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『ジールとローズの話⑦』
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約束の日。私は服を着替えて、ジール様を待っていた。
この服はセレナが選んだ服。私に似合うと言って、お勧めしてくれた物だ。セレナが言うのだから、間違いないだろうと思い買ったのだが……
この服は私には可愛すぎるのではないだろうか……? 清楚な感じの白いワンピースで、スカートの裾にはレースがついている。スカートの丈は膝より少し上ぐらいだが、足が見えているだろう。
「……これ本当に私に似合っているのかな……?」
そう思わず声が漏れてしまった。しかし、この服を選んだのはセレナだ。そのセレナが似合っていると言うのだから、大丈夫だろうが……しかし、周りがチラチラとこちらを見ている気がする。
そんなに私には似合わないのではないだろうか……?と、そんな不安が頭を過ぎる。
だって、清楚な感じの服だ。私には似合わないだろう。やはり、今から着替え直すか?と、そんなことを考えていると……
ジール様が私に近づいてきた。ジール様は私の姿を見て、少し目を見開き固まってしまっている。やっぱり似合っていなかったのだろうか?そんな不安が過ぎる
「……似合ってますね」
一言。ジール様はそう言ってくれた。しかし、その声は少し震えているようにも感じた。そんなにこの服は私に似合ってないのだろうか?だって似合っているという割にはジール様は私と全く目を合わせようとしない。
やはり、これは気遣いだろう。
ジール様は優しいから、似合わないと思っているのにお世辞を言ってくれたのだろう。そう考えると少し悲しくなった。
「お世辞を言ってくださらなくてもいいですよ」
笑顔を心がけて、ジール様に言った。実際、似合っていないのは自覚している。
しかし、ジール様は首を傾げ、
「――お世辞なんて言ったつもりはないけども」
サラリとそう答えた。お世辞を言ったつもりはない……? ジール様は私の目をじっと見つめてきた。そして、目が合うと慌てて視線を逸らした。
……ジール様の顔は赤かった。赤かった?顔が赤くなっている?それはつまり……
「本心で言ってくれてたんですか?」
「本心から思ってましたよ」
即答。ジール様はそう言ってくれた。ジール様は優しいから、お世辞を言ってくれたのだろうと考えていたが……どうやら本心で言ってくれていたらしい。
その事実に、顔から火が出そうになった。
似合っていると。お世辞ではなく本心で言ってくれたらしい。
それが嬉しくて、なんだか照れくさかった。ジール様が似合っていると言ってくれて嬉しいはずなのに、何故か恥ずかしくて……私は顔を下に向けてしまった。
ジール様はそんな私を見て、少し微笑んでいた。その微笑みは優しくて……私はさらに恥ずかしくなった。
「ふふ……」
彼が笑ってくれる。それだけで周りの視線なんて気にならなくなった。
彼が笑ってくれると私も嬉しくなって、幸せな気持ちになる。だからこそ、彼の周りには人が絶えないのだろう。ジール様の笑顔は人を惹き付ける。
前なら嫉妬していた光景。しかし今は違う。
私はジール様に笑みを返し、一緒に歩き出す。
それだけで幸せだった。彼と一緒にいると楽しくて、幸せで……胸の高鳴りが止まらない。ドキドキするけども、その高鳴りが心地よかった。
△▼△▼
その後。私達はデートを楽しんだ。デートプランのは王子が考えたものらしい。最初は不安だったが……王子なりに考えてくれていたみたいで、一つ一つのプランは楽しかった。
まずは劇場。劇の内容は恋愛物。私は恋愛物はあまり好きではないのだが、王子が譲ってくれたチケットなので文句を言うつもりはないけども。
物語の内容は平民の女の子が貴族の男の子に恋をするお話。身分差の恋という割とありふれた物語だったが、ヒロインも主人公の演技も上手くて面白かった。話はありきたりだが、それを感じさせない演技だった。
そして、次はレストランで食事をした。王子が常連らしいレストランだ。
王子が常連だから、私が場違いな店に連れて行かれるのでは?と不安に思ったけども……雰囲気は落ち着いているが、そこまで場違いな店ではない。
その上、料理も美味しかった。王子は庶民的なお店にも行くらしいこと。
そのことに少し驚いた。しかし、ジール様が楽しそうに話してくれたので、私も楽しかった。
そして、その後は店を見て回ったり……服を見たりした。ジール様の選んだ服はどれもかわいい物で、私は少し恥ずかしかったが……ジール様は似合っていると言ってくれた。
嬉しかった。ジール様に褒められるだけで、私は幸せになれる。
単純な女だとそう思われても、しょうがない。でも、仕方ないじゃないか。好きな人に褒められることがこんなに嬉しいのだから……
最後に私達は公園に来た。周りには人がいないため、静かな公園だった。
「……子供の頃。ここでよく遊んでたんだ」
ジール様がポツリと語り出した。子供の頃を思い出しているのだろうか?懐かしそうに微笑んでいる。……きっとジール様のことだ。子供の頃もたくさん友達もいたのだろう。
それに比べて私は……友達もいなかったし、公園で遊んだこともなかった。とゆうか。友達と遊んだことなんてなかったし。……悲しくなるからこのことを考えるのはやめよう。
「……なぁ。ローズさん」
不意に、彼が私に声をかけた。
私はジール様の方を見た。すると、ジール様は微笑んでいる。何を言うつもりなのか。私は黙って、彼の言葉を待っていると、
「俺さ、ローズさんのこと嫉妬してたんだ」
