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66 兄との邂逅

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「朝食はどうする?」

 ひとしきり笑ったジェフが、穏やかな声音で聞いてきた。

「う~ん、………今日は食堂で食べるわ。」

 わたしはいつもと違って気が向いたからという単純明快な理由で、食堂で朝食を食べることにした。フレイヤさまが訪れることによって起こるご機嫌効果はどんなところにも発揮されるのだ………!!

「じゃあ、食堂に行こうか。」
「うん。」

 わたしは淑女の仮面をかぶって自室を出発した。所々ですれ違うメイドは見慣れない者が多くなっていた。

「………メイドが増えたわね。」
「はい、この度公爵閣下がこちらに住まいを移すことに伴い、メイドや下僕を新たに雇われました。」
「そう。」

 従者の仮面をかぶったジェフリーは、わたしの後ろを微笑みの仮面も身につけて歩いている。歩き方は多少工夫しているが、昨日のような完璧に隠す歩き方ではなくなっていた。まぁ、アドルファスお兄さまへの対策として歩き方を工夫していたのだから、ジェフリーの才能がバレてしまった今、彼の武術における才能を隠す必要は無くなったわけだから、当然の事態だろう。

ーーーぐぅー………。

 派手ジェフリーのお腹が空腹を訴えてきた。

「………朝食を食べていないの?」
「今日は後から食べようと思いまして………。」

 ちょこっと頬を染める姿はレアで可愛かった。ちょこっといじって遊びたいところだけれど、ここは人の目があるから叶わない。お腹くん、何故君はわたしのお部屋にいたときに鳴ってくれなっかのかい?

 そうこうしているうちに食堂に到着してしまったが、なんだか食堂の雰囲気が物々しい、が、入らないわけのはいかない。

「!!」

 入った瞬間、わたしはこれでもかというほどに目を見開いた。新聞を片手に兄たる公爵閣下が優雅に食後のコーヒーを啜っていたのだから、驚くのも当然だろう。

「おはようございます、アドルファスお兄さま。」
「………。」

 アドルファスお兄さまはわたしに一瞥を下すこともなく、新聞を読み続けた。

 妹である、このを無視するとはいい度胸ね。こうなったら意地でも振り向かせてあげる。

「……お兄さま、今日は何かご予定はございますか?」
「………………。」
「…わたしはフレイヤさま、フィリアザフィロ公爵夫人とお会いするお約束をしているんです。」

 そうこう話しているうちに、朝食がわたしの席に運ばれてきた。結局アドルファスお兄さまのお口を割らせてこちらに視線を向けさせるという作戦は失敗に終わった。
 なんとも悔しいことだ。

*******************

読んでいただきありがとうございます😊😊😊

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