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第6章 魔力クリスタルの深淵
cys:120 美しき女剣士『メデュム・アネーシャ』
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ノーティスの横薙ぎの剣から放たれた巨大な白輝の刃が、多くの敵を一瞬で薙ぎ払っていく。
「うわぁああああっ!」「ぐわぁああああっ!」「うおぉおおおおっ!」
それを横で見たメティアは、ノーティスに驚きながら大きな笑みを向けた。
「ノーティスすごーい! さすかだね♪」
「フッ、メティアの支援魔法のお陰さ」
「ううん、ノーティスの力だよ♪」
それを見たジークはニヤッと笑う。
「おおっ、さっすがノーティス。こっちもやってやるぜ!」
ジークは真紅の煌めきを込めた巨大な戦斧を大きく振りかぶり、敵の軍勢に向い思いっきり振り下ろす。
「うらぁぁぁあっ! テメェら大地ごと消し飛びやがれ! 『クリーシス・アックス』!!」
ズドォォォォォン!! と、いう凄まじい轟音と共に兵士達が吹き飛び、大地その物がビキビキビキッ! と、大きく裂けた。
「へっ、どんなもんよ!」
ジークが得意げな顔を浮かべると、レイがニッと笑みを向けてきた。
その顔は自信と美しさに満ち溢れている。
「ジーク、やるじゃない。後は、私が綺麗にしてあげるわ♪」
レイはそう言って足を交差させると両手を天に掲げ、その手の中に絶対零度の凍気を作り出していった。
その凍気により、レイの体の周りに青いオーラが立ち昇る。
その姿で敵兵達に妖しく微笑むレイは、まるで氷の女王のようだ。
「フフッ♪ 永遠に凍らせてあげる! 『クリスタル・コフィン』!!」
レイが技を放つと戦場に絶対零度の吹雪が舞い、一瞬にして大量の兵士達を氷の中に閉じ込めていく。
「うっ……!」「あっ……!」「ひっ……!」
正に息をつく間もなく、一瞬で凍らされた兵士達を見つめながら、レイは妖しく微笑んだ。
「フフッ♪ さよなら。そして……美しく散りなさい!」
レイはそう告げると、掲げた両手を下にサッと振った。
その瞬間、凍らされた兵士達は砕け散る氷と共にバラバラに……!
レイはそれを見つめ、手に残った凍気をフッと吹くと、ジークの事をチラッと見た。
最華の魔道士の名に恥じない戦いぶりだ。
「ジーク、あまりお痛しちゃダメよ♪」
「うーぃ、こいつはますます逆らえねぇぜ」
その光景を見て、楽しそうに笑うアンリ。
エキゾチックな瞳に、常夏の太陽のような輝きが宿っている。
「ニャハハッ♪ さすがレイだニャ。では、こっちもやるかの」
アンリは魔導の杖を斜上にかざすと、ダークブルーの巨大な魔法陣をブワァンッ! と、2つ創り出し、その1つを大地に。
もう1つを上空に設置した。
その2つの魔法陣は、ゆっくり回転しながら妖しげな青白い光を放っていく。
アンリの飄々とした雰囲気からはかけ離れた、魔界の召喚儀式のような光景だ。
そんな、おどろおどろしい魔法陣を、トゥーラ・レヴォルト軍の兵士達が驚愕した顔を浮かべている中、アンリの瞳の色が王宮魔道士としての物に変わっていった。
「さぁーーて、まとめて行くニャ! 『ハロー・デス・グラビティー』!!」
その魔法から放たれた煌めく光が、兵士達を巨大な重力で一気に押し潰していく。
美しく煌めく光の中は、死の空間だ。
「ぐ……! ぐわっ!!」「あ、あああああっ!」「がはっ!」
アンリは大量の兵士達を一気に地面に押し潰し、軽く息を吐きながらも満足気に微笑んだ。
「ふぃー200倍の重力じゃからの♪ これでみんな、ぺったんこニャ♪」
アンリはニパッと可愛く笑っているが、トゥーラ・レヴォルト軍の兵士達には恐怖でしかない。
「や、奴ら、なんて強さだ!」
「前に戦った時より、さらに強くなってやがる!」
「これが、魔力クリスタルの力か……!」
ノーティス達に一気に大量の兵士達が崩され、戦慄するトゥーラ・レヴォルト軍。
そんな彼らをノーティスは真っ直ぐ見据えたまま、側にいるメティアに告げる。
「メティア。自分に防御魔法かけたまま、俺の体に掴まっててくれ」
