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第2話

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 鳥の鳴き声が聞こえる。ゆっくり目を開くとそこは木々が生い茂っている、まさに密林という感じの場所だ。
「えっと確か……」
 混濁した意識がゆっくりと覚醒していく。確か神様にいろいろお願いして、異世界に転生した。早い話が異世界テンプレの結果今ここに居ると理解した。
「能力チェック!」
 まず目を閉じて頭の中で動画配信サイトHeyTubeをイメージする。スマホやパソコンにも初期からアプリとして入っている世界最高のサイトである、それが脳内に表示され見てみたい動画を検索し選択。すると脳内でその動画が再生された、これでまず一つ、知識の活用法は理解できた。
「次!」
 体を見てみると地球とほぼ同じ感じだ、ちょっと若い気がする二十歳前後かな? サービスで貰った服はこっちの一般人の衣服なのだろうか? 黒いコートに皮のベスト、白いシャツ、長ズボンに靴という感じで出し入れ自由みたいだ。あと色も変えれるみたいなのでコートを白にしてしまっておく、色を変えたのは黒だと量産型主人公みたいで嫌だったからだ、これはせめてもの抵抗で中身はラノベお約束のチート主人公そのものだが。
「次、変身!」
 体が光り、一気に視界が広く高くなった。体を見ると黒く煌めく体に赤い炎のような腹、そして鋭い爪のある五本指、筋肉質のパワーを感じる屈強な脚、そしてすべてを薙ぎ払える太く長い尻尾に巨大な赤い翼膜の翼、後頭部と鼻先には鋭い角! これぞまさにザ・ドラゴン!!
「羽の動かし方はっと……」
 翼を広げると翼膜に何かが集まってくるのを感じ次第に体が浮いていく。本能的にわかる、これがマナ、風の魔法で体を浮かしているみたいだ。
「いいね!」
 空を飛び、見渡す感じ大きな森の中という感じでその先は巨大な山脈となっているようだ。
「マジで辺境じゃん」
 でもドラゴンになれた、これは最高過ぎる!
「……疲れた」
 空を飛ぶのは結構疲労するみたいで、しばらく空を満喫していたらドッと疲れが来てしまった。飛んでいる時に川が見えたのでその近くに着陸し、そのまま川の水を飲んでみる。普通に冷たくて美味しかった。
「これからどうしようかな……」
 夢の異世界転生を実現した、しかしノープランだし魔王を倒すとか目的も一切ない。どうしようかな……
「きゃーーーーー!」
 イベントが来た! 悲鳴だ、とりあえずその方向に向かってみよう。
「誰かっ」
 声の主は人の女性だ、どうやら熊に襲われているようだ。なんでこんなとこに居るんだろうと思ったけどピンチのようなので助けよう。
「グオォォォ!!」
 咆哮を上げてみると熊は驚いたようにこっちを向いた。だがもう手遅れですよと右手で思いっきり殴りつけた。熊は勢いのまま吹き飛び、木にめり込んで動かなくなった。たぶん即死だと思う。てか爪で切り裂けばよかったんじゃないかと殴ってから思った。
「平気?」
「……」
 あれ? 言葉が通じないのかな? テンプレで言語は用意されてると思ったんだけどダメだった? てかめっちゃ怯えてる?
「あっ……」
 俺今ドラゴンじゃん! しかも十メートルを超える結構デカいと思う。そりゃビビるか……
「ごめん、驚かせたね。怪我はない? 大丈夫?」
 人の姿に戻り、女性に手を差し伸べてみる。
「え? あ、はい……ありがとう、ございます」
 手を取った女性を立たせてあげると身長は百五十ちょいかな? 水色の髪に赤い瞳が綺麗なかわいい感じの女性だった。
「どうしてこんな場所に居るの? 一人?」
「はい、今は、この森で……一人で暮らしています」
 どうやら一人らしい。
「俺は、タカト。気づいたらここに居た、一応人間だと思う」
 ということにしておこう! 絶対魔竜だ黒竜だとか言ったらビビられる。
「ドラゴンだと思いました……あ、私はアズハと言います。助けてくれてありがとうございました」
 そういうとアズハはペコリとお辞儀してみせた。
「気づいたらドラゴンになれるようになってたんだ。何かの呪いか魔法かわからないんだ……」
 ちょっと無理があるかもだけどそういうことにしておく!!
「そうなんですね……あの、よかったら一緒に来ます?」
「いいんですか?」
「はい、助けてもらったお礼もしたいですし」
 生まれて初めて女性とまともに話せた! てかナンパされた! めっちゃ嬉しい!!
「あ、あの、申し訳ないんですけどちょっとお願いしてもいいですか?」
「なんでもいいですよ! 任せてください!」
 今なら何でも叶えてあげたいくらい嬉しい! こんなかわいい娘にお願いされたら断れる訳がない!!
「じゃあまたさっきのドラゴンになってもらってもいいですか?」
「え?」
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