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80 皇女は侮蔑する

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「痛いぞ!こらっ!!騎士如きがわしの身体に触るな!!」
「男爵、彼は侯爵家の次男で子爵だぞ」
「ひぃっ!!」

 黒曜からの報告を受けて、グートハイル男爵が階級を第1にする人間だと気がついたセレスティアは平民もしくは男爵位の騎士を全て下げさせ、騎士を子爵以上の位を持つ、もしくは高位貴族の子息で固めた。

「跪かせろ」
「はっ!」

 床に膝をつかされた男6人は憎々しげにセレスティアを睨みつけた。

「グートハイル男爵、嫡男、次男、三男、四男、五男で合っているか?」

 セレスティアは1人ずつ指差しながら、無駄に多いグートハイル男爵家の男達を確認した。

「今回お前たちをここに出したのは五男の起こした不祥事の処分ではない、ということは先に告げておく」
「「「「「え?」」」」」

 無駄に揃った返事に、セレスティアは呆れでいっぱいになり、これ見よがしに大きな溜め息をついた。

「今回お前たちを断罪する理由は単純明快、ずばり“クスリ”だ」
「は?」
「知っているだろう?聡明な男爵様ならば、アレが禁止薬物だっていうことぐらい」
「な、ななな、なーにを言っているんですかぁあ?」
「う、うるさい!馬鹿長男、黙れ!!」

 どもりまくった挙句声が裏返った長男に、男爵が厳しい叫び声を被せるように声を上げた。言葉を遮る方が後ろめたいことがあるように聞こえるのは、幼子でも分かることだろうに。

「………愚か者」

 セレスティアの怒りから漏れた侮蔑の声は、セレスティアの口元をずっと見ていたミシェルを除く誰にも届くことはなかった。だが、周りの者は気づかなかなくて幸せだっただろう。この時のセレスティアは末恐ろしいほどにゾッとする笑みを浮かべていたのだから。

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