「あっ、うん。分かった」
メティアがそう答えギュッと掴まると、ノーティスはグッと腰を落とし突きの形に剣を構えた。
「俺の光で道を作る! 『エッジ・スラッシュ』!!」
ノーティスは一筋の光の閃光と化すと、敵兵達を一気にズザザザザッ!! と、斬り裂きながら突き進み、正に中央に大きな道を作った。
そして、メティアが体からサッと離れた瞬間、後ろにバッと振り返り皆に号令をかける。
「道は作った! みんな、斬り込め!」
その号令と共に、スマート・ミレニアム軍の兵士達も一斉にトゥーラ・レヴォルト軍になだれ込んでいった。
激しくぶつかり合うスマート・ミレニアム軍と、トゥーラ・レヴォルト軍の兵士達。
ただその時ノーティスはハッ! とし、鋭い眼差しで前を見据えた。
前に構えている兵士達の後ろから、途轍もない戦闘力を放つオーラを感じたからだ。
───何者だ?!
ノーティスが本能的に危機を感じ身構えると、その戦闘力には似つかわしくない、凛とした美しい声が聞こえてくる。
「どきなさい、アナタ達。その男は強い……向かっていっても、ムダに命を落とすだけだわ」
トゥーラ・レヴォルト軍の兵士達は、その声の方へバッと振り向き道を開けた。
そして彼女の姿を見ると歓喜の声を上げる。
「アネーシャ様!」
そこから颯爽と現れたのは、白、いや、美しく長い銀髪と背中のマントを風に靡かせ、左手に長剣を持った女剣士だった。
年はノーティスと同じぐらいで淡いピンク色の鎧を纏い、凛とした美しい瞳をしている。
アネーシャはその瞳でノーティスを見つめた。
「私はトゥーラ・レヴォルトの勇者『メデュム・アネーシャ』! アナタがスマート・ミレニアムの勇者ね」
「そうだ。俺はスマート・ミレニアムの勇者エデン・ノーティス」
「ボクはスマート・ミレニアムの王宮魔道回復士フロラキス・メティアだよ」
ノーティスとメティアがそう答えると、アネーシャは軽く笑みを零した。
まるで、ノーティスの心を一瞬で見透かしたかのように。
「フフッ。ノーティス、アナタはさておき、そのメティアって子は、ここから離してあげた方がいいんじゃないかしら」
「えっ! ボクも戦うよ!」
メティアは勇ましくアネーシャに答えたが、ノーティスはアネーシャを見据えたまま、そっとメティアの肩に片手を添えた。
その顔はいつにも増して精悍だが、同時に微かに脅威を感じている雰囲気が入り混じっている。
「メティア、すまない。アネーシャってヤツの言う通りだ。彼女は強い……!」
「ノーティス……!」
潤んだ瞳で見上げるメティアだが、一瞬で分かってしまった。
アネーシャと戦いながらでは自分を守れないと、ノーティスの横顔が物語っていたから。
「分かったよ、ノーティス」
「すまないメティア……」
ノーティスはそう告げるとアネーシャに1つ言おうとしたが、アネーシャの言葉にそれを止めた。
「トゥーラ・レヴォルト軍の皆に告ぐ! 私は今からスマート・ミレニアムの勇者と一騎打ちに入る! その間、この回復士に手を出す事は許さぬ!」
アネーシャの言葉に、目を大きく見開いたノーティス。
今アネーシャが告げた言葉は、正にノーティスがアネーシャに頼もうと思っていた事だったから。
むしろ、そんな都合のいい事がなかなか通るとは思っておらず、メティアを敵兵達からどう守ろうかと考えていたのだ。
「アネーシャ……キミからそんな事を言うなんて、一体どういうつもりだ」
「どういうつもりですって? フフッ、そんなの私が聞きたいわ」
「なんだと?」
ノーティスが訝しむ顔を向けると、アネーシャはその凛とした瞳に力を込め、キッと睨んだ。
「ノーティス、いくら敵だからって……アナタ達は、何であんな殺し方が出来るの?」
「うわぁああああっ!」「ぐわぁああああっ!」「うおぉおおおおっ!」
それを横で見たメティアは、ノーティスに驚きながら大きな笑みを向けた。
「ノーティスすごーい! さすかだね♪」
「フッ、メティアの支援魔法のお陰さ」
「ううん、ノーティスの力だよ♪」
それを見たジークはニヤッと笑う。
「おおっ、さっすがノーティス。こっちもやってやるぜ!」
