっとやくに立てないだろうから、ルランにそうだんしたら良いと思う」
しゅんと肩を落とすシュティル様に感謝の意を述べる。
「ありがとうございます。お気持ちだけで十分ですわ。それから、どうにもならなくなる前にルラン様に相談いたしますね」
微笑んで言うと、シュティル様は安堵したような笑みを浮かべる。
「良かった。ラナリーが国にかえっちゃうのかと思ってしんぱいだったんだ」
「ラナリーはシュティル様が望んでくださるなら、いつまででもお世話係として仕えたいと思っておりますよ」
「赤ちゃんができても、ぼくのことも気にしてくれるの?」
シュティル様が不安そうな顔をして聞いてくる。
私とルラン様の間に赤ちゃんが生まれるなんてことはないのだけれど、今のシュティル様にそのことを伝える必要はない。
「気にするに決まっているじゃないですか。ずっと大好きですから」
「ふふっ。だいすきだって、うれしい」
シュティル様が笑い始めた時、先生が部屋を訪ねてきたので、この話は終わった。
シュティル様が勉強を教わっている間に考えたことは、このままではローク殿下は嘘をついてでも、シュテーダムを攻め込む可能性があるということ。
なら、そうはさせないように、今回はこちらから先手を打たなければならないということだった。
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