「………え?」
突然の言葉に私は固まってしまった。
この服はセレナが選んだ服。私に似合うと言って、お勧めしてくれた物だ。セレナが言うのだから、間違いないだろうと思い買ったのだが……
この服は私には可愛すぎるのではないだろうか……? 清楚な感じの白いワンピースで、スカートの裾にはレースがついている。スカートの丈は膝より少し上ぐらいだが、足が見えているだろう。
「……これ本当に私に似合っているのかな……?」
そう思わず声が漏れてしまった。しかし、この服を選んだのはセレナだ。そのセレナが似合っていると言うのだから、大丈夫だろうが……しかし、周りがチラチラとこちらを見ている気がする。
そんなに私には似合わないのではないだろうか……?と、そんな不安が頭を過ぎる。
だって、清楚な感じの服だ。私には似合わないだろう。やはり、今から着替え直すか?と、そんなことを考えていると……
ジール様が私に近づいてきた。ジール様は私の姿を見て、少し目を見開き固まってしまっている。やっぱり似合っていなかったのだろうか?そんな不安が過ぎる
「……似合ってますね」
一言。ジール様はそう言ってくれた。しかし、その声は少し震えているようにも感じた。そんなにこの服は私に似合ってないのだろうか?だって似合っているという割にはジール様は私と全く目を合わせようとしない。
やはり、これは気遣いだろう。
ジール様は優しいから、似合わないと思っているのにお世辞を言ってくれたのだろう。そう考えると少し悲しくなった。
「お世辞を言ってくださらなくてもいいですよ」
笑顔を心がけて、ジール様に言った。実際、似合っていないのは自覚している。
しかし、ジール様は首を傾げ、
「――お世辞なんて言ったつもりはないけども」
サラリとそう答えた。お世辞を言ったつもりはない……? ジール様は私の目をじっと見つめてきた。そして、目が合うと慌てて視線を逸らした。
……ジール様の顔は赤かった。赤かった?顔が赤くなっている?それはつまり……
「本心で言ってくれてたんですか?」
「本心から思ってましたよ」
即答。ジール様はそう言ってくれた。ジール様は優しいから、お世辞を言ってくれたのだろうと考えていたが……どうやら本心で言ってくれていたらしい。
その事実に、顔から火が出そうになった。
似合っていると。お世辞ではなく本心で言ってくれたらしい。
それが嬉しくて、なんだか照れくさかった。ジール様が似合っていると言ってくれて嬉しいはずなのに、何故か恥ずかしくて……私は顔を下に向けてしまった。
ジール様はそんな私を見て、少し微笑んでいた。その微笑みは優しくて……私はさらに恥ずかしくなった。
「ふふ……」
彼が笑ってくれる。それだけで周りの視線なんて気にならなくなった。
彼が笑ってくれると私も嬉しくなって、幸せな気持ちになる。だからこそ、彼の周りには人が絶えないのだろう。ジール様の笑顔は人を惹き付ける。
前なら嫉妬していた光景。しかし今は違う。
私はジール様に笑みを返し、一緒に歩き出す。
それだけで幸せだった。彼と一緒にいると楽しくて、幸せで……胸の高鳴りが止まらない。ドキドキするけども、その高鳴りが心地よかった。
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その後。私達はデートを楽しんだ。デートプランのは王子が考えたものらしい。最初は不安だったが……王子なりに考えてくれていたみたいで、一つ一つのプランは楽しかった。
まずは劇場。劇の内容は恋愛物。私は恋愛物はあまり好きではないのだが、王子が譲ってくれたチケットなので文句を言うつもりはないけども。
物語の内容は平民の女の子が貴族の男の子に恋をするお話。身分差の恋という割とありふれた物語だったが、ヒロインも主人公の演技も上手くて面白かった。話はありきたりだが、それを感じさせない演技だった。
そして、次はレストランで食事をした。王子が常連らしいレストランだ。
王子が常連だから、私が場違いな店に連れて行かれるのでは?と不安に思ったけども……雰囲気は落ち着いているが、そこまで場違いな店ではない。
その上、料理も美味しかった。王子は庶民的なお店にも行くらしいこと。
そのことに少し驚いた。しかし、ジール様が楽しそうに話してくれたので、私も楽しかった。
そして、その後は店を見て回ったり……服を見たりした。ジール様の選んだ服はどれもかわいい物で、私は少し恥ずかしかったが……ジール様は似合っていると言ってくれた。
嬉しかった。ジール様に褒められるだけで、私は幸せになれる。
単純な女だとそう思われても、しょうがない。でも、仕方ないじゃないか。好きな人に褒められることがこんなに嬉しいのだから……
最後に私達は公園に来た。周りには人がいないため、静かな公園だった。
「……子供の頃。ここでよく遊んでたんだ」
ジール様がポツリと語り出した。子供の頃を思い出しているのだろうか?懐かしそうに微笑んでいる。……きっとジール様のことだ。子供の頃もたくさん友達もいたのだろう。
それに比べて私は……友達もいなかったし、公園で遊んだこともなかった。とゆうか。友達と遊んだことなんてなかったし。……悲しくなるからこのことを考えるのはやめよう。
「……なぁ。ローズさん」
不意に、彼が私に声をかけた。
私はジール様の方を見た。すると、ジール様は微笑んでいる。何を言うつもりなのか。私は黙って、彼の言葉を待っていると、
「俺さ、ローズさんのこと嫉妬してたんだ」
「………え?」
突然の言葉に私は固まってしまった。
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