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新たな家族編
再会の人
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「あっ、あれは…トールキンお兄様っ!」
小走りに駆け寄ると驚いた風のお兄様が僕の顔を覗き込んだ。
「アデルかい?まさかと思ったが本当に元気そうだ。父上からもワイアットからも母上から聞いても信じられなかったが…、こんな風に笑っているなんて…。子供返りをしていると聞いたが。うん?顔つきが幼くなったかい?頬がふくよかになったね。母となったからだろうか?ほらよく顔を見せてご覧?ふむ、これが母となったアデルの顔か。」
「あ、あちょ、おにいさ、ぶふ、まっふぇ」
ムニムニされまくって顔が大変なことに。僕はトールキンお兄様をアデルの記憶の断片とみんなの言う〝生真面目”というキーワードから、優しくも融通の利かない頑固系真面目くんを想像していたんだけど、これは…なんだろうこのつかみどころのない感じ…
「よしなさいトールキン。アデルが困っています。それよりもほ~らアビーちゃんトールキン叔父様ですよ。」
「おおっ、これが我が家の初孫っ………アデルの要素は少ないのですね。」
あぁっ、お兄様がちーんてなってる…。ミニアデルを期待してたのか。
お兄様がアデルを溺愛してたのは記憶でみたから知ってたよ。でも、そもそもしょっちゅう王宮に呼び出され領地を留守にしがちなお父様の代わりに近年のお兄様はいつも忙しかった。アデルはワイアットお兄様ほどトールキンお兄様と時間をご一緒していない。
…そうか、もっとアデルを構いたかったのか…カマーフィールドの血筋だもん、愛情深いに決まってる。
僕はここに居る数日の間、極力お兄様にくっついていようと決めた。
「ああっ!ローランさんだ。お久しぶりです!元気でしたか?」
「ローランか…元気そうだな。」
僕とマカフィーさん二人掛かりで詰め寄るから圧がすごい。ローランさんが後ずさる。
「げっ!あー、元気ですよ。せ、先輩もお元気そうで…。ここカマーフィールドは俺の故郷に似てるんで安心します。森と林と山と…」
「全部木じゃん」
「少しの田畑と…最近は拓けてきましたけどね」
「ローランさんが手助けしてくれたおかげだよ。ところで、ローランさんはいつ帰ってくるの?本来の任務はとっくの昔に終わってるのに…ごめんね僕の実家、人使い荒くて…」
王位の乱が終わっても、後かたずけが終わっても、人手を理由に戻ってこなかったローランさん。お母様がやたらと無茶振りしてるみたいだし…ずっと気になってた。ローランさんは僕公認グラナダ様ファンクラブ一桁会員だからね。
「あ、いえ…まだ今はここに…もう少しだけ…見届けたいなーって。その…まだ今は、俺が居ないと回らないことも多くて」
「そうですよアデル。今ローランに帰られたら困ります。ローランはここによく似た山間部の農村生まれ。何をどうすればいいか、察しも良いしよく動いてくれて、私もトールキンも本当に助かっているのですよ」
「いや全く。ローランが居れば安心してして屋敷を留守にできるというものだ。働き者で性格も良い、賢くて気が利いて、それに腕っぷしも強い。本当に申し分ない。辺境伯閣下に頼んでみようかと考えていたところだ」
「頼む?」
「ローランをカマーフィールドに欲しいと。無論、ローランの同意があればだが」
「トールキン様…そ、んな褒めすぎですって。そんなこと言ったって残りの仕事は代わりませんからね///も、もうっ、それ貸してください、俺がちゃちゃっとやっちゃいますから。家族団らん楽しんできてくださいよっ!」
…ローランさんはグラナダ様に憧れるあまり家を飛び出した弾丸ボーイだ。思い込んだら一途な性格なのは知ってるけど…意外な展開だ。そんなにカマーフィールドが気に入ったのだろうか?