ジークは真紅の煌めきを込めた巨大な戦斧を大きく振りかぶり、敵の軍勢に向い思いっきり振り下ろす。
「うらぁぁぁあっ! テメェら大地ごと消し飛びやがれ! 『クリーシス・アックス』!!」
ズドォォォォォン!! と、いう凄まじい轟音と共に兵士達が吹き飛び、大地その物がビキビキビキッ! と、大きく裂けた。
「へっ、どんなもんよ!」
ジークが得意げな顔を浮かべると、レイがニッと笑みを向けてきた。
その顔は自信と美しさに満ち溢れている。
「ジーク、やるじゃない。後は、私が綺麗にしてあげるわ♪」
レイはそう言って足を交差させると両手を天に掲げ、その手の中に絶対零度の凍気を作り出していった。
その凍気により、レイの体の周りに青いオーラが立ち昇る。
その姿で敵兵達に妖しく微笑むレイは、まるで氷の女王のようだ。
「フフッ♪ 永遠に凍らせてあげる! 『クリスタル・コフィン』!!」
レイが技を放つと戦場に絶対零度の吹雪が舞い、一瞬にして大量の兵士達を氷の中に閉じ込めていく。
「うっ……!」「あっ……!」「ひっ……!」
正に息をつく間もなく、一瞬で凍らされた兵士達を見つめながら、レイは妖しく微笑んだ。
「フフッ♪ さよなら。そして……美しく散りなさい!」
レイはそう告げると、掲げた両手を下にサッと振った。
その瞬間、凍らされた兵士達は砕け散る氷と共にバラバラに……!
レイはそれを見つめ、手に残った凍気をフッと吹くと、ジークの事をチラッと見た。
最華の魔道士の名に恥じない戦いぶりだ。
「ジーク、あまりお痛しちゃダメよ♪」
「うーぃ、こいつはますます逆らえねぇぜ」
その光景を見て、楽しそうに笑うアンリ。
エキゾチックな瞳に、常夏の太陽のような輝きが宿っている。
「ニャハハッ♪ さすがレイだニャ。では、こっちもやるかの」
アンリは魔導の杖を斜上にかざすと、ダークブルーの巨大な魔法陣をブワァンッ! と、2つ創り出し、その1つを大地に。
もう1つを上空に設置した。
その2つの魔法陣は、ゆっくり回転しながら妖しげな青白い光を放っていく。
アンリの飄々とした雰囲気からはかけ離れた、魔界の召喚儀式のような光景だ。
そんな、おどろおどろしい魔法陣を、トゥーラ・レヴォルト軍の兵士達が驚愕した顔を浮かべている中、アンリの瞳の色が王宮魔道士としての物に変わっていった。
「さぁーーて、まとめて行くニャ! 『ハロー・デス・グラビティー』!!」
その魔法から放たれた煌めく光が、兵士達を巨大な重力で一気に押し潰していく。
美しく煌めく光の中は、死の空間だ。
「ぐ……! ぐわっ!!」「あ、あああああっ!」「がはっ!」
アンリは大量の兵士達を一気に地面に押し潰し、軽く息を吐きながらも満足気に微笑んだ。
「ふぃー200倍の重力じゃからの♪ これでみんな、ぺったんこニャ♪」
アンリはニパッと可愛く笑っているが、トゥーラ・レヴォルト軍の兵士達には恐怖でしかない。
「や、奴ら、なんて強さだ!」
「前に戦った時より、さらに強くなってやがる!」
「これが、魔力クリスタルの力か……!」
ノーティス達に一気に大量の兵士達が崩され、戦慄するトゥーラ・レヴォルト軍。
そんな彼らをノーティスは真っ直ぐ見据えたまま、側にいるメティアに告げる。
「メティア。自分に防御魔法かけたまま、俺の体に掴まっててくれ」
「あっ、うん。分かった」
メティアがそう答えギュッと掴まると、ノーティスはグッと腰を落とし突きの形に剣を構えた。
「俺の光で道を作る! 『エッジ・スラッシュ』!!」
ノーティスは一筋の光の閃光と化すと、敵兵達を一気にズザザザザッ!! と、斬り裂きながら突き進み、正に中央に大きな道を作った。
そして、メティアが体からサッと離れた瞬間、後ろにバッと振り返り皆に号令をかける。
「道は作った! みんな、斬り込め!」
その号令と共に、スマート・ミレニアム軍の兵士達も一斉にトゥーラ・レヴォルト軍になだれ込んでいった。
激しくぶつかり合うスマート・ミレニアム軍と、トゥーラ・レヴォルト軍の兵士達。
ただその時ノーティスはハッ! とし、鋭い眼差しで前を見据えた。
前に構えている兵士達の後ろから、途轍もない戦闘力を放つオーラを感じたからだ。
───何者だ?!
