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Ⅴ.後日談

第7話 恋情 一夜明けて② ※

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「んっ!! シェン! あっ!」

 シェンバーの口が、イルマの雄をんでいる。
 熱い口腔の中で吸われ、舐められ、喉の奥まで呑み込まれている。
 シェンバーの頭を掴んで離そうとしても力が入らない。
 ──自分がしたのと全然違う。

 快感に耐えて薄目を開ければ、美しい獣が視線だけを向ける。
 あまりの淫靡さに体が揺れた。
 逃げようとしたのを悟られて、シェンバーの手に力が入った。両足をさらに大きく開かれる。

「シェン! あ、やめて!! も⋯⋯!」
 せりあがる快感に足先までがびりびりと痺れた。
 じゅぶじゅぶと音が聞こえるほど、口の中で激しく抜き差しされる。
 思わず身をよじれば、いっそう激しく吸い上げられた。

「あああっ! や⋯⋯あ!!」
 イルマは、こらえきれず熱を放った。
 ほとばしる白濁をシェンバーは飲み込む。一滴残さず、身の内におさめるように。

 イルマは、ベッドに沈み込んで小さく喘ぐ。
 恥ずかしさと興奮とで体の震えが止まらない。
 
 ──今。イルマはどんな顔をしているのだろう。
 イルマの内腿に口づけながら、シェンバーは自分を宥めていた。

 見えない分だけ欲は募り、熱が生まれる。
 イルマの滑らかな肢体に触れれば、止むことのない情欲が湧く。

 昨夜も抑えようと思いながら、自分を止めることができなかった。
 男だとはいえ受け入れる側の負担は大きい。
 これ以上は可哀想だ⋯⋯。

「シェン⋯⋯」
 イルマがシェンバーの首にゆっくりと両手を絡めてくる。
 抱きしめようと体を起こして、顔を近づけた。
 

 耳元で囁くような声がした。
「⋯⋯け、今朝は、しないの?」

 シェンバーは戦った。大きく息を吸い込む。
 ──理性と愛情を、思い出せ。

「昨夜は自分が抑えきれなかった。イルマは初めてだったのに、すまない。⋯⋯続けては体がつらいだろう?」
 ⋯⋯もう少し、体が回復してから。
 そう言わねばと思っていた。自分の方が経験もあり年上なのだから。

 擦り寄ってきたイルマの唇が、シェンバーの首元に当たる。
「媚薬のせいもあったかもしれないけど。す、すごく気持ちよかったよ。⋯⋯それに」
 ──もう少し、シェンが知りたい。

 鍛えられていたはずのシェンバーの理性は、あっけなく崩壊した。



「⋯⋯んっ!」
「まだ柔らかい⋯⋯」

 シェンバーの指が、昨夜さんざん愛したイルマの蕾に触れる。
 つぷりと指先を入れれば、そこは既に柔らかくほころんでいた。
 媚薬の効果は、もうわずかしか残っていないだろう。
 それでも、イルマの体は快感を拾い上げていた。

「あ、あああ!」
「⋯⋯もう、こんなになってる」
 抜き差しすれば、淫らな水音が響く。
 浅いところを責め立てれば、イルマは必死でシェンバーの体に縋りついてくる。

 指を増やすたびに、耳元でイルマの甘い声が響く。
 シェンバーの雄はもう、限界寸前だった。

 ずるりと指を引き抜いて、イルマの入り口に熱い杭を押しつけた。
 そのまま太い雁首をずちゅりと押し込んでいく。
 それだけで、もう達してしまいそうだった。
 ──経験なんか何の役にも立たない。これではまるで、初めての子どもと同じだ。

「あ! あああ! シェン!!」
 目の前で喘ぐ肢体を貪り尽くしたい。そんな衝動が止まらない。

 シェンバーの熱が、イルマの肉壁の中を押し進む。
 縋りつくように熱くうねった肉襞がシェンバーを包みこんだ。
「イルマ⋯⋯!」
 先端で擦り上げ、浅いところをゆっくりとかき混ぜる。
 奥に辿り着き、シェンバーが激しく動かすたびにイルマの腰が跳ねた。

 蕩けそうな快感だけが二人の体を支配する。

 ──深く強く貫かれて、息もできない。
 シェンバーの剛直がどこまでも自分を暴き、満たしていく。
 イルマは感じたことのない充足を感じた。

 イルマの体を抱きしめながら、シェンバーは体を屈めて唇を重ねる。
 同時にイルマの最奥まで突き上げた。
 上り詰める意識の中で、熱い熱がうねりのようにイルマの中に注がれる。


 ──心も体も、全てが貴方に向かっていく。
 ──体の境目などなければいいのに。

 お互いの熱を確かめながら、二人は一つに溶けあっていた。




 太陽が高く昇っても恋人たちは深く眠っている。
 指を絡め抱きしめ合う姿に、侍従たちはそっと微笑を交わした。

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