実家に似てるから?郷愁ってやつ?ホームシックかな?
小走りに駆け寄ると驚いた風のお兄様が僕の顔を覗き込んだ。
「アデルかい?まさかと思ったが本当に元気そうだ。父上からもワイアットからも母上から聞いても信じられなかったが…、こんな風に笑っているなんて…。子供返りをしていると聞いたが。うん?顔つきが幼くなったかい?頬がふくよかになったね。母となったからだろうか?ほらよく顔を見せてご覧?ふむ、これが母となったアデルの顔か。」
「あ、あちょ、おにいさ、ぶふ、まっふぇ」
ムニムニされまくって顔が大変なことに。僕はトールキンお兄様をアデルの記憶の断片とみんなの言う〝生真面目”というキーワードから、優しくも融通の利かない頑固系真面目くんを想像していたんだけど、これは…なんだろうこのつかみどころのない感じ…
「よしなさいトールキン。アデルが困っています。それよりもほ~らアビーちゃんトールキン叔父様ですよ。」
「おおっ、これが我が家の初孫っ………アデルの要素は少ないのですね。」
あぁっ、お兄様がちーんてなってる…。ミニアデルを期待してたのか。
お兄様がアデルを溺愛してたのは記憶でみたから知ってたよ。でも、そもそもしょっちゅう王宮に呼び出され領地を留守にしがちなお父様の代わりに近年のお兄様はいつも忙しかった。アデルはワイアットお兄様ほどトールキンお兄様と時間をご一緒していない。
…そうか、もっとアデルを構いたかったのか…カマーフィールドの血筋だもん、愛情深いに決まってる。
僕はここに居る数日の間、極力お兄様にくっついていようと決めた。
「ああっ!ローランさんだ。お久しぶりです!元気でしたか?」
「ローランか…元気そうだな。」
僕とマカフィーさん二人掛かりで詰め寄るから圧がすごい。ローランさんが後ずさる。
「げっ!あー、元気ですよ。せ、先輩もお元気そうで…。ここカマーフィールドは俺の故郷に似てるんで安心します。森と林と山と…」
「全部木じゃん」
「少しの田畑と…最近は拓けてきましたけどね」
「ローランさんが手助けしてくれたおかげだよ。ところで、ローランさんはいつ帰ってくるの?本来の任務はとっくの昔に終わってるのに…ごめんね僕の実家、人使い荒くて…」
王位の乱が終わっても、後かたずけが終わっても、人手を理由に戻ってこなかったローランさん。お母様がやたらと無茶振りしてるみたいだし…ずっと気になってた。ローランさんは僕公認グラナダ様ファンクラブ一桁会員だからね。
「あ、いえ…まだ今はここに…もう少しだけ…見届けたいなーって。その…まだ今は、俺が居ないと回らないことも多くて」
「そうですよアデル。今ローランに帰られたら困ります。ローランはここによく似た山間部の農村生まれ。何をどうすればいいか、察しも良いしよく動いてくれて、私もトールキンも本当に助かっているのですよ」
「いや全く。ローランが居れば安心してして屋敷を留守にできるというものだ。働き者で性格も良い、賢くて気が利いて、それに腕っぷしも強い。本当に申し分ない。辺境伯閣下に頼んでみようかと考えていたところだ」
「頼む?」
「ローランをカマーフィールドに欲しいと。無論、ローランの同意があればだが」
「トールキン様…そ、んな褒めすぎですって。そんなこと言ったって残りの仕事は代わりませんからね///も、もうっ、それ貸してください、俺がちゃちゃっとやっちゃいますから。家族団らん楽しんできてくださいよっ!」
…ローランさんはグラナダ様に憧れるあまり家を飛び出した弾丸ボーイだ。思い込んだら一途な性格なのは知ってるけど…意外な展開だ。そんなにカマーフィールドが気に入ったのだろうか?
実家に似てるから?郷愁ってやつ?ホームシックかな?
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