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教団と大精霊

第347話-利害の一致-

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「それじゃあ僕はこれで……ご馳走様」

 食べ終わるとすぐに立ち上がってさっき行こうとしていた方向へと歩き出そうした満腹大精霊。あまりの速さにびっくりしてしまう。

「ちょ、ちょ、ちょっと待ってよ。もう行くの!?」

 私が慌てて引き止めると足を止めてこっちに振り向いた。
 彼をこのまま行かせちゃいけない。まだ聞かないといけない事がたくさんあるはずなんだから。

「当たり前だよ。言ったじゃないか、僕には目的があるからね。君達との時間も悪くはなかったよ。それじゃあね」

 言いたい事だけを言ってそのまま歩き出す。ここにはもう用はないと言わんばかりの行動、掛ける言葉を選ぶ暇もほとんどない。

「ま、待ってください!」

 今度はユリィが引き留めた。これまで聞いたことのない程の大きな声に私は驚いた。

「なんだい?」

 引き留めたことに対しては特に嫌そうな顔もせずにこちらに応えてくれる。私はさっきこの応え方には交渉の余地があるんだと思った。だけど、そんな事は無かったことをさっき思い知ってしまった。
 それもあってここはユリィに任せることにした。私の出番は多分ない。

「精霊憑きを探すのならそっちの方向にはしばらくいないと思いますよ。ここまで来るのに見てきましたから」
「そんなものさ。だけど、動かないと見つかるものも見つからないからね」
「私……精霊憑きに心当たりがあるんです……」

 その言葉にはここにいる全員が驚いた。
 突然の告白。それが嘘が本当かは今の時点じゃ分からない。

「だから……私たちと一緒に会いに行ってみませんか? 心当たりがある方が会える確率は高いですよ」
「君達と?」
「えぇ。その通りです」

 ユリィの言う心当たりが誰かは分からないけど、さっきの私との対応とは空気が違った。交渉にちゃんとなっていた。
 テイルさんは腕を組んで悩んでいる素振りをしている。ただどこか真剣に悩んでいるようには見えない。

「心当たりの根拠は?」
「優子さんから聞きました」

 突然私の名前が呼ばれてびっくりしてしまった。

「方向は合ってます。このまま……距離はありますけど」
「分かった。それならいいよ。そこまで案内してもらおうかな」

 思いの外あっさりとした返事に拍子抜けしてしまうけど、うまくはいったらしい。
 ただ疑問が残る事がある。

「ユリィ、その心当たりがある人ってまさかなんだけど」
「多分合っていますよ」

 私の話から精霊憑きを思い浮かべるとしたら一人しかいないはず。
 私がフランソワとして過ごした間の友達。
 純粋にフランソワが大好きな女の子。
 そう世界の時間を巻き戻す力を持つ友達のいる女の子、アリス。
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