ノーティスが本能的に危機を感じ身構えると、その戦闘力には似つかわしくない、凛とした美しい声が聞こえてくる。
「どきなさい、アナタ達。その男は強い……向かっていっても、ムダに命を落とすだけだわ」
トゥーラ・レヴォルト軍の兵士達は、その声の方へバッと振り向き道を開けた。
そして彼女の姿を見ると歓喜の声を上げる。
「アネーシャ様!」
そこから颯爽と現れたのは、白、いや、美しく長い銀髪と背中のマントを風に靡かせ、左手に長剣を持った女剣士だった。
年はノーティスと同じぐらいで淡いピンク色の鎧を纏い、凛とした美しい瞳をしている。
アネーシャはその瞳でノーティスを見つめた。
「私はトゥーラ・レヴォルトの勇者『メデュム・アネーシャ』! アナタがスマート・ミレニアムの勇者ね」
「そうだ。俺はスマート・ミレニアムの勇者エデン・ノーティス」
「ボクはスマート・ミレニアムの王宮魔道回復士フロラキス・メティアだよ」
ノーティスとメティアがそう答えると、アネーシャは軽く笑みを零した。
まるで、ノーティスの心を一瞬で見透かしたかのように。
「フフッ。ノーティス、アナタはさておき、そのメティアって子は、ここから離してあげた方がいいんじゃないかしら」
「えっ! ボクも戦うよ!」
メティアは勇ましくアネーシャに答えたが、ノーティスはアネーシャを見据えたまま、そっとメティアの肩に片手を添えた。
その顔はいつにも増して精悍だが、同時に微かに脅威を感じている雰囲気が入り混じっている。
「メティア、すまない。アネーシャってヤツの言う通りだ。彼女は強い……!」
「ノーティス……!」
潤んだ瞳で見上げるメティアだが、一瞬で分かってしまった。
アネーシャと戦いながらでは自分を守れないと、ノーティスの横顔が物語っていたから。
「分かったよ、ノーティス」
「すまないメティア……」
ノーティスはそう告げるとアネーシャに1つ言おうとしたが、アネーシャの言葉にそれを止めた。
「トゥーラ・レヴォルト軍の皆に告ぐ! 私は今からスマート・ミレニアムの勇者と一騎打ちに入る! その間、この回復士に手を出す事は許さぬ!」
アネーシャの言葉に、目を大きく見開いたノーティス。
今アネーシャが告げた言葉は、正にノーティスがアネーシャに頼もうと思っていた事だったから。
むしろ、そんな都合のいい事がなかなか通るとは思っておらず、メティアを敵兵達からどう守ろうかと考えていたのだ。
「アネーシャ……キミからそんな事を言うなんて、一体どういうつもりだ」
「どういうつもりですって? フフッ、そんなの私が聞きたいわ」
「なんだと?」
ノーティスが訝しむ顔を向けると、アネーシャはその凛とした瞳に力を込め、キッと睨んだ。
「ノーティス、いくら敵だからって……アナタ達は、何であんな殺し方が出来るの?」
応援ありがとうございます!
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